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僕のファンクラブの記念すべき第1回ファンミーティングに1人も顔を出さなかった理由を真剣に考えてみた

先日、僕のファンクラブの記念すべき第1回オンラインミーティングを行なった。2時間zoomを繋いだけど参加者はゼロ。大丈夫。わかってる。僕はまだそのフェーズにいないことくらい、万も承知だ。

ファンからの支援を集めて、そのお金で好きな活動ができたら幸せだ。応援してもらいながら好きな活動を継続できるのだから、こんなに幸せな人生は他にはないだろう。物が満たされた今の時代だからこそ人は人にお金を使う、僕らは今、夢がもっとも実現しやすい時代を生きている。

とはいえ、いくら好きな活動をしていたってファンを集めるのは簡単ではない。ファンになってもらうにはフェーズがあり、きちんと順序立てて進めていく必要があるのではないかと、最近は考えている。


僕は現在、漫画家として個人で創作活動を続けている。主にTwitterに漫画を投稿し、電子書籍の印税や広告収入などで収益を得ている。昨今の時代の流れも加味し、ファンからの支援だけで創作活動を続けていくことができたらと思い、ファンクラブを立ち上げた。現在は16名の方が僕のファンクラブに入ってくださっている。しかしながら、記念すべき第1回目のファンミーティングには誰1人顔を出さない。これは一体どういうことだろうか。


〝ファン〟というと一般的に、音楽などのライブで発狂するようや熱烈なファンを想像するのではないだろうか。イベント会場で興奮するのはもちろん、街中で遭遇すると手で顔を隠しながら、けれど積極的に握手やサインを求めるような、そんな人を想像するかと思う。ファンしかし、僕のファンクラブにはそんな人はまだいない。

なぜか。

それは、僕にはまだわかりやすい価値がないからだ。

前途したような熱狂的なファンが現れるのは、対象のアーティストが世間にある程度認知されてからだと考えている。作品が好みだということはもちろんだろう。その他に、僕らは数字や人気でアーティストを応援する節があることをちょっと頭に入れておいてほしい。

今年の9月くらいだろうか。僕は『Official髭男dism』というバンドに猛烈にハマった。代表曲『pretender』を皮切りに、『宿命』や『イエスタディ』、『犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう』など、彼らの曲を手当たり次第聴き漁った。今ではこれらの曲が大好きでたまらない。

ファンというほど売り上げには貢献しているかは定かではない。Apple Musicで彼らのアルバムは全曲ダウンロードしているし、彼らのYouTube公式チャンネルの動画の再生数もぶん回している。しかし、グッズを買ったりライブに足を運んだりということはまだしていない。でも一旦、ここではヒゲダンのファンと定義つけさせてほしい。この体験からの学びを一つ紹介したいからだ。

僕はヒゲダンのファンだ。

思い返すと2年前にも、僕は彼らの曲を聴いていた。それも1ヶ月間、1日1回以上は確実に。しかしその頃は全くといっていいほど、ヒゲダンにハマらなかったのだ。

2017年、僕はカラオケ店でアルバイトをしていた。ご存知の方もいると思うが、カラオケボックスのDAMの部屋に通されると、曲の合間にDAMチャンネルというコマーシャルが流れる。DAMチャンネルは1ヶ月ごとに配信内容が変わるのだが、逆に1ヶ月の間は同じ放送が毎日繰り返される。その年の何月号かのDAMチャンネルに、ヒゲダンが登場した。前途した、『犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう』という曲を、僕はカラオケ店で働きながら1日に何度も耳にしていた。今でこそこの曲は大好きなのだが、当時は何度聴いても好きになることはなかった。


当時の僕は彼らのことを、「なんかヘンテコなバンドが出てきたな」くらいにしか思っていなかった。「なんだよofficial髭男dismって」「なんだよ犬かキャットか〜って」とか思っていた。彼らのことを、変なバンド名に変な曲のタイトルくらいに思っていたのである。

なぜ当時と今でここまで反応が違うのか。

僕は彼らが大人気バンドになるということを知らなかったのだ。

彼らを好きになったきっかけは『pretender』という楽曲だ。その曲を知ったのはシンプルに、とてつもなく流行っていたからだ。ものすごく流行っているという認識はあったのだが、しっかり聴いてみるとものすごくいい曲だと実感した。


ポイントになるのは、なぜ〝いい曲〟と判断したのかだ。

彼らの曲がいいことは大前提だ。確実にいい曲だ。自分で確かにそう思った。しかし否定できないのは、〝ものすごく流行っているからいい曲だと判断した〟面もあるということだ。

『pretender』を初めてしっかり聴いたとき、「今はこういう曲がいい曲っていわれるのか」なんて思ったし、著名な人が何人も同曲を絶賛していて、「あ、これって本当にいい曲なんだ」と思った。

彼らの楽曲には〝いい曲〟とされる保証がいくつもあったのだ。

カラオケ店でアルバイトをしていた当時は、彼らがいい曲を発表しているなんてことは知らなかった。それがいい曲かどうか、僕の中で判断できなかったのだ。


自分がその分野での知識や経験が豊富で、自分の秤をしっかり持っているという人を除いて、多くの人はそれがいいものかどうか判断ができない。数字や人気が把握できないうちは、それがいいものかどうか判断ができないからだ。みんなが「いい」と言って初めて注目し、それがいいものだと信じ込む。そんな感覚を持っている人は多いと思う。

そういった人たちは〝価値がわかりにくいものは応援していいのかどうかわからない〟というのが本音だろう。

反対に、価値がわかりやすいものは積極的に応援する。周りが応援しているから、自分も応援していいのだと、彼らを応援することはなんら変なことではないのだと、安心して応援できるものだ。

だから、熱狂的なファンというのは、すでに数字や実績をたくさん持っていて、価値がわかりやすいアーティストの前に現れるのだと僕は考えている。

そういったアーティストは、今に価値を感じて応援してくれる人が集まるフェーズにいるのだ。

僕のファンクラブメンバーが、記念すべき第1回目のファンミーティングに誰1人顔を出さないのは、僕に今わかりやすい価値がないからだ。

僕は大きな数字も実績も、世間的な認知も持っていない。そんな僕に熱狂的なファンが現れないのは当然といえば当然なのかもしれない。記念すべき第1回目のzoom会の参加者がゼロなこともなんら不思議ではない。

今僕のファンクラブに入ってくださっている方は多分、僕に会いたくてたまらないわけではないだろうし、どうしても僕と直接お話したいわけでもないだろうし、ましてや僕のサインがほしいわけでも、2ショット写真を撮りたいわけでもないと思う。今の僕に価値を見出しているわけではないからだ。

僕はまだそのフェーズにいない。
じゃあ、僕は今どのフェーズにいるのか。


僕の今のファンクラブメンバーはなぜ、世間的に価値がわかりにくい僕を応援してくれているのか。おそらく、〝僕の未来に期待してくれている〟のだと思う。僕が今後、世に名作を生み出し、売れっ子になることを期待してくれているのだと思う。これから世間的にわかりやすい価値が出てくることを期待しているのだ。本当にありがたい。


僕は彼ら彼女ら、今僕のファンクラブに入ってくれている人たちを、〝優秀な投資家〟だと思っている。

一般的にほとんどの人は、価値がすでに現れているものにお金を払う。誰だっていいものが欲しいし、価値のある体験をしたいものだ。だから、自分が損をしないためにもいいものにお金を払う。これはすでに価値がわかりやすく現れているアーティストを応援することによく似ている。

一方で優秀な投資家は何にお金を払っているかというと、世間的にまだ価値が現れていないものにお金を払っている。これから価値が現れると確信したものにお金を払って支援をし、多くの人がそれの価値に気づきお金を払っている頃、多くから集まったお金をいただいている。

これが、今の僕のファンクラブのメンバーだ。まだ価値が表面に現れていないうちから応援してくれる人々だ。

僕の価値が一般的にわかりにくく、かつ漫画の制作資金が乏しい今の時期に支援してくださるということは、将来僕に大きな価値が生まれると確信している優秀な投資家か、もしくはシンプルに頭がおかしいかのどちらかである。どちらにしても大好きだ。

僕は今、このフェーズにいる。未来に期待して応援してくれる人が集まるフェーズ。

僕は今、数字も実績も持っていない。作品や僕の価値は、一般的にはわかりにくいかもしれない。でも、そんな僕のことを応援してくださる方がありがたいことに今16名もいるのだ。みんな変態だ。だから僕は、記念すべき第1回目のファンミーティングに誰1人参加しなくても、それはそれでいいと思っている。だって今の僕のファンクラブメンバーは、僕に会いたくてたまらないわけではないだろうし、どうしても僕と直接お話したいわけでもないだろうし、ましてや僕のサインがほしいわけでも、2ショット写真を撮りたいわけでもないと思う。ただ、いい作品を作って世に出してくれればそれでいいのだと思う。ありがとう。


僕が世に名作を打ち出すまで、しばらくはこんな状態が続くと思う。世間的に価値が認められず、コツコツと作品を積み重ねる日々が続く。創作活動をしていく身としては一番辛い時期だ。そんな時期に支えてくれる今のファンの方々は、僕が今度どれだけ売れようが絶対に忘れないし、なんらかの形で必ず恩返しをしようと思っている。残念ながら僕は株券は発行していないので、お金で返すというのは難しい。けれど必ず、僕に世間的にわかりやすい価値がついたときは、彼ら彼女らだけに特別に、なんらからの形で必ず恩を返すつもりだ。


彼ら彼女ら、ファンから頂いたお金で僕は作品を作り、世に出していく。


創作活動にはフェーズがある。

今に価値を感じて応援してくれる人が集まるフェーズと、未来に期待して応援してくれる人が集まるフェーズ。僕は後者だ。

そんなフェーズにいる僕のことを応援してくれているのは、優秀な投資家のような、先見の明あるファンの人たち。まだ見えない価値を信じて、僕を支援してくれる応援者たちだ。僕に世間的なわかりやすい価値が現れてくるごとに、熱狂的なファンがどんどん現れることだろう。

その日まではひたすら彼ら彼女らに、先見の明ある優秀な投資家のような存在に支えてもらうことにする。

ただ、彼ら彼女らにひとつ言わせてほしい。


ファンミーティングに誰1人顔を出さないのは、シンプルに寂しい。

各々活動があることはわかっているし、今の僕とお話しても1ミリも有益でないかつ生産性がないことは一万くらい承知している。ただ、1人も来ないのは寂しい。

めっちゃ気にしている。来月もzoom会をやる予定だ。わかっているな。

また1人も来なかったら、また今回のように、ファンについてねちっこく持論を語ってやろうと思う。

記念すべき第1回目のファンミーティングに誰も来なかったときのツイート▼
https://twitter.com/KAICHIRO_ISHII/status/1338081942617554946

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かいち
漫画家|9's
SNSを中心に漫画を投稿しながら個人で創作活動中。目標は誰かの背中を押すような作品を世界中に届けること。

【代表作】
漫画配信サービスピッコマで300,000いいね獲得『仮想通貨体験記』▶︎http://bit.ly/3oWapxk

Yahoo!ニュースにも掲載された超共感エッセイ『かいちの幸せの見つけ方』▶︎http://bit.ly/2KJZuXP


【現在の取り組み】
1年間、毎日女子のイラストを投稿することに挑戦中!2020年12月31日で366日の毎日投稿を達成します!
#毎日女子▶︎https://www.instagram.com/kaichi_illustration/

漫画力を鍛えるため、短編創作を100本作ることにも挑戦中!
100本創作▶︎https://twitter.com/i/events/1287352474118975488

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