コーヒーショップでのひんやり/2023.08.10
最近の夜は近所を散歩して、コーヒーショップで閉店時間まで執筆をしている。
今夜もコーヒーショップに入り、空席を探しに2階に上がった。
階段を昇りきると、床に赤い雫が落ちているのを見つけた。
ドリンクのシロップかなと思ったが、今このコーヒーショップで売っているドリンクで赤いシロップを使った飲み物なんてなかったはず。
……血?
よーく床全体を見ると、赤い血があっちこっちに円く落ちていた。
誰かが指か手を怪我したのだろうか。
奥の方に行くと、床に血は落ちていなかった。
そこで空いている席を確保して、コーヒーを買って、確保した席で執筆を始めた。
そのときイヤホンを耳に入れていて、周りの音があまり聴えない状態だった。
黙々と執筆をしていると、聴いていた音楽の奥からザワザワと人の声がした。
視線をiPadの画面から店内に移すと、店内にいた人たちが座ったままもしくは立ち上がって、さっき見た床に落ちていた血があった方を見ていた。
何人かは近くで見ようと、そこに行った。
何があったんだ?
あそこには血が落ちていたから、それを見て気分が悪くなって倒れた。
もしくは驚いて階段を踏み外して落ちた。
それとも床に落ちていた血の主が、体調が悪くなって倒れたか。
床に落ちていた血を思い出したり、ざわつく空気を感じたりして、あたしの心は一気に不安になった。
近くで見ていた女性が、一緒に来ていた友達であろう人がいる席に戻ってきた。
彼女は友達に、
「なんかココアをうっかりグラスごと床に落としたみたい」
と教えていた。
良かった。
それを聞いて、不安に支配されていた心は解放された感じがした。
そのあと店員が2階に来て、掃除道具を取ったとき、その店員は床に落ちていた血に気づいた。
店員は床に落ちていた血を追い、階段から近いお手洗いの方に行った。
しばらくして、そのお手洗いの前に「使用不可」の張り紙がした椅子が置かれた。
床の血と関係していると思うが、なんで血が落ちていたんだろう。
というか、血の主はどこにいった?
あたしが見つけたときはまだ乾き始める前の状態だった。
乾いていないってことは店内にまだいるはずだよなあと思い、チラチラと席に座っている人たちを見たが、怪我している人はいなかった。
コーヒーを買いに1階に降りたとき床を見たが、血はどこにも落ちていなかった。
クーラーの風がガンガン当たらない席に座っていたのに、ブルっと寒くなった夏の夜であった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。これからもワクワクドキドキウルウルする作品を作っていきます。作品が良かったら「スキ」を押していただけると、とても嬉しいです。次の更新もお楽しみに^^