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「外国人差別の現場」

 安田浩一さんと安田菜津紀さんの共著新刊「外国人差別の現場」(朝日選書)を読みました。

安田浩一さんは2010年にも「ルポ差別と貧困の外国人労働者」(光文社新書)を出していて、都合の良い廉価労働力として使われる外国人労働者たち入管の非人間的な実態を伝えているのですが、12年経っても改善されるどころか、むしろ悪化しているという現実を突きつけられ、胸が苦しくなる思いでした。

日本の外国人政策は、戦前戦中の「全件収容施設主義」から根本が変わっていない。だから入管施設は刑務所同然の施設となってしまっている。これは世界的にみても異常な人権問題です。

2021年3月にスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリが名古屋入管施設内で亡くなる事件があり、ようやく入管の実態が世に知られるようにはなったと思います。ただ、ここから諸制度を改正していくのは、まだまだ簡単な道のりではないでしょう。

本書の中には安田菜津紀さんが、スリランカに住むウィシュマさんの家族を訪問するルポも収録されています。血の通った人間である当事者の背景を知ってこそ、問題の本質的なところが見えて来る。是非一読をお勧めしたいと思います。

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