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インターネット中年会

インターネット老人会というネットスラングがある。


1990年代~2000年代のネットを指し、当時ネットに生きていた人達が懐かしがっている場である。


おもしろFlashや個人サイトのキリ番やらあしあと掲示板やら様々だ。
また、ミクシィやニコ動初期も含まれる傾向にある。上限は2010年だろうか。


このあたりの年代が老人なら、インターネット若者は当然現代だ。
SNS全盛期でLINE・Twitter・Instagramは日々目まぐるしく更新されていく。動画サイトは配信がメインの場になり、単純な動画はサムネの編集に手間がかかっていなければ目を向けてもらえなくなった。


規制も厳しくなりフリー音源・素材が必須である。ネットへの参入が簡単になったため誰でもアカウントを作れるようになった。


有名人はちょっとした発言で揚げ足を取られ炎上するためうかつに発言できなくなった。いや、今や誰だろうと炎上する時代になり、インターネットから毒が抜けていった。


僕はどちらの世代もピンとこない。老人会の世代は当時小、中学生でネットに触れる環境が無かった。今は毎日ネットに触れているが衝動や情熱はない。日常のツールとして利用しているのみだ。


僕が熱を注いだインターネットは2012~2015だ。誰も懐かしがらず、誰も思い出にしない、空白のような世代だ。僕はこれをインターネット中年会と呼ぶ。


実際にインターネット中年会を定義するなら「インターネット老人会に該当しない2010年から現代のネットが形成された2017年辺り」ということになるだろう。まあこの辺りは適当だ。各自が自分なりの中年期を思い浮かべてほしい。僕は先述したとおり2012~2015を対象とする。



・Twitter

インターネット中年会を語る上で必須なのがTwitterだ。オタクがメイン運用していたコミュニケーションツールが一気に一般層に普及し、Twitterがもつ力が強大なものになっていった時代だった。


当時のツイートはネタツイやAAが横行し、RTやふぁぼを稼いでいた。アニメやバンドなど現実であまり繋がれない趣味をもつもの同士が相互で繋がろうと躍起になっていた。


「○○好きな人RT」「RTした人全員フォローする」「ふぁぼれよ」は当時TLでめちゃくちゃよく見た。単に自分がそういう世界から抜け出しただけかもしれないが。


また、フォローは少ないがフォロワーがめちゃくちゃ多いアルファツイッタラーという概念が生まれた。彼らはふぁぼの数で生きており、「自分のツイートをふぁぼしてくれる人のみフォローを返す」というよく分からない文化もあった。


アルファは相互になると一門に下ることができて、幹部になることができた。また、フォローするだけで○○団などそのアルファの軍団に入れたりもした。


アルファからフォロバを貰うため勝手にツイートを読み込み自動でふぁぼるサイトを利用したり、フォローするだけの大量の捨て垢を作成してくれるツールなどもあった。


思い返すと意味不明であるが、アルファツイッタラーは今でも存在する文化である。ただ調べたらWEBコンサルとかの人がアルファを目指すと言っていたので意味合いは当時から少し違っているのかもしれない。


炎上という概念が一般化したのもこの時期だ。
よくあるDQNの悪自慢をネット上で寄ってたかって攻撃したのが始まりだった。犯罪行為だから拡散しろ!という流れを作りバズらせるのが基本だ。


拡散する過程で過去に他の悪行(未成年飲酒・喫煙など)も併せ、炎上行為を行ったDQNの住所本名など特定し最終的に現実世界で報いを受けさせるまでが一連の流れである。


ただ当時炎上していた事例はどれも犯罪だったため「私たちは正しいことをしている」という免罪符があったように思える。正義はいつだって毒なりえるのだ。


その後、DQNを狩りつくしたネット正義マンは矛先を有名人そのものや失言に変え息苦しい現在のインターネットへと変貌した。

・動画サイト

YouTubeに配信サービスが無かったため、生配信となるとニコ生が主流の時代だった。今をときめくゲーム実況者たちもだいたいこの辺りでデビューしていた。


しかしニコ動はというと、ニコ動初期の動画をこの時から懐かしむムーブが多く、衰退していく雰囲気があった。というのも「ニコニコ動画○○」の○○の部分が変わるたびにUIが劣悪になり、既存ユーザーから不満が続出していたことが大きな要因である。


もちろんこの時期にミリオン達成した動画は数多くあるのだが、ニコ動初期に蔓延していたアングラ感、マイノリティさは薄れていった。


そんな中、ユーチューバーのはしりであるヒカキンが話題になり始めたのもこの時期である。ここからユーチューバーが一大ムーブメントを起こし、のちのネット環境を大きく変えていくことになるが、その頃はもう現代編に入ると思うので割愛する。


・その他

今でこそサブスクリプションにより動画、音楽などが自由に楽しめる時代になった。しかし当時はそんなものはないが怪しい技術を持った人は沢山いた。つまり違法視聴や違法ダウンロードが横行していた。
ネットの発達が早すぎて、法による取り締まりが全く追いついていなかった結果と言える。現在は違法サイトやアプリはほとんど消えた。


個人サイトはブログに変化した。しかしTwitterでよくね?の結論に至るため一時的にブームを迎えたあとは失速していった。ミクシィも消えた。


また、スマホの普及によりアプリゲームが主流になった。パズドラやモンストが代表である。ガラケー時代のポチポチゲーもしぶとく生きていたが結局アプリに移った。



ここまで振り返ってみて、やはりインターネット中年会は影が薄い。ほぼTwitterだ。スマホの普及とかWi-Fiとか老人会の時代と比べネット環境が整ったことで気軽かつ簡単にネットの世界に入れたことが大きかったと思う。

野々村議員とかゴーストライターとかSTAP細胞とかあったけどTwitterでバズってMADが作られる流れは今と一緒。その辺の基盤を固めたのもこの時代だ。


老人会が懐かしがっているワードは後追いしたが、やはり当時の熱狂をリアルタイムできなかったから心の底で乗ることはできない。
しかし熱狂するコンテンツもさほど無く、ネットの激流に飲まれ流されたのがインターネット中年会だ。


現在と当時、比べると確実に違うがやっていることは今と似通っており明確にここが違ったと言えないのもインターネット中年会。


インターネット老人会がワイワイしてるのを横目にネタは知っているが当事者じゃないため懐かしがることもできず、かといって知らないムーブして若者を気取ることも許されない世代、それが我々だ。


ネットの転換期にどっぷり浸かったせいで時代を象徴するものがなく、中年会を開けないそれが我々だ。


そもそも老人会が懐かしがっているものは今はもう無い、衰退した物ばかりだが、中年会が触れてきたものは今でもバリバリ現役だ。Twitterなんか今が全盛期ですらあるしパズドラモンストは正月にCMが放送されている。懐かしむことができない。せいぜい哀愁を匂わせられるのはブログ勢くらいなものだ。



それでも僕はインターネット中年会だ。たまにRTマークの横に星がある画像を見ては懐かしむし、2013年頃に流行した音MADはたまに見る。

きっと僕以外にもインターネットの世代分けに疎外感を感じるふぁぼ世代がいると信じている。


#このnoteがいいと思った人RT
#RTした人全員フォローする
#ふぁぼれよ

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