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作家KAIオリジナル直感小説|story2「トリック」

これまでのあらすじ
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作家KAIオリジナル直感小説
をまとめた無料マガジン


本編に入るまえに裏話
━━━━━━━━━━━

1話が終わったあと
出演者さま5名に" 内容のリクエスト "を
いただいていました♩*゜



いただいたリクエスト内容は
✔凛音と凛の絡み
✔ミステリー小説
✔凛と戸並 十三の絡み




2話はこのリクエストをもとに
KAIの直感で描きました

リクエストをどう描いたのか
2話 本編にてお楽しみください♪


2話 本編
━━━━━

優しい月灯りが
カーテンから差しこむ



すこし開いた窓の隙間から
心地よい風が吹きこんで
そっと肌にふれる



凛「ふぁ〜〜〜。いま何時だろ?」


おもむろに伸ばした手を
トントンっと上下に動かし
触れる感覚で携帯をたどる



携帯を掴むと
ゆっくりと瞳をひらいて
画面に目を向ける



ぱちぱちと瞬きを繰りかえし
おそる おそる
もう一度画面を見つめる


凛「 え〜嘘でしょ!?
    遅刻だぁ〜〜〜。」
   


あわてて飛びおき
クローゼットに駆けよる

無造作に服をとりだして
慌ただしく
支度をいそぐ


凛「今月最後のsouさんの
   路上ライブが終わっちゃう!
   ま、でも、間に合わせるしかない♪」



廊下をひょいひょいと駆けぬけて
急いでとりだした靴を
手から滑りおとし
左右バラバラになって放りだされる


凛「よっ…と♪」


乱れた靴を
バランスよく履きこなす


玄関のドアを
勢いよくひらくと

ぽつりぽつりと
降りはじめてきた小雨が
かざした手に触れた



だが
凛は傘もささずに
バス停まで駆け抜ける


凛「次のバスならなんとか間に合うよね♪」



バス停に辿りつくまでの
道のりは5分程度


人混みをかきわけ
髪に染みこむ水滴を振りはらいながら
息を切らして走りぬける


なんとか
時刻より前に
バス停に辿りついて
ゆっくりと息を整える



やっと冷静に
周りの状況を見渡せるようになって
凛はある違和感に気づく



凛「ん?…どうして?」



違和感を確かめるように
辺りを見渡す


さっきまで気づくことがなかった
異様な景色に
心がざわつく


                     すべての音が消えた!?


降りかかる雨音も
すれ違うひと達の会話も
車の騒音も
なにひとつ聴こえないのだ



携帯の画面を
すばやく中指でタップしながら
" YouTube " のお気に入りの曲を再生する



再生画面が押され
見慣れた曲の画面だけが動きだす



凛「音が…聴こえ…な…い。」



普段は
どんな状況であっても
楽しむ姿勢を忘れない凛でさえも
不安を抱きはじめる



同じく
バス停にいた凛音は
隣で百面相のように
移りかわる凛の表情が気になっていた



凛音は
突然かばんを開き
綺麗に整理された かばんの中身から
iPhoneをとりだし
メモアプリを使って
すばやく文字を打ちはじめた


隣にいた凛の肩を
ぽんぽんっと優しくふれて
iPhoneのメモをそっと差しだす


凛の視界に
文字が映しだされる

         もしかして音が聴こえていませんか?


すぐに
凛音に瞳をうつし
大きく首を縦にふる



凛音「やっぱり……。」



凛の顔をゆっくりみて
また文字を打ちこむ


                      ギターの弦にふれてみて


その文字をたどり終えて
ゆっくりと振りかえると
凛音の姿は消えていた



目を擦りながら
もう一度姿を探したが
見つかることはなかった…



車のライトが眩しく反射され
瞳をギュッと閉じる


凛「ギターの弦なら!souさんのが…!
    とにかく行かなきゃ!」


バスに乗りこみ
ふたたび音のない空間に
戸惑いを覚える



気分を逸(そ)らそうと
窓に映しだされた
月を見あげる


左手に右手をそっと添えて
瞳を閉じ
好きだった音を浮かべる


浮かべては…消えていく
そこにはない " 音 " に
寂しさを覚えた


目的地につき
バス停を後にすると
すぐにsouが視界に映る



降りだした雨に
路上ライブを中断し
片付けを終えて
帰ろうとしていた矢先だった


sou 「あ…れ?凛ちゃん!?」
ずぶ濡れになった凛の姿をみて
駆け寄って傘を差しだす



sou「どうした!?こんな雨のなか
      傘もささずに…風邪引くだろ!
      なんか拭くものあったっけかな…
      ん〜ないな〜とりあえずあそこのカフェ入ろ!」



souは凛に傘を渡し
ギターを抱きかかえながら
カフェまで走りだす



RAY「わ!お客さん大丈夫ですか!?
       タオル、タオル!
       すぐ持ってくるので
       待っててくださいねっ!」


カフェの店長をしているRAY


早足でスタッフルームに入り
タオルを数枚抱えてすぐに戻ってきた


RAY「 良かったら使ってください
        奥の席だと暖房がきいているから
        すぐに乾くとおもいます」



sou「めちゃくちゃ助かります!!」
凛  「いいのですか!?ありがとうございます!」

2人は深々と頭をさげ
丁寧にお辞儀をした


優しく微笑んで
2人に足並みを揃えながら
席まで案内する




お店の閉店時間まで
あと10分だったが
RAYは店先の札を " CLOSE  " に裏がえし
店内のキッチンに入って
2人に温かなココアを注ぐ



メッセージカードに
そっと文字を添える

スタッフに頼んで
2人の席に届けるように伝える



2人の席には
温かなココアと
メッセージカードが届く

     温まるまでゆっくりして行かれてくださいね



優しい行動に
RAYの人柄が映しだされる


彼女の優しさに
心までも温かくなる




席についた凛は
ゆっくりと考えを巡らせていた


souの言葉を
表情からなんとなくで
捉えてはいたが

聴こえない状況は変わらず
どうsouに伝えようか悩んでいた



不意におもいだして
souのギターケースを指さす



sou「ん?ギターがどうかした?
      てか…そうだなぁ、なんだろう…
      今日の凛ちゃんいつもと違うような…んー。」



不思議な顔をしながら
凛の顔を覗きこむ



音が聴こえないことを
一瞬伝えようとしたが
少し間をあけて口をひらく



凛「あの、ギターの弦濡れてませんでしたか?」



凛の言葉をきいて
ケースからギターをとりだし
弦にふれる


sou「大丈夫!ほら…!」


souの言動をみて
凛の" 声 " は
相手に聴こえてることが確認できた


差しだされた弦に
ゆっくりふれる


その瞬間
頭にいやな痛みを覚える



同時に
長身の男性の姿が
曖昧に浮かぶ



凛「あー!!!」
思いだしたかのように
記憶をさらにたどる


断片的に
文字が浮かびはじめる…



             音一生聴こえなくなるのがA
             声が一生出なくなるのがB
             
             


夢じゃなかったの……?




凛が
戸並 十三に
『音が聴こえなくなること』と
ひきかえにしてまで
守りたかったものとは!?


そして
戸並 十三の正体とは!?
また
消えた凛音は一体どこに!?



次回へつづく


そして
2人目の出演者が動きだす…


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