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海辺の部屋より - 自由と孤独にあるもの -

最近好きな1枚。
エドワード・ホッパーの「海辺の部屋 (1951年)」。絵画に詳しい訳ではないけれど、初めてこの絵を見た時、何だかとても惹きつけられたのを覚えている。

______ 誰もいない部屋。
正面には白い壁、そして、右の開け放たれたドアからよく晴れた空と海が見える。いや、海が見えるというよりも、この部屋は海に囲まれているようで、ドアから一歩出れば、飛び込んでしまいたくなりそうな、波立つ海。

どうして、ホッパーはこのシーンを切り取ったのだろう?

" ホッパーは、1882年アメリカのニューヨーク州ナイアックに生まれる。孤独な雰囲気が漂う作品を描く、20世紀アメリカの具象絵画を代表する一人。彼のスタイルを決定づけた作品である、都会の街路、オフィス、劇場、ガソリンスタンド、灯台、田舎家などアメリカ人には見慣れた都市や郊外の風景を単純化された構図と色彩、大胆な明度対比、強調された輪郭線で描く........ "

この海の波こそ描写的な(説明的な)ものの、その他の細部は省略され、モチーフは限りなく少なく、削ぎ落とされ、幾何学的でシンプルな画面。静寂。空虚。平穏な感じもするし、不安も誘うけれど、どうしてか落ち着いた。

そんな私も今、"海辺の部屋" で仕事をしているのだが、ホッパーの目に映る世界に浸ってみようと試みている。

働き始めて半年が経った。私が学生の頃に見ていた世界、社会の姿は、ほんの一部に過ぎなかったことに身につまされている。

9月に行われた国連気候行動サミット、アマゾンの森林火災、農業や漁業、畜産領域における抜本的な問題に向けた解決など.......。今、世界では、というよりも "地球" 単位で、考えなければならないことが急速に増えた。大量生産・大量消費が経済の主軸になった、現代のビジネスモデルでは通用しないことばかり。

VUCA World  〜 将来を見通すことが困難で、 “正解のない” 時代 〜
ー Volatility(変動性)
ー Uncertainty(不確実性)
ー Complexity(複雑性)
ー Ambiguity(曖昧性)

2010年代に、世界のビジネス界で予測不可能な、これからの時代を表す言葉として使われるようになった。変化が早く、複雑で不透明な社会。今後の社会がどのように変化しようとも、自らを自由に保ち、自分を、そして社会を変える力を培うことが求められている。

「変化」を躊躇してはいけないのだと言わんばかりに、自然のままに変わり移ろう世界と人の心。どこかで孤独と希望を抱え、生きる人たち。

日々の小さな移ろいを忘れないように、書きたいことを少しずつ、残していこうと思う。


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