5万５千円と引き換えに愛を学んだ話

2023年12月、前事務所を退所した永瀬は焦っていた。

「12月は充電期間に充てます😌💗」

なんて売れてるアーティストみたいなカッコつけたことを言っていたが、内心焦っていた。えーどうしよう急に野に放たれたんだけど！？(自ら辞めたんだろ)属してる場所がないって不安〜〜！！
と、充電するどころかフルスロットルでゴリゴリ体力使ってフリーでもエントリーできる色んなものにエントリーしまくっていた。

そこで返事が返ってきた、映画のオーディションという名の戦場(後の事故現場)へと足を運んだ。

そこで、キャスティング的なディレクター的な…

…

今思うとあの人誰だったん！？！？！？

って人と面接をした。後の詐欺師である。名刺とかももらっていないから役職とかもわからない。
その日は私の今までの経歴や、今回の映画の趣旨の説明などをされた。それはなかなか興味深かった。今思い返してもとても饒舌で、人の話をよく聞いてくれて、謙虚な雰囲気の人だったと思う。その演技力をテメーが映画で活かせや？(褒めてるのか貶してるのか分からない)

そして帰り際、「今回のお話を監督に持って帰るので、またフィードバックします！もう一度面接にいらしてください＾＾」

と言われた。
「はぁ〜い(また面接？)」

と思いながらやってきた2回目の面接にて、この先選考していく上での条件を告げられた。

「かな〜り絞ってるんですけど、2023年度に映像作品に4本以上出ている人で人で選考して行こう、ということになってまして…」
「ハァ、じゃあ私無理ですねえ」
「いえ、間に合います」
「？？？？？」
「映画の撮影までに4本出演してもらえば大丈夫です。弊社、キャスティングもやってるので、よろしければどうですか？」

ここで紹介されたのがこの会社がやっているらしいキャスティング会社だよ🌟登録料は5万5千円だってさ！🌟
映画のオーディションを受けるためのハクをつけるための登録だから、4本出たら登録解除していいし、全額返金してくれるってさ！🌟ここで気づけよ大馬鹿野郎

Qなぜ登録解除できるのに、5万円払わないといけないの？
A.5万円払っていれば、さすがに飛ぶ人おらんのちゃう？という考えらしいよ！今思うとよくわからないね！

私「d払い分割でお願いします！」

これが運命のツキであった。
私の暗黒の年末年始がスタートした(実際は早々に諦めがついて、そんなことなかったよ！テヘペロ)。

そして2度目の面接の後、電車で運営している会社の名前を検索すると、出てくる出てくるヤバい話、そして今回の私と同じ手口で騙されてしまった人。
私は「キャスティング会社」の名前では検索をかけていたが、「運営会社」の名前では検索をかけなかったのだ。あの時検索してたら2秒で出てきてたのに…タラレバ…予想がカスって外れた競輪くらいタラレバ…
さっきまで面接してた人の顔がドンッ！こいつ詐欺師だぜ！って出てきた時はかほのハツが震えた。電車の乗り換えも忘れて呆然としながらお家に帰った。

いろんな人にアセアセしながら電話をして、「とりあえずドコモと消費者センターに電話をしよう」ということになった。

ドコモニキ「d払いの分割？できないですよ」

d払いの分割、できなかった。てか、すでに一括で決済されてるやん(マイドコモ)。

ちなみにこの頃、詐欺師とラインをしていて、映画のことも信じてる！あなたのことも信じてる！っていうキャラを演じていた。なので、「決済どうなってますか？(ウルンチョ)」みたいなラインを毎日送っていた。毎日「確認中です」と返事がきてた。ちなみに今もまだ経理に確認してもらってる＾＾すっごい確認するやん＾＾けど、この頃はまだ心のどこかで「さすがに返してくれるやろ」くらいに思っていた。日本は平和だと思っていた。

d払いは、加盟店がキャンセルをしてくれないとドコモ側ではキャンセルができないとのこと。オッケー、わかった。ゴーゴー消費者センター。

消費者センターネキ「ん〜…難しい話だなァ…」

消費者センターでも難しかった。
私のように芸能の仕事が長くて、検索したらボチボチ出てきちゃう人って、「消費者」には当たらないそうなのだ、「事業者」になってしまうらしい。だからクーリングオフは難しいし、そもそもクーリングオフの条件に当てはまっていたとしても、詐欺師側が対応してくれないとお金は返ってこないんですって！無理やん。詰みやん。
だけどこの消費者センターネキが本当に親身に寄り添ってくれて、私のメンタルを安定させてくれた。
事前に知恵袋とかで調べたら、「消費者センターの担当の人にお菓子を贈りたい」とか、「直接会いに行ってお礼を言ったら変ですか？」とかいう人がたくさんいて、「んな阿呆なw」と思ってた。思ってたけど今は菓子贈りたいし、消費者センター行ってネキと抱擁したいわ。と思うほどネキには助けられた。

特に契約書などは交わしておらず、グーグルフォームの下の方に「活動する気が見られないものは契約強制解除」というのがあった。
だから「活動したい気持ちは山々なんですが、決済の件がはっきりしないと、お互い信頼関係を結んでお仕事できないですよね？(ウルリンチョ)」
って言ったら返事すっかりこなくなった。日本は平和じゃなかったのだ。
けど、もうこの時点で「この話ノートに書きてえ〜」「良いネタセクシーサンキュー！」くらいまでにメンタルは回復していた。あたしゃ芸人かよ。

消費者センターネキからは、「永瀬さん元気してる〜？大丈夫〜？」という電話がかかってくることもあった。優しすぎて涙出た。

「ほんとに可哀想だけどさあ、もう関わり合いになる方が嫌じゃない？5万諦めて関係を切った方が精神的には安定するかもだよねえ」

「ハイ😭もうこの事件は神からの贈り物だと思ってノートに書きます！ユーチューバーも金かければかけるほど視聴率上がるし(なんの話？)、なんなら５千円じゃなくてよかったです！！！(特大意地っ張り)そのノート5万で売ってお金取り返します！！(嘘)応援してください！！！(支離滅裂)」

って言ってネキとはお別れした。
もはや感謝しすぎて消費者センターの人になりたくなって、職員の求人調べた。大卒じゃないと無理だった。
ボートレース見た時も感動しすぎてボートレーサーのなり方調べた。まず背が高すぎて体重重すぎて無理だった。
とにかくそれ程に良い人だったネキ、ありがとう。一生忘れない。普通に恋愛相談とかもしたかった(迷惑)。

今回の事件を経て、どこかで「騙された自分が悪いんだ」と思って自分に自信をなくしてたけど、そんなことはない。いやちょっとあるけど。
私はほんとに猪突猛進な性格で、「一度持ち帰る」ということをあまりしない。「とりあえずやってみるか」魂でこの30年間生きてきたのだ。
それもいいけど、一度立ち止まって冷静になることも大切だと学んだ。
めちゃくちゃ色んな人に励まされた。周りの人の温かさ優しさを再確認した。良い5万円だった(なわけない)。

てなわけで、5万円取り返せるように、お仕事ください！(？

おしまい(投げ銭もください)