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「春の恋は舞いやすい」の感想

「春の恋は舞いやすい」
★★★☆☆
2022年28本目(今年ペース悪くてごめんなさい…!)

※感想にはネタバレを含みます。これからご覧になる方は読まないように気を付けてください。ネタバレ厳禁タイプの映画です。

最初、コメディかと思いきや、それが全部実は伏線になっているという意外性は正直一回目見た時は全く気づけなかった。また、いちいちコントラストな表現は皮肉が効いていて伝えたいことを強調できているように感じた。

例えば田舎で育ったヒロインが、上京してきて、いわゆる大学デビューをする、という展開はありきたりだけど、新幹線の中で「一生懸命標準語を練習」しながら「実家の母親が作った梅干しのおにぎり」を食べるシーンは、新幹線の窓の外から見えるはずのないスカイツリーをわざと見せることで、この世界が現実ではないことを強調してると同時に、ヒロインの抱える浅さや矛盾が強調されているように感じた。

いま書きながら気づいたけど、“窓の外のスカイツリー”は実はヒロインの妄想で本当は窓の外の景色すら直視できてなかったってことなのかな…?

また、ヒロインを好きになる男の子が、実は田舎出身を偽った東京出身の男の子、というのは正直めちゃくちゃ都心出身の私には刺さってしまった。田舎に憧れる気持ちを表現するのが本当に上手い。しかも、この男の子がいわゆる港区や世田谷区や文京区の出身では無くて、立川出身というのが妙にリアルだった。
本人も言っていたけど「中途半端な東京よりも、田舎の出身って言った方が、お前だって親近感が湧いただろ?」っていうセリフはぐうの音も出なかったな。
そして、そのセリフのシーンでわざとらしく、東京では見えるはずもない星が見えるっていう演出もすごく刺さった。星は立川でも見えるし、ヒロインの出身地でも見えるけど、二人が今いる、いわゆる“東京”では見えないんだよなあ…、としみじみした。

一方で、神田鈴香ちゃんの演技がところどころわざとらしくてそれが気になった。だけど、映画初主演にしてこれは今後期待できるんじゃないかな。そして、松野くんはもう天才だね。最近の俳優さんで頭ひとつ抜けてるなーという印象。本当にアイドル?って思ってしまう。

じゃあなんで星4以上じゃないのかっていうと、音楽がうるさくてそれが残念だった。。。松野くんが準主演だから仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、合間合間にbluexblueの楽曲が入ってくるのが勿体無いと感じてしまう。アイドルソング、主題歌に使うのはもう諦めるから挿入歌はやめてほしい…。

でも、ストーリーや脚本に関してはこれでもかってくらい最高だし、あえて書かないけど、タイトルもしっかり回収されてるので、是非見てみてください。
次回の秋植監督作品も楽しみにしてます。


長々と書いたけど、こんな映画はこの世に存在しないので、是非ググってみてください。



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