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人間になりたい人間風の人、愛したい人。

隣に座っている上司のNさん。
結婚をきっかけに部署を移動してきてまだ日が浅いらしい。
口癖は
「学びになります!」
いつも自信なさげなNさんはいつになったら学び終えるのだろうと時々不安になる。
でも何となくNさんを不安にさせているのはNさんではなく組織そのものなのだろうということもわかっている。

昨日はNさんの誕生日だった。
ズタボロの私は、Nさんに送るほどの愛を持ち合わせていなかった。
でも人間として生きていれば当たり前に思うこと、
それはちゃんと感じていたから、どうしても祝いたかった。

業務に夢中なNさん、
本当のNさんにまだ出会えていないけれど、
でも、後輩の私を一生懸命育ててくれようとしている姿にとても感謝している。
私が企業という組織に大冒険しに来て
かろうじて生きていけているのはNさんのおかげだと思う。

だから、とても感謝している。
生まれてきてくれてありがとうなんて、
大げさだからなかなか言えたもんじゃないけれど、
出会えたことに感謝しているのを伝えるのに
”誕生日”はとっておきだと思う。

気を遣わせなくて、でも感謝が伝わるくらいの何か、
を私なりに考えた結果、
クッキーになった。
まるで高校生みたいにお菓子にマジックで
誕生日おめでとうございます。
と書いた。
本当のNさんにはまだあったことがないから、
私はその先を書けなかった。
何を書いたか忘れてしまった。

業務が終わって、ほかの上司が帰るのをこっそり待って、忙しそなNさんに
「プレゼントです。お誕生日おめでとうございます。今日は素敵な時間を過ごしてください。」
と伝えた。
Nさんはうるうるしながら
「こんなの久しぶり」
と言っていた。
私ははじめてNさんに会えた。
なんだ、人間じゃん。
いつも、人間になりたかったんだ。
Nさん、どうか、幸せになって。
満たされることを知って勇気をもって、
幸せになって。
私はまだ、祈ることしかできないけれど、
この環境においてでもそうやって素直に伝えてくれた上司に出会えたこと、
とても大切な思い出です。

ありがとうございました。

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