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5年前、「高校の修学旅行で体験した民泊の感動を広めたいんです!」って熱弁して大学に入った。散々な圧迫面接で教授の顔も名前もすっかり忘れてしまった。大号泣してたのを覚えてる。

「民泊は、家族みたいな、ぬくもりを味わえるんです、全く縁もゆかりもなかった地に家族ができるんです。」
そうやって話した時、
「それって、カフェとかスナックじゃダメなの?」
って聞かれたことを今でも思い出します。



たしか18歳の頃の私は馬鹿正直で、「そうかもしれないです、でも、スナックも行ったことないしカフェもあんまり知らなくてわからないです。」と答えた気がします。



あれから5年たった今、たくさん旅をした私は北鎌倉に住んでいる。
60歳をすぎてから趣味だったお菓子と編み物のお店を始めたというおばあさんと仲良くなった。
私が作った歌も聞いてくれる。
40歳くらいのお姉さんは、観光地の一歩奥に入ったところで喫茶店をやっている。日本中旅していた彼女の話はとても楽しくて説得力があって何より、ここのガトーショコラは絶品。

初めてあったのにもかかわらず、お姉ちゃんのように思ったりおばあちゃんのように思ったりする。安心する。
なんだか民泊やゲストハウスで体験したものと変わらないことを実感する。




結局、私が好きな宿はやさしい愛があるところだった。
今わたしはこの地に暮らしを始めて、この地のことを、自分自身のことを、お客様のことを丁寧に愛する人々に出会っている。

5年前、スナックや喫茶店じゃダメなの?っていっていた顔も名前も忘れた鬼怖かった教授陣のことを思い浮かべる。




愛の発信地は宿でも喫茶店でもなんでもいい、そこにちゃんと、揺るぎない愛があれば。
旅人ではなく暮らすことでわかることがたくさんあって楽しい。そんな日々を丁寧に愛する。
私もちゃんと、愛を発信し続けたい。
きっとそれは、宿でも喫茶店でもノートでも歌でもいいのだと思う。

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