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美容は「自己理解のツール」私は私を活かしていく生き方を選んだ

美容編集者、ライター、ブックライターとして活躍されている、畑中美香さん。女性誌を中心に美容や健康記事に関して取材、執筆、連載、またnoteで
「やり直し美容」という名のもと、美容についての発信をしてきた。
けれども本格的に美容に向き合い始めたのは、40代に突入する前のつい最近のこと。その過程で気づいた、「美容は人生を通じた自己理解のツールだ」という言葉。
それは一体どういうことなのか。畑中さんの美容を通じた生き方に触れる。

【プロフィール】
カード会社勤務を経て、25 歳で出版業界へ。 美容系編集ブロダクション、素敵な奥さん編集部(主婦と生活社)、GINGER 編集部(幻冬舎)を経て 2016 年よりフリーランスにて活動中。 25ans、MORE、MAQUIA、VOCE、mi-mollet などの美容誌や web メディア で、編集&ライティングを担当し、美容・健康、女性の生き方やライフスタイル分野 での経験が豊富。美容系書籍のディレクションやブックライターとしても活躍。 「美容は人生を通じた壮大な人体実験」をモットーに、日々トライ&エラーでビュー ティ&ヘルスケアに取り組んでいる。


30代後半、ある日突然イケていると思っていた顔がそうではなくなった

「美容がそんなに好きではなかったんです。」
それはとても意外な一言だった。畑中さんが美容に本格的に向き合い始めたのは40歳になる少し前のこと。
「今まで着ていた服が似合わなくなり、メイクも眉毛をしっかり描いて、チークを塗らないとなんだかしっくりこないと感じるようになって。年齢を重ねて顔立ちが変わったんだとは思うんですけど、何が変わったか明確にはわかりませんでした。」

それまでは、顔立ちが華やかでメイクをすると派手になってしまうと感じていたため、メイクはさりげなくする程度。むしろ顔が華やかだから服をおしゃれにして、メイクをやりすぎず引き算してバランスを取っていた。
ところが30代後半になると「何かが変」という漠然とした違和感を感じるようになる。
そこで畑中さんは、美容編集者としての知識と経験を総動員し、美容に取り組んでみることにした。

まず始めたのは、自分の感覚に素直になるところから。
「自分が本当に望んでいることが分からなくなってしまう時がありました。スキンケアをしながら、考えながら、肌を触りながら、感じながら、肌少し乾いていないかな、潤いを求めていないかな、と意識を自分自身へ向けていくようになりました。」


私はモード、いや、まさかのコンサバ…!?
理想を手放しそのままのわたしを活かしていく

若いころは、ケイト・モスみたいな辛口、シャープ、モードが好きで、ミニマルな装いを意識していた。けれども年を重ねていくにつれ、ケイト・モスに近づくどころか、むしろ苦手なコンサバやエレガントな要素が際立ってきていると感じた。

「私は、私でないものになろうとしていたことに気づきました。根本的な特徴が違うわけで、私はケイト・モスにはならないなって(笑)。じゃあ私はどこを目指すの?となった時に、美容をやっていく中で、私は私のままでよくて、私の要素をどう活かしていくか考えた方がいいんだ!と気づいてからは、理想を追いかけるという考え方を手放しました。」

では自分の要素を活かすというのはどういうことなのだろうか。
畑中さんは自分の似合うについて徹底的に向き合ったのだという。まず着手したのは洋服から。自分と似た体型の人の写真をSNSで探し、どんな服が似合うか考察し、お店で似た服を試着する。それを繰り返しいくと、自分に似合う服が分かってきた。
メイクでは、自分に合う眉毛を見つけるために、眉毛を描いては消しを繰り返した。
「最初は漠然とした違和感から始まりましたが、自分で服を着てみる、眉毛を描いてみるなど、小さな行動を続けていくことで、自分を活かすということを、身をもって体感していったんだと思います。」


美容は自己理解の入り口になる

「私は美容を通じて、内面も外見も自分が自分でいいと思える自分でいたいということに気づきました。」
畑中さんは今から7年前にフリーランスに。それからしばらくしてアーユルヴェーダ、ヨガ、瞑想、タロットなどさまざまなことを学んだ。もとから興味があったジャンルではあったが、美容編集者というのにプラスして、何か自分に武器がほしいという気持ちもあったという。

だがそれ以上に美容という世界を見てきたからこそ、外見的な美しさと内面的な美しさの両方にひかれていった。
「もちろん外見は大切です。その人を知るファーストステップでもあるので。でも外側がどれだけきれいでも、内面が満たされていないと、その人の本来の美しさではないと思っています。内面を満たす、整えるとはどういうことだろう、と思って心身の健康や精神世界に興味を持ちました。」

美容は自己理解の入り口になると畑中さんは言う。
「アイテムは何を使ってもいいんです。それよりも大事なのは、自分と向き合い、美容を丁寧に取り入れることで、いいように変わっていく自分と、ありのままで変わらなくていい自分がいることに気づくことだと思います。」

でも最初はうまくいかないかもしれない。トライ&エラーを繰り返し、自分で自分のいいところを引き出していく。その過程そのものが自分を大切にすることであり、自己理解へと繋がっていく。


自己理解からその先へ
アウトプットすることで自分の未来を描いていく

美容を通じて自分を知ることの楽しさを知った畑中さん。編集者として走り続けて20数年、次のステージへ進みたいという気持ちが芽生え始めた。
これまでは、誰かの話していることや得た情報など、いわゆる取材したことの中から、編集者視点で面白いと思ったことを記事にしてきた。
自身のフィルターを通して発信してはいるが、自分の言葉ではなく、誰かの言葉の代弁であった。

何か新しいことをするには、自分は何者か、自分は何をしたいのか、SNSなどで外に発信する必要があった。けれども今まで人のことはさんざん発信してきたのだが、自分のことを発信するとなると苦戦。
「発信するということは、見てくれる人がいる前提で、その人たちにとってためになる情報であるべきだと思っていて、自分が得意とする美容に関する情報を発信するようになりました。」

そんな中、自分について発信することもまた、自分を知ることに繋がっていることに気づいた。自分が求めていることや自分のやりたいこと、どうやって生きていきたいかなど、日々自問自答する。その繰り返しが、自己理解を深めていく。
美容もアウトプットも畑中さんにとって、自己理解の大事なツールだ。

「自分を知ることで自分が満たされていくのだと感じています」
アウトプットしていく中で、幸福感を味わい、満たされた。そうすると人のために、社会のために貢献したいと強く思うようになった。

「やりたいことは見えてきていないわけではないのですが、まだうまく言葉にできなくて、ぼんやりしている状態。これまでのさまざまな学びがつながっていっている感覚はあって、これからはより一層、人のため社会のために美容というものを活かしていけたらいいなと思っています。」


ライター後記

私たちは、時に自分に向き合うことを疎かにしてしまうことがある。
もっとこうだったらいいのにと、今の自分とは違うところに自分を求めてしまう。
そうではなく、今いる自分をしっかりと見てあげて、そこに少し美容の力を借りてみたら、自分がすでにもっているその良さを素直に感じることができるのではないかと思う。
美容に正解がないように、どんな生き方を選ぶのか、それにも正解はない。
自分の可能性を信じ、丁寧に自分と向き合って、自分を観察しながら、対話しながらやっていく。その小さな挑戦が、私が私でいることの喜びにつながっていくのだと思う。

"既にあなたの中にあるすばらしいものを自分と対話しながら見つけていく"

この畑中さんの美容を通じた発信が、誰かの自己理解を進める入り口となってくれると確信している。


取材・文:はしもとかほ

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