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須恵器・土器を愉しむ【大庭城と城山の歴史&藤沢市・遺跡調査速報展(藤沢市民ギャラリー )感想】

 「須恵器・土器を愉しむ」では、個人的関心事の須恵器・土師器を中心に「考古・郷土全般」に関する都内および近郊の展示に関する感想・情報を綴っていきます。施設側の情報発信が少なく「どこに何が展示されているのか分からない」ことも多いので、参考にしていただければ幸いです。
 今回は、Webで告知を見た、藤沢市神奈川県藤沢市の考古展示のレポートです。

■弥生・古墳期からの人々の暮らしが継続している土地 
 湘南大庭地区には、室町時代に築かれた大庭城があり、その遺跡は開発をまぬがれ約3分の2が調査・保存されているとのこと。また、その城山大地には弥生・古墳期から続く、各時代の考古史料が出土している。それら出土資料が時系列で展示されている。

弥生期から古墳期の土器。脚を持つ炉にかけるものが並ぶ。

 『モノと技術の古代史 陶芸編』(小林正史編、吉川弘文館、2017年)は、縄文・弥生・古墳期の土器を炊飯利用の面から考察し、製造手法や使い方について詳しく紹介している。
 それによれば、中型の高坏は、共有の器で複数人で使う。粘りけの少ない米を盛り、手を伸ばして米をこねて口に運ぶ。手食だった。それが銘々食器の小型高坏も登場してくる。
 弥生から古墳前期の住居は、中心の炉を設け、そこで米を煮炊きした。その後、多品種の米が税として集められ配分されると、水加減の調整が難しくなり、炊飯は炉の煮炊きからカマドを使って米を蒸すようになる。炉の周りで灰をよけるための高坏は、各自が手持ちで米をこねる坏に変わる。
 そうした米の品種改良と炊飯の変化について視覚的に確認することができた。

面白い意匠の高坏。

■「第18回遺跡調査速報展」
 従来は発掘調査が実施された遺跡の紹介のみだったが、今回は本格調査前の試掘で出土した考古資料も展示しているとのこと。こちらの展示でも炊飯用具や坏各種が並ぶ。須恵器の坏と身模倣・蓋模倣土師器を見比べることができる。

平安時代の上下持ちの高台付き碗。かなり大きめ。

 博物館・資料館では数個の展示になってしまいがちな甕や壺、坏などが、数多く並び、見比べることができるので、理解や発見につながる。パネルや写真の説明もていねいで、少し基礎知識があると、見応えを感じる内容だ。

会期 2018年10月27日から2019年1月13日(日曜日)まで
開館時間 午前10時から午後7時まで(日曜日は午後5時まで)
会場 藤沢市民ギャラリー常設展示室(藤沢駅ルミネ藤沢店6階)
毎週月曜日・12月28日~1月4日は休館日
入場無料


フリーランスの編集・ライターとして活動しています。編集・ライター作品紹介webサイト「神楽出版企画」(企画から制作進行・執筆までワンストップ対応)
http://www.kagurasyuppan.com


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神楽出版企画・塩澤雄二(編集・ライター)
須恵器・土器・考古・郷土史等々に関し、都内近郊の博物・資料館・展示の情報を整理記録がてらアップしていく予定です。