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ウマ娘の舞台版見てきたので感想書くよ!(超長文)

ごあいさつ


皆様おはようございます。かぐらでございます。

1月28日(土)に、「舞台ウマ娘プリティーダービー~Sprinters’ Story~」を観劇してまいりました。

私、こういった2.5次元作品はあまり見ないのですが、今回は非常に興味深く感じたので色々と書き連ねていこうと思いますので是非お付き合いいただければ幸い。

舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters’ Story~観劇のきっかけ

これはもう単純ですよね。「え、CVの声優がそのまま舞台で演じるん!?」という所。

今大人気を博しているコンテンツの舞台化作品で、キャラクターの声を務める声優がそのまま舞台版に出演し、舞台作品として上演すると言うのは、過去にも無くはないことだろうが、はっきりと「舞台版」として公演されるものはおそらくかなり稀有なことだろうと推察している。

そんな作品を見ないのは非常にもったいない!と言うところが今回の観劇のきっかけ。
残念ながら、例の感染症によって大多数の公演が中止となり、本来千秋楽の前の日となるはずが、再開の二日目となったが、その点も踏まえて感想を語っていこうと思う。

まずは全体的な感想
※ここから先は作品のネタバレを多分に含みますので閲覧にはご注意下さい!※

全体として「舞台」と言うよりも、
「ミュージカル」の印象が強い印象を持った。
しかし、さすがウマ娘チーム。
史実を元にしているとは思うが、
その史実を知らずとも、しっかりとその物語を脚本として表現している所がまさに流石の一言。

「走る」という行為自体は、狭い舞台上で表現する方法はいくらでもあるが、
タップダンスの要素を入れる事により、
「ウマ娘が走る疾走感」に加えて「独特の蹄鉄の音」を
表現している点がこの作品にピッタリとマッチしていると感じられた。

1.作品の内容で気になったことを。

内容としては非常にシンプルな構成ではあるが、
惜しむらくはダイイチルビー(礒部花凜)とケイエスミラクル(佐藤日向)の
「走る意味に対する向き合い方」の変化が、
その出自からも非常に類似してしまい、
同じことの繰り返しに見えてしまった点と、
ヤマニンゼファー(今泉りおな)が狂言回し的な立ち位置と、
3人と共通で関わりを持つ同期組との間を行き来しすぎた事により、
完全にふわりとした存在になってしまった点である。
もし公演数が予定通りであれば、そのアプローチの違いを変化させられることも出来たかもしれないと思いはする。

個人的にはぜひ全公演完走して欲しかったと言う思いが極めて強い。
仕方がない事とは言え、中止を挟んだ再度の初日明け二日目に観劇となった為、
「二日目独特の空気」が少しだけ漂っていたのも、完走してほしかったと感じられる要因の1つである。
書き方として「完全じゃないものを見たのか?」と思われそうな書き方だが、私は舞台という表現は、その不完全さも楽しむものだと感じているし、本作を通し、再確認することも出来た。

2.特に注目したいキャストについて。

さて。今回の作品においてはやはり座長であるダイタクヘリオス役の山根綺の芝居と言う所にはぜひ注目してもらいたい。
いわゆる「パリピ」と言う表現が正しいだろうダイタクヘリオスと言うウマ娘にとっては、「すっごい走りをするお嬢(ダイイチルビー)と一緒に走るのが楽しい!」と言う思いだけで走っていた、シンプルで真っ直ぐなウマ娘だが、
レースを通じ、勝利と敗北を通し、そしてダイイチルビーと言う存在と真正面から向き合った結果、
「楽しく走ることだって正しいことだ」と言う強い想いを抱いた瞬間。
その表現が、背筋がゾクゾクするほど素晴らしいものだった。

その表現は、ともすれば「狂気」とも取れる表現だったが、
対峙する相手が「狂気的に自己に課せられた(と思いこんでいる)使命」の為に走っているダイイチルビーであれば、
とても当たり前に釣り合う「意地」となっていたのが素晴らしかった。
山根自身の初舞台で座長と言う立ち位置を経験すると言うのは、その言葉以上に彼女の表現を底上げして居ると私は考えている。

もう一つ特筆すべきは、礒部花凜の歌唱表現。
少し宝塚の娘役を思わせる歌唱によって、
ダイイチルビー自身の「高貴性」や「良血性」を一層引き立てて表現しているように感じられた。
細かい歌唱表現や所作の一つ一つにこだわり、全身で「華麗なる一族の娘」役を演じている所から、彼女のこだわりと演技への執念を見て取れた。

あと一つだけ書いておきたい事がある。それは実況解説役の2人である。
競馬実況の独特の空気感をしっかりと表現しており、レースシーンの緊迫感をより一層高める要因となる素晴らしい芝居であった。(しかもとても自然と言うのも追記すべきであろう。)

他には、レースシーンの表現にも注目しておきたい。
映像とフォーメーションの変化と、前述したタップダンスの要素が組み合わさったとき、実際の競馬で見る馬群の様に見え、競馬でレースを見るときのあの緊張感や高揚感を感じさせてくれるのである。
また、ヘリオスの「カラオケで友人達と一緒にウィニングライブ」をして居るシーンと、GⅠ勝利時のウィニングライブの違いなど、細かい表現を見ていくと、本当に見ごたえがあり、十分に楽しめる作品であると思う。

3.どうしても気になってしまった点。

一つだけ苦言を呈したいポイントは、「ペンライトの使い方」の説明についてである。

舞台作品でペンライトを観客に使用させると言う行為は、作品の世界感を崩してしまう可能性が大いにあり、正直あまり勧められる演出ではないと考える。
しかしながら、ウマ娘と言う作品の世界に於いて、「ファンやトレーナー等、応援してくれた人たちへの感謝の場」であるウィニングライブを表現するのであれば、ペンライトを観客に使用させるのは当然の選択であるとも感じている。

しかしながら、その使い方を観客に伝えるのであれば前説でやったほうが良かったのではないかと強く感じられた。

ペンライトの説明シーンは、アニメのアバン的にメイン4人の紹介やイントロダクションを、とても濃く作られた直後に入っていた。
しかし、私はこれは作品の流れとして、非常に「邪魔」な位置ではないか?と感じられた。
あの長さのシーンであれば、前説で入れ込めば作品世界へのイニシエーションとしても使えるし、しっかりと観客に作品へ参加してもらうことも出来るであろう。
この点だけは、本作の中で大きなマイナスだと私が感じた点である。

4.雑感をまとめました。

さて。ここからは雑感になるが、声優の職域が広くなっているとはいうが、舞台作品に出演すると言う事は実は本来の声優からすれば原点回帰といえるのではないか?と考えている私にとって、今回の舞台はある意味声優と言う職業が「俳優のアルバイト」であった時代から完全に脱却した証左であると感じている。

後ちょっと気になったのは、やっぱり舞台に慣れていない観客も多かった為か、ペンライトを上演中に落としてしまう方が多く見受けられ、その辺はまぁ…しょうがないよなぁ…と言う思いもある芸歴三十ウン年の舞台屋の感想である。

もし見れなかった方は映像でもいいので是非見て頂きたいし、
是非同じメンバーで再演して、より多くの「トレーナー諸氏」に見て頂きたいと感じた作品であった。

「舞台作品としてもちゃんと面白いぞ」と言う言葉を添えて、感想とする。

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