僕は君の「熱」に投資しよう 感想
漫画や小説と同じ感覚で読んでいる自分に、半分ぐらいまで読んだ段階で気づいた。とにかく熱中してしまう。興奮しながら次の展開が気になってしかたがない。
ビジネス本に対し、こんな感覚をもったのは初めてかもしれません。
単純に面白い。
まずはそれだけでも伝えたい。
著者の佐俣アンリ氏は、20代の時にベンチャーキャピタリストとして起業していて、投資対象は「熱」だと語っています。
成功を目指す若者達の、持てあますほどの熱を見て投資を決めているそうです。その中には大成功した「UUUM」や「ラクスル」があります。
本書では特に、UUUM創業者の鎌田氏と著者の出会いから、マザーズへの上場を果たすまでのエピソードが面白いと思いました。
ユーチューブがまだ一般的じゃなかった2013年に、著者と鎌田氏が出合います。鎌田氏が「ユーチューバーでビジネスをやりたい」という話をカフェで言い放ったことから始まり、ユーチューバーのマネジメントという新しい発想で大成功を収めるまでを語っています。
「マネジメントを一流にすれば、ユーチューバーは一流のクリエイターになれる」
本書で書かれている言葉です。
今でこそあたり前の事と分かりますが、その当時の鎌田氏の先見性と、その熱に投資することを決めた著者の判断力が、日本でユーチューブが爆発的に広がった一つの要因ではないかと思います。
また、2018年に大きなニュースになった「コインチェック事件」についても語られています。この事件は、コインチェックが外部からのハッキング攻撃を受けたことによって、580億円相当の仮想通貨が盗まれてしっまた出来事です。
著者はこの会社に大株主として投資していた為、世間からの猛烈な批判を受けてしまいます。起業家と一緒に地獄に落ち掛けるが、なんとか危機に対処し、死地から復活するまでのエピソードが書かれています。
ここで著者が強調していたのは、起業家たちと一緒に修羅場と向き合い、そこが地獄だろうと一緒に落ちることができるタイプの投資家が、最後まで生き残るということです。
これが自分だったらどうしていただろうと想像してみると、まっさきに逃げ出すか、沈黙してなんとかやり過ごすことだけ考えていたと思います。
だからこそ、著者が最後まで逃げなかったこのエピソードは、本当に凄いと思いました。
ここまで、具体的なエピソードについて紹介してきましたが、本書が一番に訴えたいことは、「若者たちの膨大な熱に誰かが共感し、応援してあげなければならない」ということだと思います。
その方法は、投資することや一緒に働くこととか色々あります。
そうしなければ、日本で新たなイノベーションが生まれないことは、断言できると思います。今の日本でGAFAのような企業が生まれる環境を作るには、まだかなりの時間が掛かるだろうと本書でも指摘しています。
この本を読みながら、もし自分が20代に戻れたら、起業して成功を目指す熱い時間を過ごしてみたいと考えていました。
「今からでも出来るだろ」と言われてしまうこともあると思いますが、会社員として安定した生活を長年送っていると、なかなか出来るものじゃないと考えてしまいます。
だったらせめて、副業でも何でもいいから、小さくても成功体験を得られることをやり続ける。そうすることで、今からでも熱を感じることができると思います。
本書は、会社員、投資家、起業家、学生など誰が読んでも楽しめるし、勉強になる内容だと思います。冒頭でも書きましたが、小説みたいにさくさく読めてしまいます。
是非、読んでみてください!!!
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