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策士策に溺れる

まだ自分が三歳ぐらいの頃の話。近所の子供達と大きな家の庭で遊んでた。庭には芝生が敷き詰められ子供達が駆け回るのに十分な広さ。そして鯉でも飼っていたのか石に縁取りされた大きな池がある。

実は遊び仲間の一人に、いじめっ子ではないけど何かと悪さをしかけてくる子がいて困ってた。自分が池の周りの石をぴょんぴょん渡っていると近くに来て押すぞ押すぞと怖がらせてくる。

もし押して来たら池に落ちそうなぐらい大きなリアクションを取ろう。その子の姉さんが注意してくれるかも、なんて甘い期待を抱いて。

すると案の定「ワッ!」と大声を上げ男の子が迫って来る。

その瞬間ぴょんと次の石へ飛んだらつるり足を滑らせ池の中!

足が着かないくらい深かった記憶と、見上げれば緑色の濁った水の上に揺れる白い光の映像。

助けられて庭に這い上がれば周りはちょっとしたパニック状態。

「〇〇ちゃんが池に落ちた~」と誰かが叫びながら飛び出していく。

家の人が出てきて「(服が濡れてるので)お家に帰ろうね」みたいな事を言われふと我に返る。

まずい、池に落ちたなんて知られたら家から外に出してもらえないかも?

「いやだ、(帰らないで)もっと遊ぶ~」と泣きじゃくる自分。

隣では騒ぎを聞きつけたその子の姉さんが「あんたが落としたんか?」といたずらを仕掛けた弟を激しく問い詰める。

「違う、違う」と否定する男の子。

確かに違うよね。押すふりをして驚かせようとしただけだから。男の子が正直に打ち明けたかのかどうかはわからずじまいだけど、今考えればその子にとってちょっとしたトラウマになったんじゃないかと。

でもその後は嫌がらせに困ることはなかった。

ふと思い出した幼い日の記憶でした。

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