天の岩戸

日本の神話は上手く作られていると思います。

例えば、アマテラスの天の岩戸の話。

海原を治める弟のスサノオが、母がいる根の国に行きたいと泣き続けたためイザナギによって追放される。そこで、根の国に行く前に姉のアマテラスへ挨拶をしようと高天原たかまがはらに上る。でもアマテラスは、弟が高天原たかまがはらを奪いに来たと思い武器を手にして待つ。

スサノオは、誤解ですと誓約をして身の潔白を晴らす。だけど、図に乗って乱暴を働いたのでアマテラスは天の岩戸に隠れてしまう💦(wiki調べ)

この後は、天の岩戸の前で神様が楽しく歌い踊る。不思議に思ったアマテラスが顔を出したところを岩戸から出され、スサノオは高天原たかまがはらからも追放となる。

これを、途中まで主語を外しざっくり意訳してみました。

水害が相次いだ。
高天原たかまがはらに侵略の危機があった。
誓約を結んだ。
地震に悩まされた。

意訳のきっかけは、こんな記事を見つけたから。

神戸市玉津田中遺跡では、弥生時代の水田が2100年前の洪水で砂に厚くおおわれていました。砂は厚いところで約1mにもなります。村のそばを流れていた明石川が、大雨で氾濫し、濁流が村を飲み込んだのです。
(中略)水田を失い、ここでの暮らしをあきらめた人たちは、洪水の被害にあわない高台へと移動してしまったのです。この村に再び人々が戻ってくるのは、大洪水がおこってから100年以上後のことでした。

兵庫県立考古博物館 災害と祈り

今から2100年前の弥生時代、明石川流域で洪水の被害があったそうです。
福岡(板付遺跡)、岡山(久田原遺跡)、奈良(唐子・鍵遺跡)、滋賀(服部遺跡)、静岡(登呂遺跡)でも弥生時代に複数回洪水の痕跡があります。

だから「神が泣き続ける=度重なる洪水/水害」としました。
或いは、水田や生活の場を失い人々が泣き暮らしたのを被せたのかも💦

「武器を手にして待つ」は、弥生時代中期~後期(2世紀後半)、
日本で「倭国大乱」という内戦が起きたと中国の史書にあります。
もしかするとそれが関係があるのかも。

誓約は、高天原たかまがはらを攻めに来たのではないという証明。仮にスサノオを根の国側(出雲の国)と考えると、互いに敵対関係にならない交渉ではないか?
でも、図に乗ったスサノオは乱暴を働く。
本当に暴れたのか、或いは後の高天原たかまがはら追放の伏線なのか?

播磨国風土記はに、アメノヒボコという好戦的な渡来神の話が出てきます。上陸許可を求め、断られると剣で海をかき回し島を作った。地元の権力者との戦いで谷が曲がってしまったとか。
エネルギーの大きさが、洪水や地震を思わせます。

だから「地震=スサノオの乱暴」と表現したのではないか?
実は、2000年ほど前に琵琶湖西岸でM7.5の地震の痕跡があるそうです。さらに紀元前後に、M9級の南海トラフ巨大地震の疑いも。

何度も水田や村が洪水の被害に遭う。
さらに地震や他国との緊張関係に悩まされる。
おまけに、神様も天の岩戸に隠れてしまう。
元祖引きこもりですね💦

ちなみにアマテラスはどれくらいの間、天の岩戸に隠れたのか?
前述の玉津田中遺跡では、再び人々が戻ってくるのは洪水の被害から100年以上後だとしています。

だから天の岩戸の話は、昔は長いこと災害や脅威に悩まされた。でもそれを乗り越えて人々が再び暮らせるようになったよ、ということなのかも😊

事実を織り交ぜ、ショックな出来事もさらりと物語風にまとめる。
神話はロマンがあっていいね😅

最後までお読みいただきありがとうございました💖

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