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「仕事の思想」 田坂広志

「仕事の思想」 田坂広志 PHP研究所(1999/11)

 本書との出逢いは、ITバブル崩壊で所属していた事業部が混迷の極みに陥った2002年でした。

 “なぜ我々は働くのか”というサブタイトルどおり、「思想」「成長」「目標」など10のキーワードを通した著者の真摯な問いかけに、「働く」ということの本質について真正面から考えさせられました。

 「思想」とは、現実の荒波や潮流に流されてしまわないようにするための「錨」。

 私たちが、人生の多くの時間を費やし、一生懸命に仕事をするのは、 決して「生活の糧を得るため」でもなければ、「生き残るため」でもありません。

 世阿弥の言葉に、「初心忘るべからず。ときどきの初心、忘るべからず。老後の初心忘るべからず」というものがあります。

 入社したときの 「夢」を胸に刻みながら、幾多の 「試練」に挑戦し続けていくことの難しさ。

 現在も、混迷の度合いが深まる環境下、日々の業務に取り組みながら、 現実に流されそうになったとき、ふと原点に復帰させてくれ、自身の内側に問いかける機会を与えてくれる本書の存在は、私にとってかけがえのないものです。

 ポイントを下記します。

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■目次■
1. 「思想」:現実に流されないための錨
2. 「成長」:決して失われることのない報酬
3. 「目標」:成長していくための最高の方法
4. 「顧客」:こころの姿勢を映し出す鏡
5. 「共感」:相手の真実を感じ取る力量
6. 「格闘」:人間力を磨くための唯一の道
7. 「地位」:部下の人生に責任を持つ覚悟
8. 「友人」:頂上での再会を約束した人々
9. 「仲間」:仕事が残すもう一つの作品
10.「未来」:後生を待ちて今日の務めを果たすとき

■ポイント■

「思想」:現実に流されないための錨
・深みのある「仕事の思想」を求める
 ・「死生観」「世界観」「歴史観」

「成長」:決して失われることのない報酬
 ・登るにつれて、見えてくる世界
 ・「給料」 → 「能力」(Pro) → 「仕事」(やりがいのある四方よし) → 「成長」
 ・「こころの世界が見える」ように:見えなかった世界が見えてくる

「目標」:成長していくための最高の方法
・「夢」(Vision)を本気で語り、「目標」(Goal)を具体的に決める
 ・「夢」が「初心」になる:「登るべき山を定める」
 ・「初心、忘るべからず。ときどきの初心、忘るべからず。老後の初心、忘るべからず」(世阿弥)

「顧客」:こころの姿勢を映し出す鏡
 ・「厳しい顧客こそ、優しい顧客」
 ・「無言のメッセージ」"Non Verbal"を読み取る訓練

「共感」:相手の真実を感じ取る力量
・まず、「無条件に」相手の共感する
 ・「操作」しようとしない

「格闘」:人間力を磨くための唯一の道
 ・「現実の生活の場で体験し、修練する(知行合一)」:「人間学」
 ・「小賢は山陰に遁し、大賢は市井に遁す」
 ・「相手と正対する覚悟」:「人間のこころを深くみつめる」
 「類型化」しない(決めつけない):「不可思議さ」に心を寄せる
 ・「反面教師」→「内面教師」:「内面省察」

「地位」:部下の人生に責任を持つ覚悟
・「義務・責任を喜びに」(noblesse oblige):「義務を覚悟する人の高貴さ」
 ・「顧客、部下の笑顔を見る喜び」
 ・「自分が成長し続ける」(Being):「こころの姿勢」

「友人」:頂上での再会を約束した人々
・「歩みを止めずに頑張っている友人達」:「無言の励まし」

「仲間」:仕事が残すもう一つの作品
・「夢と共感に溢れた職場の仲間」(永遠の一瞬)
 ・「タンポポ」:どこに飛ばされても、そこで花を咲かせる

「未来」:後生を待ちて今日の務めを果たすとき
 ・「夢の実現のために、力を尽くしたかどうか」
 ・「未来に思いを馳せる」
 ・「夢破れても、誰かが引き継ぐ」
   "I couldn't, but I tried."

「仕事の思想」一枚まとめ


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