「なぜITは社会を変えないのか」 J. S. Brown
「なぜITは社会を変えないのか」 J. S. Brown 日本経済新聞(2002/03)
"The Social Life of Information" by John Seely Brown
ナレッジマネジメントは、絵空事。
ITが万能薬であるかのような当時の風潮に対し、過度のIT化を「トンネル・デザイン」として警鐘を鳴らす書です。
「トンネル・デザイン」とは、出発点からトンネルを掘って、最短距離で目標地に進むことを重視するあまり、その過程において何も学べない上に、変化に対応できなくなってしまう現象を例えたものです。
確かに、近年、インターネットが日常生活にまで浸透してきて、何か分からないことがあっても、簡単にGoogle等で調べることができる非常に便利な世の中になってきました。
昔は、分からないことがあると、百科事典を調べまくったり、図書館や本屋を巡ったりして苦労したが、振り返ってみると、そのように苦労して得た知識というのは、その周辺情報も含め、幅広い理解を得られたように思います。
本書は、「T」ばかりが重視されるIT革命の中で、「I」の役割が如何に重要かを、様々な事例を通じて紹介し、「I」軽視による歪みをなくすための多様な示唆を与えてくれる書です。
一瞬で「解答」に辿り着けることの「便利さ」と「危うさ」。
それらを認識して、知らず知らずに「トンネル・デザイン」に陥っていないか、見直し
ていきたいものです。
■目次■
1. 序章 トンネルを突き進む
2. 第1章 情報の限界
3. 第2章 エージェントとエンジェル
4. 第3章 ホームアローン
5. 第4章 プロセスはプラクティスから作られる
6. 第5章 学習-理論として、実体験として
7. 第6章 組織を刷新する、知識を管理する
8. 第7章 背景を読む
9. 第8章 教育を見直す
10. 終章 情報を超えて
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