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「風街ろまん」がきっかけ

  忘れていた物を、君たちが思い出させてくれました。

 3、4年前に、
「バンド、やろうよ!」
 と、出会う人に片っ端から声を掛けていました。その時に出会ったベースに、
「最近は、どんな曲を聴いてるの?」
 と、問いかけました。彼は30歳台半ばです。帰ってきた言葉は、意外でした。
「“はっぴーえんど”の“風をあつめて”です」
「今から、半世紀近く前の曲。アルバム“風街ろまん”に納められているやつ」
「そうです」
 私が高校生の頃、LPレコードで聴いていました。思い返してみると、確かに当時、吉田拓郎全盛から次の世代への過渡期でした。そんな中で、「はっぴーえんど」は新しい音でした。
 歌詞も、モラトリアムと言われていた大学生の気持ちを、反映していました。
 不安と不満を胸いっぱいに抱えながらも、どこかのんびりしていた、その時代の学生たち。激しかった学生運動も下火になり、残党が、閑散としたキャンパスで練習でもしているかのようなジグザグ・デモを、敢行していました。それを、一般の学生が冷ややかな目で、他人事のように眺めていました。そんな時代背景の中で生まれてきた曲です。
 そんなことを思い返しながら、サブスクで探して聞いてみました。
“いいじゃない”
 と、心の中で呟きました。米津玄師が全盛の時代です。
 曲の何に心が動いたのかは、明確な分析はできません。でも、曲ができて50年たった今の時代の空気感を、わずかでも動かす力が、この曲にはあるのだと思いました。
 だんだん、何について書いていたのか忘れてしまった。「はっぴーえんど」の時代感に浸りきってしまって。
 そう! アルバム「風街ろまん」の中の「風を、あつめて」が、僕の「第二期 音楽熱中時代」の幕開けの合図でした。今も「音楽熱中症」は、微熱のように続いています。

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カゲロウノヨル
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