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女性恐怖症の童顔の中年男性……後妻業かな?

 今時、こんなにむごい扱いを男性にする女性ががいるのか、と思わせる話を聞いた。同業他社の40歳台の男性である。体型はスラリとした痩せ型で身長は173センチ。一見、現役の大学生に見える。知らない人はアルバイトかと勘違いしてしまうほどの、童顔の中年。
「カゲロウさん、聞いてくださいよ」
 と、彼は憤懣やる方なしという意気込みで話し始めた。
「二人の子持ちのシングルマザーで、二度ばかり妊娠中絶の費用を出させられた。しかし、二度目のときに付いて行こうとしたら、訳のわからない理由をつけられて、うやむやにされた。そのほか、マンションの管理費が貯まっていてとか、なんだかんだで100万円くらい貸した。トータルで200万円くらいになる。しかし、返ってこない。そのうち関係は切れた」
 この一件以来、彼は女性恐怖症になった。
 こんな話を聞いてしまったら、茶道の教室で「ひと回り下の五十がらみの女性に、積極的に声をかけられている」自分を、単純に喜んではいられないと思った。
「後妻業の女」って、いるんだな。そもそも後妻業というのを調べると、
『独り身の高齢男性に近づき後妻に入り、男性を始末して遺産を頂く』
 とある。
 最近、茶道教室で五十がらみの女性に声を掛けられて、気色ばんでいる私。そんな私に不安を感じた彼が、身の上話のようにして警鐘を鳴らしてくれたのだと思えて来た。そう言われれば、思い当たる節がないとも言えない。
「人生百年時代」を生きるというのは、そういうハニー・トラップの確率も高くなると考えられる。どうも、他人事ではなさそうだ。
 MV用のアニメのイラストを描きながら頭の片隅で、そんなことを考えていた。

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