荒野に咲く花

砂漠とまではいえない

ただ

荒野だ

荒野に最も似つかわしくないのは

花だ

荒野に花が咲いている

ただ

一輪

ひっそりと

凛として

小さく

風が吹いて

花が揺れている

こんなところに咲いているなんて

誰も思わないだろう

きっと

花も思わなかっただろう

人影もなく

生き物の気配すらない

荒野に

煌びやかな街も

賑やかな市場も

何もない

何もないのは

荒野だから

それは

花を取り巻く

周りが

なのに咲いているなんて

誰が思っただろう

咲いているのだ

花は

荒野でも

本当は

大輪の花を咲かせることができる花

なのに

今は小さな花びらを

それでも

何よりも美しい

何よりも可憐で

たおやかな雰囲気を

漂わせ

そこに咲いている

僕は

持っていた水筒から

今日を生きるための水を

花に注ぐ

明日は

明日を生きるための水を注ぐ

寄り添って

そうして花を大切にしたい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?