とある旅行記2 赤が灯す楼の村

とある集落にたどり着いた。
そこは山の中に高床式の木造二階建ての大きな四角形の建物が一つだけ建っている。
建物の至るところに赤色の装飾がある。
真ん中は吹き抜けのような構造で、部屋が沢山あり、マンションのようだ。
何処かの国に似たものがあるらしいが、ここは他者に寛容なようだ。

ここの収入源の多くが旅行客の受け入れだ。
木々に囲まれているこの集落は、外界から遮断され、大自然の中で安らぎを得ることができる
と、一部の人に人気が出ている。
紅葉の季節は鮮やかな赤に囲まれてまるで異界のようだ、とのこと。

ここの工芸品はなかなかに味のあるものだ。
赤を基調とした丸っこくて小さな生き物の彫り物。
置物や吊るし飾りとして売り込んでいるそうだ。
どの部屋にも置物や吊るし飾りがたくさんある。
赤と金はここでは縁起の良い色らしく、どこもかしこも赤金だ。

旅行客の受け入れとあるが、人が住んでいる部屋に泊めるので、ホテルというよりかはホームステイに近い。
オーナーの手づくり料理は昔懐かしの味がすると皆言っている。
不思議なものだ。

外に目をやると、子供たちは木のおもちゃで遊んでいる。
あれはコマのようなものか、
遠目からはわからない。
吹き抜けに面している廊下の窓からは涼やかな風とともに、美味しそうな香りもしてくる。
遊び疲れて家に帰る途中に浴びる夕食の準備中の香り。
それを思い出す。

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