とある旅行記4 黄昏と追憶の街

とある都市を訪れた。
その都市は意図的に高度経済成長期の街並みを作り上げた場所だ。
しかし何もかもが昔のものでなく、交通網や機器などは現在のものを用いている。
高架にはモノレールが走っており、時代を示す楔のようにも感じる。
ここの街に住む人の多くは、幼き頃の町並みを誇りに思っている。
過ぎ去った過去を忘れられず、安らぎを求めてここに転居する人も多い。

そうと言うが、若い世代も多く住んでいる。
あまり大きな建物を必要としない企業がこう見えても立ち並んでいるらしい。
昔の名残りを見せる大きな建物は、オープンオフィスとなっているところも多いとのこと。

ここの街は夕方が一番良いと皆口を揃えて言う。
夕方になると繁華街がネオンや電球で彩られる
スナックや居酒屋などの営業が始まる頃だ。
そこら辺はあまり現在と変わらない気もするが、わざわざ旧式のラジオやテレビ、レコードを入れている店もある。
そのような店は総じて年齢層が高い傾向がある。

路上ではアコースティックギターを弾いてる人がいる。
それを眺める人の瞳は、過ぎ去った思い出を写していた。

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