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イラストや2Dアニメーションを活用したMV制作についての話

※この記事は「イラスト情報サイト『かげひと絵のブログ』」に投稿している内容を、noteで閲覧される方向けに編集した記事になります。内容はまったく同じになります※

こんばんは!イラストレーター無印かげひと(@kage86kagen)です!

イラストを仕事としている方、もしくは趣味で描いている方の中には、「動画編集」に興味を持っている方もいるのではないでしょうか?現にここ数年間では、イラストを描きつつ動画編集も行う方の人口が増えてきたように思えます

ただし、今まで動画編集をしたことが無い方にとっては、動画編集というのは「まったくの未知の領域」であり、動画制作に対するハードルを高く感じてしまう結果、始めの一歩すらもなかなか踏み出せない方もいると思われます。

そこで今回は、動画編集の中でも「MV動画制作」について着目して、「イラストや2Dアニメーションを活用したMV制作についてのあれこれについて」についてご紹介したいと思います。

・自分のイラストを使ってMV動画を作ってみたいけど、まずどうすればいいのか分からない...。
・イラストと動画を同時に制作するのって、とても難しそう。
・イラストやアニメーションを活用したMV動画の表現方法は、どんな種類があるの?
・MV動画を作る時に必要な知識や道具は?

などなど、MV制作に興味はあるものの、そもそも何から手を付ければいいのか分からない!といったイラストレーターや絵師向けに説明していきたいと思います。

今回の記事が、MV制作に少しでも興味を持った方への参考になれば幸いです。

今後益々需要が増える「イラスト系MV」

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まずは、イラストやアニメーションを活用したMV需要の多さについて、説明したいと思います。

2020年からは「お家時間」が増えた影響で、家の中で完結できる趣味をやり始める方が多くなりました。絵描きの人口率も多いくなったと思われますが、音楽作りをする方も例外ではないと思います。

この「楽曲制作」を趣味としている方に着目すると、自分が制作した楽曲をネット上に公開する際、「多くの人にもっと聞いてもらいたい」手段として、MVを導入したいと考えに繋がることが多いです。

MVの表現の種類を大きく分けるとすると、
・実写映像
・イラスト、アニメやCGを活用した2D動画

この2種類があると思いますが、どちらかというと、「イラスト、アニメやCGを活用したMV動画」を採用する方の割合の方が多いのではないでしょうか?(プロ、アマチュア、趣味問わず)

そうなると、自然と「イラストレーター」などの絵描きの需要の多さが考えられます。

イラストやアニメーションありMVと聞くと、「ボーカロイド楽曲」での活用の場を真っ先にイメージする人もいるかもしません。実際、ネット上で公開されているボカロ曲MVのほとんどは、イラストやアニメーションを使用しています。

ただ、ボカロ曲を問わず、プロのバンドアイドルインストゥルメンタル(略してインスト曲)等にもイラストやアニメーションタイプのMVを導入している場合が多くなってきました。

特にボカロ曲の場合、今後益々MVの活躍が増えるかもしれません。

なぜなら、2020年から「The VOCALOID Collection(通称ボカコレ)」というユーザー&クリエイターが主役になれる祭典が開催されたことも影響しているからです。

この祭典では、ボーカロイド等で制作した楽曲や「歌ってみた」動画などを投稿し、ランキングを目指す「ランキング企画」もあり、1回目の2020年冬は約2,000件もの投稿、2回目の2021年春では、それ以上の投稿数がありました。

ネット最大のボカロイベント 【The VOCALOID Collection ~2021 Spring~】詳細決定 4月24日(土)~25日(日)、ネットとリアルで開催

昨年初開催の「The VOCALOID Collection ~2020 Winter~」( https://vocaloid-collection.jp/2020-winter/ )では、
「ネット総来場者数」は104万を超え、期間中に実施したボカロ新作ランキング企画では、オリジナル楽曲やREMIX楽曲、歌ってみた・踊ってみた・演奏してみたなどの二次創作作品が約2,000件集まり、クリエイターとユーザーの間で大きな盛り上がりを見せました。

引用元:PRTIMES
(
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000060989.html)

数年前からはボカロブームも再燃してきているので、これらの観点からイラストやアニメーションを活用したMVの需要も益々高まることだと思います


イラストレーター×動画スキル持ちのメリット

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本題になりますが、ここ数年ではイラストレーターをやりつつ動画編集もできるクリエイターの方が増えてきました。逆もしかりで、「動画編集」のお仕事をメインでやり、傍らイラストも描ける...といったタイプの方もいらっしゃいます。

イラストも描けて動画編集もできる人って、すごくない?」と思う反面、「2つのスキルを持ったところで何になるの?」「イラストと動画編集、両立できるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

これについては、今後の世界情勢やコンテンツの未来を考えると、「イラスト×動画編集」の2つのスキルを持っていることで得られる大きなメリットもあります。例えば、以下のような「嬉しい事」があります。

●競合が少ない

ビジネス寄りの話にはなりますが、現在のイラストレーター(絵師)の数はかなり多く需要よりも供給の割合がめちゃ多い現状となっています。そのため、仕事は常に「取り合い」となっていたり、もしくは既に活躍している有名イラストレーターに仕事が集中している状況です。

それと比べ、イラストが描ける&動画編集ができるといった2つのスキルを持っている方の割合はかなり少ないと思われます。昔と比べるといくらか増えましたが、それでも単発スキルを持っている方と比べるとまだまだ少ない状況です。

イラスト×動画編集、この2つのスキルを持っているだけでも、希少価値が高いと言えます。これにより、競合が少なくなる=イラスト×動画に関する仕事の話が舞い込んでくる確率が高いとうことに繋がります。


●今後動画コンテンツは益々盛り上がる→需要が増える

通信環境」の観点から見ると、現在の日本の通信環境は「5G」へ移送する地域が徐々に増えてきています。この5Gという通信世代になることで起こることですが、例えば映画のような2時間長編高画質動画も2~3秒でダウンロードできるぐらい通信が速くなるそうです。

そうなると、容量が大きい動画を閲覧&投稿するときは、現在の「画像並み」ぐらいにさくさく見る&投稿することが可能になるため、動画に関するコンテンツは今後益々盛り上がると予想されています。

5G導入が激変させる「エンターテック」の将来像

「5G」(第5世代移動通信システム)は、スマートフォンなどの通信速度の向上が図られるほか、同時多接続や低遅延といった要素も組み込まれ、私たちの生活やビジネス、そしてエンターテインメントの楽しみ方など大きく変わる可能性を秘めている。
引用元:東洋経済(https://toyokeizai.net/articles/-/339164)

例えば、現在進行形で盛り上がっている「Vtuber」系コンテンツはもちろんのこと、バーチャルアイドルのオンラインライブも増えたりすることでしょう。さらに、現在は「メタバース」分野でのビジネス展開も急速に広まっています。

動画コンテンツの需要が増える=動画編集が必要になる機会が多くなり、結果的に「動画編集が出来る人の需要が高まります


●MV依頼者に喜ばれる

イラストも描けて動画編集も出来る人は、「依頼者」からも大いに喜ばれます。

なぜかというと、イラストあり、もしくはアニメーションありMV制作の依頼をする場合、通常だと「イラストを描ける人」「動画編集ができる人」...といったように、専門ごとに別々に依頼をすることになります。

そうなると、この場合は最低でも「2人」に依頼を行い、2人と調整をする必要があります。

依頼側からの立場から考えると、2人別々に依頼の調整をしなければならないので、調整労力も2倍です。さらに、場合によっては別の方に「絵コンテのみを依頼する」こともあり、MVを制作するための作業を分担すればするほど、調整する相手先が多くなったりなど、どうしても調整時間が長くなりがちです。

MV制作を取りまとめることができるディレクター的ポジションの方に依頼するのも一つの手ですが、個人製作の場合だと頼みづらいですし、「たかが趣味なんかに...」といったように、ディレクターに頼む程でもないと考えてしまいます。(そもそも、個人の場合だと、ディレクターに依頼するという考えすらあまり浮かびませんが…)

その点、イラストと動画編集、2つのスキルを持っているクリエイターに巡り合うことができれば、依頼者側にとって調整の面においてはとても楽だと言えます

こういったように、2つ以上のスキルを持っている場合だとシームレスな調整を行うことができ、依頼者に喜ばれることが多いです。

私も実際に「イラスト×動画編集」関連で多数お仕事を頂いていますが、ある取引先からは「イラストも描けて動画編集も出来る人は、MV制作依頼時に大変助かる」と言って頂けました。


MVを作るためにはどうすればいいの?

さて、ここまでは「MVの需要」や「イラスト×動画編集」スキルのメリットについてご紹介しましたが、初心者の方がいざMVを制作するとなると、
・まず何から始めればいいのか?
・必要な道具は何?

などなど、分からないことが分からない状態だと思います。

私自身、動画編集を勉強し始めたのは2021年の3月で、「動画編集サービス(主にMV制作)」を実際に始めたのは、翌月の4月下旬からになります。今から説明する「MVを作ってみたい時の行動」のHow toは、どれも個人的な方法にはなってしまいますが、これからMV制作を始めたい方への道しるべになれば幸いです。

~「MVを作ってみたい!」と思ったら...~

①まずは作りたいMVの「ジャンル」や「目標」を決める
②MVを制作するための「ソフト」を導入する
③動画編集ソフトの使い方や機能の位置をざっくり覚える
④フリー楽曲などをDLして、実際に作ってみる

①まずは作りたいMVの「ジャンル」や「目標」を決める

MVを作ってみたい!」と思ったら、まずは作りたいMVの目標を決めるところから始めましょう。自分はどんなMVを作りたいのか?イラスト1枚絵を利用したMVなのか、アニメーションを取り入れたMVか、はたまた「歌詞重視」のリリックビデオなのか...。

この目標を定める時は、既に投稿されているMVを目標にするのが一番最適です。

例えば、2021年に上半期に流行ったsyudouさん作&vocal.adoさんの「うっせぇわ」のMV構成だったり、少し前だと米津玄師さんの「アイネクライネ」のような「複数イラスト×アニメーション」のMVなど、自分が好きor気になっているMVを目標として定め最終的には目標のようなMVを作れるように道筋をたてます。

(米津玄師「アイネクライネ」)

ただし、目標は立てておくものの、最初から目標MVのようなハイセンスなMVを作ろうと考えるのは厳禁です。最初から作れるのは、天才か神様でない限り不可能だと思います。

目標をしっかりと立てつつも、最初は、
イラスト1枚絵のみを使用し、歌詞は同じ場所に表示
...という簡単なMV構成から作り始めることをお勧めします。
そこから徐々に経験やインプットを重ね、ゆくゆくは自分でしか出せない味のMVを作れるようにしていけばいいと思います。

②MVを制作するための「ソフト」を導入する

次に、動画編集を行うにあたって一番大事な「動画編集ソフト」を導入しましょう。

世に出回っている動画編集ソフトは、迷ってしまうほどたくさんあります。無料で扱えるものもあれば、使い勝手や作業効率がいい有料タイプなどピンからキリまでありますが、最初は「無料ソフト」をお試しで利用することをお勧めします

無料だけど高機能!と評判なのが「AviUtl」っていうソフトです。あとは、無料3D制作ソフトで有名な「Blender」もありますが、こっちは3D作品作りに特化したソフトになるので、正直言うと動画編集には不向きです。

無料タイプと聞くとそっちを選びたくなるのも分かりますが、無料タイプは有料タイプと比べると必然的に機能が物足りなく感じます。また、操作性で融通が利かない事もありますので、将来的を見据えて長期的に動画編集を行ってみたい方であれば、最初から「有料タイプ」のソフトを導入することをお勧めします

ネット上では、動画編集ソフトの比較をしてくれている方たくさんいますので、そのネット記事を参考にしながらどの編集ソフトを導入するかを判断して頂ければと思います。

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ちなみに私は、「Adobe After Effects」という有料タイプの動画編集ソフトを初めから使用しています。他のAdobe製品を使用していたこともありますし、「AEは使いやすいし機能が豊富」という口コミをたくさん見かけましたので、こちらに決めました。

補足ですが、「スマホ」や「タブレット」でも専用の動画編集ソフトをダウンロードして、手軽に動画編集を行うことも可能っちゃ可能です。

ただし、PCと比べると、動画編集ソフト内に備わっている機能のバリエーションの少なさが気になります。本格的に動画編集を行いたい場合は、PCで編集することを断然おススメします。

③動画編集ソフトの使い方や機能の位置をざっくり覚える

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さて、無事に動画編集ソフトを導入したら、まずは「ソフトの使い方」や「ソフトの機能」について、ざっくりでもいいので全体の雰囲気を学んでいきましょう!

最初は、初歩的な知識を取得するだけでOKです。動画編集を行ったことが無い人にとって聞きなれない「キーフレーム」という単語について調べたり、動画編集をする時の画面の構成や、動画編集では主にどんなことができるのか?といった事などについてです。

これらは、ネット上で「動画編集 使い方」等で検索をかければ、初心者に必要な知識が載っているサイトがわんさかヒットします。まずはネット上で検索をしてみましょう。

こういった初歩的な知識は、わざわざ初めから書籍等を購入しなくても、ネット上の無料情報で事足ります。ある程度知識が身についたら、専門の書籍を買ったり、有料講習に参加することで、動画編集を効率的に学ぶことが可能です。

個人的には以下の内容を覚えたら、すぐに実践に移っても大丈夫だと思います。
・動画編集における必修の単語の意味を調べる(「キーフレーム」、「エフェクト」など)
・動画編集ソフトの画面の配置について
・動画編集した後のデータの出力方法(エンコードについて)や、データ形式について軽く勉強

後は、制作の都度ネットで検索してその場で知識を得ていけば、インプット&アウトプットが同時にできて効率がいいです。

④実際に作ってみる

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さて、動画編集に必要な単語やソフトの使い方についてざっくり学んだら、いよいよ「実践」してみましょう。ここでは、私が実際に動画編集を学び始めた頃に制作したMVを例に出しながら説明したいと思います。

初期に制作したMVは、以下の順序で準備&制作していきました。
1.楽曲を探す
2.楽曲に合ったイラストを1枚制作する
3.動画編集ソフトで楽曲とイラストを組み合わせる
4.歌詞を配置する
5.エンコードをして完成!


1.楽曲を探す

MV製作は「楽曲」が無いと話にならないので、まずは楽曲を探します。楽曲を見繕う法は、主に以下の方法があります。

・誰かに依頼して制作してもらう
・フリー楽曲からダウンロードする
・自分で作る

自分で制作出来れば万々歳ですが、ほとんどの絵描きは楽曲を作れない...と思われるので、「誰かに依頼する」、「フリー楽曲からダウンロードする」のどちらかをお勧めします。

ただ、誰かに依頼して楽曲を作ってもらうのは、MV制作初心者にとってかなりハードルが高いと感じるかもしれません。ですので、最初は「フリー楽曲からダウンロード」して、それにMVをあてていく作り方でご紹介します。

このフリー楽曲ですが、有料or無料形式で提供しているサイトがたくさんありますので、そこからお借りするのがいいかもしれません。無料タイプの楽曲を探したい場合は、「曲 フリー素材」と検索するとたくさんのサイトが表示されますので、その中から自分が作成したい楽曲を探します。

サイトによっては「肉声のボーカル付き」だったり、「ボーカロイド」で制作した楽曲も揃えてくれています。無料&有料のフリー素材を利用する場合には、各サイトの「利用規約」を必ず一読し、ルールをよく把握したうえでご使用ください

私の場合、一番初めに作りたかったのは「ポップでカッコイイ楽曲に合ったMV」だったので、フリー素材サイト「D’elf.com」で「ポップ&かっこいい」楽曲を探しました。今回は「青碧の瞳(vocal:IA)」をお借りしています。


2.楽曲に合ったイラストを1枚制作する

次に、楽曲に合ったイラストを制作していきます。ただ、初めから複数枚のイラストやアニメーションを活用しようとすると、最後まで作り切れず途中で挫折してしまう確率が高くなります

そのため、まずは「イラスト1枚絵」のみを活用したMVを制作することを目標にし、「最後まで作り切る」ことを念頭に置いて作業を行います。

簡単な落書き系イラストでも全然OKですし、描き込み量の多いイラストでも構いません。楽曲の雰囲気や歌詞がマッチすれば、今まで描いたイラストを使用するのもいいかもしれませんね。

私の場合、タイトルが「青碧の瞳」で歌詞の内容が「戦闘系」でしたので、それに適したイラストを新規に描きました。

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一つ注意点ですが、制作するのはあくまでもMVのためのイラストですので、楽曲の雰囲気とは真逆のイラストを描くことは避けましょう

例えば、「クリスマス系の楽曲」なのに、「真夏の海で水着姿のキャラクター」を描いたり、「暗くてエモい楽曲」なのに「仲の良い友達数人が笑い合ってジャンプしている」イラストだったり...。

そうなると、MVとしての役割が成り立たなくなり、楽曲そのものすらぶち壊してしまう可能性があります。これから依頼を募って制作を考えている方は、特にこれに気を付けて制作していきましょう

もし余裕があれば、「2 楽曲に合ったイラストを1枚制作する」と「3 動画編集ソフトで楽曲とイラストを組み合わせるの工程の間に「絵コンテ」を作ることをお勧めします。「絵コンテとは?」「MVでの絵コンテはどうやって作ればいいの?」という方は、以下の記事を参考にしてみてください。

初心者のうちであっても「絵コンテ制作」に慣れておいたほうが絶対いいですが、まずはとにかくMVを作ってみたい!というせっかちさんもいると思いますので、作るかどうかはお任せします。ただ、ゆくゆくは仕事にしていきたい場合、MV制作において絵コンテは必須となってきますので、絵コンテの作り方についても学ぶべきだと思います。

3.動画編集ソフトで楽曲とイラストを組み合わせる

楽曲とイラストさえ揃えば、いよいよ「動画編集ソフト」でMVを制作していくことができます。

動画編集ソフトにもよりますが、ソフト内の機能には「文字入れ」、「エフェクト(キラキラや電流などの素材を短時間で配置できる超便利な機能)」、「簡単な図形作成機能(illustratorの簡易版のような感じ)」といったものが備わっています。

そのため、ペイントソフトなどで歌詞の文字を1つずつデータで作る必要はありません。楽曲とイラストさえあれば、後は動画編集ソフト内の機能を駆使してMVを制作することができるので、心配ご無用。
まずは、楽曲とイラストのデータを動画編集ソフトに取り込みます。

※ただ、自分でデザインした「タイトルロゴ」もMVに入れたい場合は、あらかじめペイントソフトで作っておいた方が無難です。動画編集ソフトはあくまでも「動画編集」に特化したソフトなので、ペイント機能については使い勝手が悪いです。

下記の画面はAdobe After Effectsの画面になりますが、他のソフトも大体同じような雰囲気です。編集をまったくやったことが無い方にとっては、何が何だか...っていうような画面構成に見えるかもしれませんが、慣れてしまえばペイントソフトを扱うような感覚になるので、何事も慣れが必要です

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4.歌詞やその他の素材を配置する

楽曲やイラストを取り込んだら、いよいよ「歌詞」の配置をしていきます。

ネット上で投稿されているMVの中には、個性的な演出を出すために歌詞の文字を画面内で縦横無尽に配置しているMVもあります。ただ、最初から凝った演出を表現するのは難しいと思うので、最初は「画面の上」や「画面横」などに固定配置する歌詞の置き方をお勧めします。

今回は、下記のように「右下配置」で歌詞を表示してみました。

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初心者の人にありがちですが、「最初に作るMVは”カゲロウデイズ”のように、文字をバラバラ表示にしてかっこいい演出をしよう!」と、理想のみ高くなりがちです。

何度もお伝えしている通り、最初からハードルを上げていては挫折する確率が高くなるので、動画編集超初心者であればまずは固定配置から慣れていき、制作数をこなしていくにつれて高度な技術を学んでいくようにしましょう。

(じん「カゲロウデイズ」)

(↑上記のような歌詞の演出は、MV依頼者から割と人気のある演出方法ではあるものの、動画編集に慣れていない人じゃないと制作にとても時間がかかるし、「作るの辞めた」と諦めてしまう可能性が高いです。)

私の場合、一番初めに自主制作したMVの歌詞は、右下配置で固定表示をしました。文字の演出自体もかなり少なめです。(ところどころに「フェードイン&フェードアウト」の演出を試してみました。)

5.エンコードをして完成!

満足いくまで編集したら完成ですが、これを動画データとして保存する際は「エンコード作業」をする必要があります。聞きなれない単語と思う方もいるかもしれませんが、動画を投稿する時には非常に重要な作業です。

動画を視聴するだけならエンコードを知らなくても問題ありませんが、逆に動画を投稿する立場になると、エンコードという作業がかかせません。

エンコードについてざっくり説明すると、「音声データ」と「映像データ」をまとめて、さらに圧縮する作業の事を言います。

映像・動画で「エンコード」が必要な理由は?【おすすめエンコーダー10選を紹介】
動画をインターネット上で視聴するだけならエンコードについて知らなくても問題ありませんが、動画を投稿する場合はエンコードが必須。正しくエンコードをしないとせっかくの動画が再生できないということになりかねません。(中略)
すべての動画は映像データと音声データの2つから成り立っています。この映像と音声、2つのデータが揃って初めて動画ができるのです。
引用元:シングメディア(https://thingmedia.jp/1898)

先ほど、「MVを制作するためには動画編集ソフトが必要」とお話しましたが、実はもう一つ「エンコードをするためのソフトのダウンロード」も必要です。

エンコードするには「エンコーダ―」というハードウェアが必要になりますが、無料でDLできるフリーソフトのエンコーダーがありますので、こちらもネットで検索してみてください。

ちなみに、Adobe After Effectsを利用している方は、同じAdobeソフトの「Adobe Medeia Encoder」を利用するといいでしょう。エンコーダーに拘りが無ければ、これを利用してもまったく問題ありません。

こんな感じで、動画を投稿するためには「エンコード」作業は切っても切り離せない関係にあります。このエンコード作業が終わったら、動画を投稿できる状態に持っていき、晴れて「完成!」と言うことが出来ます。

下記の動画は、私が一番初めに制作した自主制作MVとなります。今振り返ると、初心者っぽいミス(ボーカルと歌詞の表示のタイミングが意図なくずれている)が散見されますが、作った当時は自力で最後まで作れたことがとても嬉しかったです。


どんなMVを作ればいいか迷ってしまったら

MVを制作する際、ある程度イメージがわいていれば制作しやすいですが、中には「MVを作ってみたいけど、具体的なイメージがわかない...」と思う方もいるかもしれません。

そんな時は、他の方が投稿されている「1枚絵イラスト+歌詞固定配置タイプのMV」を参考にするといいと思います。今回の記事で紹介した私の自主制作MVだったり、私が実際に依頼を受けて制作したMVを参考にしても構いませんので、参考動画を見ながら制作してみましょう。

制作途中で、
あれ?ここはどの機能を使っているんだろう
と疑問に思った場合は、ネット上で検索にかけてみると割とすぐに答えが出てきます。

ただ、どうしても自分で調べきることが出来ない場合は、「制作者に直接聞いてみる」というのも一つの手です。しかし、これは「最終手段」になりますので、根気強く調べてどうしてもどうしても出なかった場合に問い合わせてみてください。

または、「Yahoo!知恵袋」で不特定多数の人に質問をなげかけてみるのもいいかもしれませんね。

とにかく作ってみないと始まらない

最初から理想のMVを制作できる人というのはなかなかいません。理想のMVを作れるようになるためには、動画編集の技術を毎日コツコツ身に付けて行くことが重要です。そのためにも、「制作回数」をこなしていく必要があります

最終的にどんなMVを作れるようになりたいかの「目標」を定めた上で、その目標に到達するための段階を計画してみましょう。ただし、目的のMVのように作れたらゴール!...と考えるのではなく、そこからさらに独自のスキルを育てたり他のクリエイターの技術をさらに参考&取り入れたりといった向上心を忘れてはいけません

私を例に出しますと、「こんなMVを作れるようになりたい!」と目標にしたMVは、
ヤスタツさんが動画制作した「ビターチョコデコレーション」、トキチアキさんが動画制作した「エウレカ」、りゅうせーさんが動画編集した「バレリーコ」などを主として目標にしています。

本当はもっとたくさんの目標MVがありますが、語ると止まらなくなるのでここで止めておきます…。

(「ビターチョコデコレーション」 動画:ヤスタツさん)

いざ制作を始めようとすると、ハードルが高いように感じてしまう動画編集ですが、まずは大きな目標を立てつつそれを達成するための小さな目標をクリアしながら技術を身に付けることをお勧めします


先ほどのおさらいにはなりますが、下記の手順でMV制作の門を叩くといいかもしれません。

1.まずは作りたいMVの「ジャンル」や「目標」を決める
2.MVを制作するための「ソフト」を導入する
3.動画編集ソフトの使い方や機能の位置をざっくり覚える
4.フリー楽曲などをDLして、実際に作ってみる

上記の手順をひとまずクリアした後、③と④をひたすら往復し、ある程度スキルが身についたと実感したら、実際に依頼を募ってみて自分の腕試しをしてみるのもいいかもしれませんね。

参考になるか分かりませんが、私がMV制作の仕事を初めて行うまでの勉強時間については、1日2~3時間の勉強をおよそ1ヶ月続け、ある程度のスキルを身に付けたところでMV制作の仕事をもぎ取りに行きました

イラストの画力向上と比べると、意外と短い期間で基本スキルが取得可能です。本格的に動画編集を始めてみたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、「イラストや2Dアニメーションを活用したMV制作のあれこれ」についてご紹介しました。

今後、需要が益々高まる動画編集スキルですが、イラスト×動画編集スキルを掛け合わせると、供給者にとって重宝される存在になることが可能です

特にMV制作における動画編集は、イラストやアニメーションを使用したMVを好む視聴者も多いですし、近年はボーカロイド楽曲ブームも再燃しているため、そういった方面で需要があるスキルになります。

イラスト×動画編集スキル持ちの大きなメリットは、主に以下があります。

・競合が少ない
・今後動画コンテンツは益々盛り上がる→需要が増える
・イラストと動画の調整先が1つになるので、MV依頼者に喜ばれる

いざMVを作ってみたい!」と思った時の最初の取っ掛かりについておさらいすると、

1.まずは作りたいMVの「ジャンル」や「目標」を決める
2.MVを制作するための「ソフト」を導入する
3.動画編集ソフトの使い方や機能の位置をざっくり覚える
4.フリー楽曲などをDLして、実際に作ってみる

このような感じで、まずは1つ作品を作ってみましょう

作り終わった後は、③と④のサイクルを数回繰り返し、慣れた頃合いを見て実際に案件を請け負って力試しをしてみることをお勧めします

今回の記事でMV制作を始める一歩になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

それでは!

P.S.
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