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サンタの箱

毎年12月1日は机の引き出しをあけ、年を経るほどにしみじみ思うことがある。
折り紙で作った箱って丈夫なんだなぁ… と。

銀色の折り紙と銀緑色の折り紙で作られた、手のひらにすっぽり収まる小さな箱の中にはサンタクロースの人形が3体入っている。12月になると『サンタの箱』とよんでいるそれから人形を取り出し、部屋の片隅に飾るのが自分独自の風習になっている。


さかのぼること子供の頃、クリスマスの時季に祖母からサンタクロースの人形をゆずってもらった。小さなその人形をなくさないようにしまっておくにはどうすればいいだろう? お菓子の空き箱… ではあんまりだし、ちょうどいい大きさのきれいな箱が無いな、と思った。

ふいに目にとまったのが銀色の折り紙。
折り紙の束にはたいてい金色、銀色のものが一枚ずつだけ入っている。紙質も他の色とは違うし、子供の自分にとってはすごい貴重品といえるものだった。
その金、銀使って箱を作ればいい! とひらめいたものの、金色のほうは何かに使ったらしく無かった(貴重品なのに)。

それならば、とひっぱり出したのが銀緑色の折り紙。
何か特別な折り紙セットに入っていたであろうメタリックグリーンの折り紙は、金銀よりもさらに貴重な一枚でずっと大事にしてあった。
それを使うことをためらわず箱を折り上げてみると、人形と箱の色の組み合わせがちょうどクリスマスらしい感じに仕上がり、ちょっと得意な気分になったのだった。

そんな思い出があり、箱を取り出すたびに子供の頃の楽しいクリスマスの記憶をさまざまとよみがえらせてくれる品になっているわけだけど、近頃では折り紙の箱の持ちの良さに感心する思いが強くなってきている。
と、いうか、感心を通り越して呆れる境地に達しようとしているかもしれない。

先日も思った。

どれだけ丈夫なんだ、サンタの箱。

#絵ざっ記
#エッセイ
#クリスマス

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