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海外で仕事を「つくる」という選択肢

以前、「海外では、仕事の選択肢が少ない」という話をしました。

海外で雇用される場合、
国内と比べて職種のバラエティが少ないため、自分がやりたい仕事の方向性とズレやすくなります。
場合によっては、自分の望む仕事がまだ存在していない可能性もあります。

自分の人生を進めるため、また海外で無駄に放浪しないためにも、
「方向性と土台が固まるまでは、国内で種を育てた方が良いのではないか?」という話をしました。
(ここまで、前回の記事↓↓↓のおさらいでした)

今回は、その次のステップとして、
やりたい仕事が現地にないなら、作れば良いんじゃない?」という切り口から、その可能性を探っていこうと思います。

私は海外で働いていた時、
自分で作った「新規事業」を持って、そのまま起業したことがあります。
ただし、その実体は非常に簡素なもので、特に何かが凄いということはありません。

とはいえ、私の経験の範囲内で
・海外で仕事を作るって、どんな感じなのか?
・何に気をつければ良いのか?
これらの肌感覚を共有することによって、地に足つけて海外で稼いでみたい人に向けて、何かしらの一助になればと思います。

※ 伝わりやすいように、要素を若干デフォルメしている部分もあります。
※私の実体験を中心に紹介していますが、仕事のつくり方は無数にパターンがあると思っています。


1.前提条件

世の中にある仕事の中で、
外国人が積極的に求められるケースは少なく、全体のごく一部に限られます。

理由は2つで、
①仕事のアウトプットが同じなら、自国民を優先したいから(国の意向)
②コミュニケーション(言語・文化・商習慣の共有)が面倒だから

外国人の立場で仕事をするにあたっては、ここで多くの選択肢が脱落します。
つまり、外国人が介在できるのは
「自国民にはできず、かつコミュニケーション面のストレスを凌駕するメリットを発揮できる」環境に限られます。

そのパターンは、大まかに2つ(VISAの要件と概ね一緒です)。
①誰もやりたくないこと(国内で不人気な労働)
②誰もできないこと(国内では賄えない専門的な仕事)

今回は②のケースを扱います。
外国人として現地で働くにあたっては、
「自分が一枚噛むことによって、ビジネスの『流れ』(情報、モノ、人など)を何かしら改善」できそうなポイントを探り、設計することになります。

2.ニーズと課題を知る

ここからは、新しい事業ができた経緯を共有します。

私が勤めていた日系人材会社では、クライアントの多くが日系企業でした。
(具体的な数字、割合は控えます。以下同)

当時の外資系マーケットは、韓国系・欧米系の比率が大きく占めており、日系のマーケットは3-4番目くらいでした。
にもかかわらず、クライアントの日系企業は、日系同士で取引するケースが大半。
企業間で国籍を超えた取引は少なく、出資国ごとに商流の「壁」がありました

それが、最初は疑問でした。
ただ必要性がないだけなのか?
それとも、やりたくてもできないのか?

私の会社では「多国籍マーケットのクライアントを増やしたい」という意思はありましたが、その糸口を見つけられずにいました。

では、他の企業はどう思っているのだろう?
ある時、日系のクライアントに対して、「(規模の大きな)韓国系マーケットを開拓したいかどうか」ヒアリングして回ったことがあります。
①韓国系マーケットを開拓したいかどうか
②そのために、韓国人を雇うことを考えているかどうか

この時に多かった回答は、
「韓国系マーケットの開拓を考えたことはあるけれど、固定費として人を雇うほどのリスクは負えない」というもの。
「やりたいけど、できない」パターンでした。

主な懸念点は
・固定費が高い(韓国人の給与相場は、日本人よりも高い)
・成果が出るかどうか未知数
というもの。

たしかに、国際的な大企業であれば、あらゆる国籍の人材を雇用して内製化できます。
しかし、それ以外の多くの企業は、そこまで至らず
「多国籍マーケットへ裾野を広げたい」というニーズ
「リスクが大きくて踏み出せない」という課題
この両方を抱えていることが分かりました。

3.組織が届かない領域を個人突破してみた

そんな企業でも、ニーズ自体はあるので、リスクの部分を減らしてあげられれば、互いにウィンウィンの関係が築けそうでした。
それは「組織としては手が届かない領域を、個人で突破する」というもの。

この戦略で、次は日系以外の外資企業(韓国、中国、欧、米)に対して、「日系マーケットを開拓したいかどうか」を聞いてまわりました。
こちらも一定のニーズがあることを確認。
いくつかの候補企業の中から、キーマンと気が合いそうな企業と協業することにしました。

こうして、結果的に新しいプロジェクトが生まれ、
多国籍企業と日系企業をつなぐ「架け橋」の役割を担うに至りました。
 #ただ「架け橋」と言ってみたかった
 #いわゆる「代理店営業」

この時の介在価値は「言語・文化の壁を超えることによって、商流を良くすること」だったのですが、
「日本語がネイティブで喋れる」「日本文化に馴染んでいる」というだけで、非常に喜ばれたものでした。
 #ものは置きよう
 #プロの日本人

4.やり終えて見えてきたもの

(1)仕事は「つくる」前提で、可能性が広がる

私は人材会社の海外オフィスに勤めていた時、
クライアントと交渉しながら、求職者に合わせて「求人枠」を新しく作ってもらっていました。
また起業後は、「求人枠」にもならない仕事をやっていました。

いろんな形で仕事をつくる経験をして思ったのは、
今ある仕事・求人枠が全てだと思ってはいけない、ということです。

仕事は「つくる」ことができます。
「つくる」という選択肢を頭の片隅に置いておくだけで、自分が認識する「限界」が少し広がります
 #限界が「なくなる」とは言ってない

特に、自分が外国人としてマイノリティになる場合、
マイノリティゆえに手がつけられていない部分も多く、開拓したもの勝ちみたいなところがあります。
開拓精神があれば、新しく可能性が広がります。
この試行錯誤の面白さは、海外の醍醐味かもしれません。

誰かが仕事やポジションを作って用意してくれているわけではない。
「だから」おもしろいのだ、と。

(2)付加価値とモチベーションの設計が甘かった

同時に反省点もあります。

代理店としてよくある話ですが、
他人の商品を売っているだけでは、付加価値としてはどうしても弱くなってしまいます。

また、ニーズがあるから成立しているものの、
自分の強い意思で「この商品/サービスを売りたいからやってる」という感覚はなく、全体重が乗ることはありませんでした。
ずっと誰かの「お手伝い」ばかりやってもなぁ、という感覚になりました。

突き詰めると、
「じゃあ自分は何がやりたいのか?」「どの方向に向かいたいのか?」という、冒頭の本質に戻ってきます。
ここが見えていないから、モヤモヤしていたのです。

ガッツリ稼ぐためにも、納得感を得るためにも、
あまりマーケットインから入りすぎず、
自分が売りたいものをまずハッキリさせておくのが先だと感じました。

まとめると、
自分のやりたい仕事が定まって、海外に興味が向いてきたら、現地で仕事を「つくる」発想ができたらワクワクするよね!
という話でした。

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