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AIHの記録と不妊治療から学んだこと

30代前半、自然妊娠実らず癌発見、2年治療期間を経て30代後半にAIHへ

癌が発見される前に、1年の期間に自然妊娠ができず
何か問題があるのではと調べていたところ、1点だけ甲状腺の値が「流産しやすい」橋本病に近い傾向にあることが発見された。

通常に生活している分には問題がないけれど、妊娠を望む場合には数値をコントロールしておいた方が良いということで、癌の経過観察中もチラージンを飲み続けていた。

経過観察期間が終わり、再度婦人科を訪れると以下のようなやりとりが。

先生「手術を受ける前は1年間、タイミングをとっていらしたんですよね?」
私「とっていました、毎回ではありませんが、基礎体温を見る限り5割6割はタイミングが合っていたのではないかと思います。」

先生「となると、年齢的に人工授精に移るのもアリですね」

今となっては、そりゃそうだろうという感じなのだけれど、当時は急に「人工授精」という言葉が出てきたので戸惑った。
けれど、自分の年齢と今よりも2年若い年齢の時に1年間何も起こらなかったのだから確かにそうした方が良いのだろうと思い、手続きを聞いた。

調べて概ねわかってはいたが
・排卵日と思われる日の何日か前に病院に行き、卵子の状態を見て排卵日を予測
・排卵日を予測した上で、その日に来院し人工授精を行う
・その折に着床させやすくするため、ホルモン剤を打つ
以上、だった。

夫とも相談し、AIHを行うこととした。

結果、AIHでは実らなかった

タイトルの通り、AIHは3回まで行ったが実らず中断した。
AIHを選んだのは、
・病院での検査の結果、私の橋本病っぽい傾向の甲状腺の値以外は異常がなかったこと
・これがダメだったら、次のステップを考えられること
・甲状腺数値のフォローアップを行なっている内科と隣接した婦人科の方が便利だと思ったから
以上の3点。

AIHを選択した人の半数程度は2回目までに成立する傾向にあることは調べてわかっていたので、元々どんなに長くても3回で止めようと思っていた。
(例えば以下のサイトでは約10年間の1682件に対する結果が出ていて、1回目で37%、2回目で27%と出ている)

毎度、看護師さんたちは願いをこめて治療にあたってくれたけれど1回目実らず、2回目も実らずだった。
この時点で、無理なのだろうなと思ったけれど念の為3回目まで進んだ。これが2019年の10月頃。

各回でどんな体調の変化が出たかなどは別記事にまとめるけれども、3回目も至らなかった時にはもう次の治療への心が固まっていた。
幸いなのは、夫も同じように思ってくれていたこと。

その後継の病院を考えている最中に、新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し始めちょっと2020年のはじめに動き出すのが憚られ、2-3ヶ月様子を見た。
見たけれども、自分の年齢など考えると待ってる場合ではないと思い、5月には病院を選んで駆け込んだ。

そこで改めて検査をして選択した治療が「顕微鏡受精」だった。
卵巣の年齢も正常、その他事項も問題なし、ただし夫の子の方がやや動きが悪いということだった。
前回の病院ではそんなことは言われなかったと伝えたところ「通常の病院と専門病院では検査項目や評価が若干異なる」との答え。半年以上費やした治療だったのに、そんなことがあってたまるかと思った。思ったけど、確率が高い治療方法を選択することにした。

学んだこと

日本は、欧米諸国と比較してリプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する認識が低いと言われている。以前そんな調査研究を見かけたことがある。
女性の体の仕組みに関すること、妊娠出産に関する科学的に明らかになっていることを男性も女性ももっと学ぶべきだと、この不妊治療を経て思った。

やはり年齢は大きい。女性の卵子は胎児の段階が最も多くその後は減っていくことになる。そして細胞は老化するので単純に年齢を重ねれば、妊娠成功率も減っていく。30代後半でも、40代でも子どもはできる、そんな記事も目にしていたから何となく大丈夫だろうと思ってしまっていた。でもそんなことはない。できる人はできるけれど確率は確実に下がっていく。そしてタイムリミットも迫ってくる。
だって、途中でだめになることだってあるんだ。
不妊治療をしていると、妊娠することがゴールみたいな感覚になりがち(だった、私は)だけれど、出産するまでに必要な期間は10ヶ月。季節3つ超える。その間に、概ねの人は1つ歳を取るだろう。
途中で子とお別れしなければいけなくなってしまえば、また最初から。

そして子どもが成人するまでに自身が継続できる経済活動のことなども。
30代後半も後半に近づいてきた今、今から子どもを産めたとして、子が20になる頃には自身が60近いのかと思うとクラッとする。

若くしてを礼賛する訳ではない。個人的にちょっとした後悔はあるけれど、ここまで精一杯過ごしてきた日々はとても楽しかった。その時々でなければ出来ないことだらけだった。だからこそ今の自分があり、語れる言葉も増えているのだと心底思っている。ただ、殊この妊娠出産については、もっと真面目に考えるべきだったなと思う。考えた上で同じ決断をしたかもしれないけれど。それは個人の自由だから。

もう1点、1回で成功するとは限らないので30代も半ばに近づいてきて、自然妊娠ができなければ、不妊治療の専門病院に始めからかかった方が良いと感じる。ステップアップをするにしても次の病院を探して、かかっていた病院に紹介状を書いてもらう必要があり、その過程も勿体ないといえば勿体無い。不妊治療専門院であってもAIHは保険適用の範囲なのだから。

誰かに伝える機会があれば、それを伝えたいと思う。

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