水鳥

もう北へ帰ってしまうのですか?
寂しくなります。

私を見つけると
全速力で
足元まで
来てくれましたね。
水面(みなも)に羽音を
響かせて。
それが私はうれしくて。
あなたたちと出会って
初めて
行く冬を惜しむようになりました。

まだ北の大地は
凍てついているでしょうか?
遠く北へ旅立つ日に
わたしは見送れません。
本当はあなたたちを
北へと返したくないのです。
北の海は、川は、湖は
清らかな流れで
あなたたちを迎えてくれるでしょうか?
どうしても帰らねばならないあなたたちに
かけがえのない家族の暮らしがありますように。

今度ここで再び会う時には
新しい家族の
にぎやかな羽音を聴かせてください。
祈っています。

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