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イオンの大きさ【改】

※期間限定無料。本記事は電子書籍出版後に有料記事になります。予めご承知おきください。2021/8月現在 

① 原子が陽イオンになると小さくなり、陰イオンになると大きくなります。

② 同族のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンも大きくなります。

③ 同じ電子配置のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンは小さくなります。

〇陽イオン

 原子が陽イオンになると、最外殻電子を失って、1つ内側の電子殻が最外殻となります。

 例えば、Liは原子番号3番のため、電子は3コです。電子配置はK殻に2コ、L殻に1コで、最外殻はL殻です。

 陽イオンになるときは、L殻の電子が失われて、最外殻はK殻になります。電子殻の厚みが小さくなったことから、陽イオンの半径はもとの原子半径よりも小さくなります。

陽イオンの大きさ

 Liの原子半径は0.152nm で、Li+ のイオン半径は0.090nm になります(単位nm はナノメートル)。もとの原子半径よりも小さくなっていることがわかります。


〇陰イオン

 原子が陰イオンになっても、最外殻は変わりません。しかし、新たに電子が入りこむことによって、もとから入っていた電子との間に反発が生じます。この反発によって、電子の動く範囲は少し広くなると考えられます。

 よって、陰イオンの半径はもとの原子半径よりも大きくなります。

陰イオンの大きさ

 例えば、F の原子半径を0.72で、F- のイオン半径は1.19になります(単位nm はナノメートル)。もとの原子半径よりも大きくなっていることがわかります。


〇同族のイオン

 同族のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンも大きくなります。

 同族では、原子番号が大きくなればなるほど、最外殻は増えていくため、電子殻の厚みは増していくことになります。「かさ張っていく」イメージですから、イオンは大きくなります。

同族のイオン半径

 例えば、1族元素のイオンで大きさを比べると、Li+ 0.090、Na+ 0.116、K+ 0.152と、原子番号が大きくなるほど、イオンは大きくなっています(単位はオングストローム)。

〇同じ電子配置のイオン

 同じ電子配置のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンは小さくなります。同じ電子配置のイオンとは、最外殻が同じイオンということになります。

 例えば、O2-、F-、Na+、Mg2+、Al3+ を比べてみます。これらは電子数10コのネオンと同じ電子配置です。これらの大きさは、順に、1.26、1.19、1.16、0.86、068 です(単位はオングストローム)。原子番号が大きいほど、イオンは小さくなっていることがわかります。

同じ電子配置のイオン半径

 電子配置が同じでも、原子番号が大きくなると、陽子の数が増えるため、原子核中の正電荷は増します。引力が大きくなるため、電子がより強く原子核に引きつけられます。すなわち、イオンは小さくなっていきます。


まとめ

① 原子が陽イオンになると小さくなり、陰イオンになると大きくなります。

② 同族のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンも大きくなります。

③ 同じ電子配置のイオンでは、原子番号が大きいほど、イオンは小さくなります。

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