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書評:フッ素化学入門2015—フッ素化合物の合成法


読んだ本

(独)日本学術振興会・フッ素化学第155委員会 編、フッ素化学入門2015—フッ素化合物の合成法、初版第1刷、三共出版、2015年、380頁

分野

フッ素化学、有機フッ素化学、無機フッ素化学

対象

フッ素化学の研究(実験)を行っている人

評価

難易度:無評価
文体:無評価
内容:悪 ★★☆☆☆ 良
総合評価:★★☆☆☆

少しがっかり

内容紹介

 これまで刊行された「フッ素化学入門」「フッ素化学入門2010」は基礎内容から実用展開までを網羅した「入門書」であったのに対し,本書はわが国オリジナルの無機および有機フッ素化合物の合成法を中心に,広く利用して頂くことを念頭に置いた「実験書」。
 執筆はフッ素化学研究に従事し,実際にその反応の開発担当者または利用者が担当し,その合成法の応用から,読者が再現時に必要な情報・注意事項にまで気を配り内容の濃いものとなっている。(引用:フッ素化学入門2015—フッ素化合物の合成法|三共出版株式会社 (sankyoshuppan.co.jp)

感想

 当書の5年前に刊行した『フッ素化学入門2010』とは異なり、フッ素化学の実験書となっている。また、執筆担当は論文のSIを読んだだけではなく、開発者本人か利用者なので、SI以上の情報が書かれている点は素晴らしいと感じた。ただ、個人的には”わが国オリジナルの無機および有機フッ素化合物の合成法を中心”にしたことで本の価値が大きく下がったと思う。本来なら、合成法を体系立てて羅列するべきだが、日本人の著者らの扱っている反応を基軸に構成されているので、まとまりがなく、マニアックな反応が多く記載されている。逆に言えば、そうすることで実験項を濃密なものとしているので、一概に否定できるわけではない。ただはっきり言って、この本をうまく利用できる人はごく一部だろう。2010年版が名著であったばかりに、その落差を感じているのかもしれない。
 ちなみに評価において難易度と文体が無評価なのは、決して悪いという意味ではなくて、実験本に難易度や文体などを評価する必要性はないからである。

購入

 まだ絶版しておらず、新品を購入可能。中古の値崩れも起きておらず、新品で買うのがいいだろう。私も学部3, 4年頃に新品で購入した。

参考サイト

  1. フッ素化学入門2015—フッ素化合物の合成法|三共出版株式会社 (sankyoshuppan.co.jp)

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