「国境がなくなると平和になる」という考えがお花畑である所以

世界には道徳的に素晴らしい人がいる。
心がきれいで他人にやさしく、このように人にやさしい人たちで世界が満ち溢れて入れば、世界は必ず平和で幸せになるだろうと強く思わせてくれるような、素晴らしい人たちだ。

筆者は日本人だが、日本人にはそのような人が多いように思う。
だが、世界中を旅した中でも、そのような人たちは多かった。

イタリアに行ったとき、訪れる人たちから、「みんなのママ」と呼ばれるようなレストランの女将がいた。
旅行者に対しても顔と名前を憶えてくれて、「またおいでよ!」と温かく声をかけてくれるし、現地で一人暮らしをしている者に対しては「あんた!最近、食べに来てなかったでしょ!お金がなくてもちゃんと来なよ!」と、優しく声をかけてくれる女性であったのだ。

そのような温かいもてなしをしてくれる人は、彼女だけではなかった。
世界には本当に優しい人たちがたくさんあふれている。
それは筆者が実際に世界中を旅して感じて実感したことであり、誰に何と言われようと、胸を張って言える事実である。

しかし、それとは反対に、極悪非道な人たちも世界中にたくさんいる。
それは日本人の中にもたくさんいるし、海外には日本の比ではない数の人たちが、血も涙もない人たちで溢れかえっている。

相手の弱みを見つければ、平気で他人の物を盗む。
自己の利益の為ならば、相手が命を落としてしまうようなことでさえ、平気でやってしまう。
そんな悪魔のような人たちが、世界中にあふれかえっている。

他人を殺してでも生き延びようとする人たちがいる。
十分に生きていけるほどの富を蓄えたのにも関わらず、他人を殺してでも富を拡大しようとする人たちがいる。
悲しいことだが、それが世界の現実だ。

他人から富や財産を奪って生きようとする人たちは、相手の弱みを見つけると容赦なく相手の富や財産を奪う。
息をするように嘘をついて、息をするように他人から強奪するような人が世界中には存在するのだ。

人の善意を信じるという心優しい人たちの存在を否定したくないという感情が筆者にはある。
だが、人の善意を利用して、善人から搾取する極悪人が世界中に大勢存在する。
そして、世界の支配者は正に、皆、極悪人であるという事実がある。
つまり、世界で最も権力を持つ者たちが他人の善意を利用する者たちであるのだ。

支配者たちが他人の善意を利用して世界中の一般人を支配し続けている以上、一般人であり弱者である我々は、支配者たちの悪意を認識した上で身構えなければ、搾取され続けてしまうのだ。

「国境がなくなれば争いも亡くなり、世界が平和になる」という思想は、世界中の人たちから欲望がなくなり、他人から富を奪うという人が存在しなくなった時には、国境がなくなっても世界は平和になるだろう。
だが、そもそも世界から争いが亡くなって平和になるには、「他人の物を奪って生きていきたい」と考える者がいなくなって初めて成立するものであり、そうなった暁には確かに、「世界平和」という名目では国境は不必要なものになるだろう。
しかし、それは大前提として「他人の物を奪って生きていきたい」という者がいなくなることが先であり、「他人の物を奪って生きていきたい」者が存在する限り、国境がなくなった瞬間に、国境がなくなったことで得られる利益を得て世界中は混とんと課す。

そのような事実は、「国境がなくなると平和になる」というプロパガンダを流す者ほど、その心理を良く理解しているのだ。
信じる者ほど巣食われるという法則が、正にここでも働いているのである。

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