あなたは目の前の問題から逃げずに信念を貫けるか?ドラマ金八先生第5シリーズに学ぶ

世の中の大半は、きれいごとで溢れている。
物事の本質をとらえず、問題の本質に目をつぶり、きれいごとだけを建前のように振りかざして、あたかも不正も問題もないようなふりをして生きていく。
いつの間にか、日本という社会はそんな社会になってしまった。

いつしか日本には問題から目を背けたり逃げたりする者ばかりで溢れかえった。
筆者の周りには、「問題?そんな問題があるようには思えません。」と平気で言い放ってしまうような者までいる。
問題が存在すると認識すれば、問題を解決しようとしたり放置しようとしたりということが起こるが、「そもそも問題はない」という立場に立てば、そのような責任問題は発生しないのだ。
そうやって、全ての問題をキレイゴトで済ますことで、全ての問題を先送りする。
「問題が見えない」とか、「問題を見ない」というのは、意識的にしているのか、無意識でしているのかはわからないが、どちらにせよ、その背後には相当深刻な心の闇が存在するだろう。

そのような問題に真っ向から立ち向かった中学校教師を描いたのが、ドラマ金八先生第5シリーズだ。
物語は東京の中学3年生のあるクラスで生徒たちが教師に暴力を振るい、教師が肉体的にも精神的にも病んでしまい、主人公の坂本金八という教師がそのクラスの担任を代行するところから始まる。
生徒たちに暴力を振るわれた教師はパワハラにより生徒を抑えつけており、生徒も大人たちの言うことを聞かない状態であり、教師側にも生徒側にも大きな問題があった。

そんなクラスの代行の担任となった坂本金八は生徒たちに宣言する。
「教師は教師である前に魂の通った人間だ。私にも一人の人間として魂があり、生徒の君たちであっても私の魂を踏みにじるようなことはされたくない。君たちが度が過ぎたことをしたとき、私は厳しく注意します。暴力は行けませんから、不満があればどうぞ、君たちは私に言葉で不満を言ってください。みなさんが悩んでいるなら一緒に悩みたいし、泣きたいときは一緒に泣いてもいい。うれしいことがあったら一緒に喜びたい。人間は最後は魂だ。私と約束してほしい。人の魂を歪ませたり踏みにじるような嫌がらせやいじめをしないと先生と約束しよう。もし、この約束を守れなかった生徒が居たら、私がぶっとばします。学校で体罰が厳禁なことはわかっています。もし私がそうやって体罰をすればマスコミに暴力教師として取り上げられるだろうが、私はその生徒がどんな生徒であったか世間に告発します。これは一人の人間と一人の人間との真剣勝負です。」

そして、生徒たちは様々な問題を起こし続け、看過できない大きな問題を起こした時に坂本金八は生徒たちに向かって言う。
「人と人とが信頼しあって生きていく基本は、約束を守るという前提の上に成り立っている。できもしない約束はしてはいけないが、一旦した約束は守ろうと努力する。それゆえ、人は人として生きていけるのです。私はこのクラスに代行としてきた時に君たちと約束しました。私はみなさんの心を踏みつぶさない。私は皆さんに私の心を踏みつぶされたくない。心を育てず、魂を歪ませる嫌がらせやいじめをクラスから追放しようと言いました。もし再びこのクラスで人の心を踏みつぶして約束をやぶった者が出た場合、私はそいつをぶっとばしますと約束しました。それから三か月が経ちました。みなさんは約束したにも関わらず、また人の心を踏みつぶしました。君たちは何度も勉強して体験もしてきたはずだ。君たちは何のために勉強するのですか?生きるためでしょう?私は何度も何度も教えましたが、何一つ伝わっていませんでした。私の授業は無力でした。間違ったことをしたのに謝ることができない人間は最低だ。さあ、どうするか教えてください。私は再び心を踏みつぶす者が現れた時、私はそいつをぶっとばすと約束しました。私を約束を守らない大人にしたいですか?それとも、敢えて約束を守って私を体罰教師にしたいですか?クラス全員そろって返事をしてください。私は騙されたふりをして、わからないふりをして、何度も何度も君たちに教えてきました。だが君たちは何度教わってもケロリと忘れていました。人の心を壊して痛みを感じないから、また別の人の心を壊してしまう。前の問題も今回の問題も犯人はクラス全員でした。さあ、皆さん、決めてください。私と君たちの約束をどうするかを決めてください。私は約束を守れない者になりたくない。それに私は嘘つきにはなりたくない。私は君たちを嘘つきにはしたくない。これは私とみなさんの魂の問題です。クラス全員で一つの返事をください。」

そしてドラマでは何名かの生徒が名乗り出てクラスを代表して先生にぶっ飛ばされることを選ぶシーンが描かれた。
坂本金八は教師をやめることを覚悟して、生徒たちに命の大切さと約束を守ることの大切さを教えて生徒の前から去っていった。
物語はそこからさらに様々な問題に発展し、様々なドラマが描かれる。

このドラマは2000年に放送され、今から20年以上も前の時代を舞台にして描かれているが、日本社会の問題の本質は何も変わっておらず、何も古い問題でもない。

学校であろうが、会社組織であろうが、国や行政の組織であろうが、同様の問題はどこにでもある。
そのような目の前の問題から目を背けず、逃げずに信念を貫いていけるか。

ドラマは架空の話であり現実の問題ではなく、ドラマだから描けるという部分もあるだろう。
しかし、如何にして問題に取り組むかという現実の問題があり、このドラマではそれを一人の男の生きざまとして描かれている。


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