現代の会社組織に生息する「問題の本質や物事の根本を考えずに薬に飛びつく族」の行動パターン

世の中には問題に直面した時に、その問題の本質に触れようともせずに臭い物に蓋をするかのように問題を隠蔽するか、対処療法的に処理してしまう者たちがいる。
その問題がどういう問題かだけでなく、そもそも問題であるのかさえ考えないのだ。
そのような目隠し状態で問題に直面した彼らが取る選択肢は二つ、①放置するか、②適当に選んだ劇薬を飲む、のどちらかだ。
彼らの事を筆者は、「問題の本質や物事の根本を考えずに薬に飛びつく族」と呼ぶ。


現代社会における企業組織には、この「問題の本質や物事の根本を考えずに薬に飛びつく族」がうじゃうじゃと生息している。
場合によっては、組織に属する者の全員が「問題の本質や物事の根本を考えずに薬に飛びつく族」である。

例えば、何年も何十年も前から言われ続けていた、数字の集計をする仕事を紙で手作業で行うのではなく、パソコンにデータに入れて管理するという「データ化」について、日本では多くの組織が手作業のままで、「データ化」を見送ってきた。
たとえ一部をデータ化したとしても、データ化していない部分が残っており、それが業務を複雑化していたり、無駄な作業を増やしていたりする。
そんな時に業務の「データ化」ではなく、「デジタル化」と言われるようになると、やっていることは「データ化」と同じにも関わらず、「デジタル化」というサービスに飛びつく者も多かった。
さらに、昨今は「データ化」や「デジタル化」によって実現していたことを、「デジタル・トランスフォーメーション」という謎の言葉を使って宣伝するようになった。
そして、自らの力で業務を「データ化」して効率化すれば良いものを、システム開発を専門とする企業のサービスを利用して「デジタル・トランスフォーメーション」をする企業が増えている。

現代のデジタル化した社会において、自分の手である程度、データを扱い、自動化できるくらいのスキルを身に付けなければ、そもそもまともに仕事が出来ない。
にもかかわらず、データを扱うことから逃げ、社内でどのような業務効率化の必要性があるのかも考えずに、どこかのシステム屋が提供する「デジタル・トランスフォーメーション」というラベルの付いたサービスを、その中身を理解することなく導入を決めたりしている。

それはまるで、今自分がどのような状況で、何が必要かも考えずに、「あなたの病気は〇〇です!この薬を飲めば治りますよ!」とデタラメを言われ、本当に〇〇病なのかどうかを考えずに、その薬を飲むようなものだ。

これが現代社会の会社組織に生息する「問題の本質や物事の根本を考えずに薬に飛びつく族」の行動パターンなのである。


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