「数学なんて勉強して何に役立つんですか?」という質問に答えられないような大人に数学を勉強する意味を聞いてはいけない

中学生や高校生が教師や大人にする質問の有名なものに、「数学なんて勉強して何か役に立つんですか?」というものがある。
そして何故か、多くの者が三角関数を忘れてしまうことを良いことに、「sin(サインと発音する)とか、cos(コサインと発音する)とか、勉強して何の意味があるんですか?研究者じゃないと意味がないんじゃないですか?」というものがある。

筆者はある大学の工学部を卒業した。
そして同大学の大学院に進んだ。
工学系なので、物理学が一応、専門分野ではあるが、何しろ劣等生であったので、大学で研究を続けるような力はなかった。
それくらいの程度の能力しかないのだが、数学ほど役に立つ学問はないと実感している。
もちろん、三角関数もとても便利なものであり、sinもcosもとても便利なものであり、今も毎日利用している。

こういう話を誰かにすると必ず、「難しい数式を使った仕事をしているんですね!凄いですね!」という謎の回答が返ってくる。
数学とは何か、机に向かって数式をいじるようなイメージでも持っているのだろうか?
数学を日常で利用するとは、そういうものではない。

例えば、ある教室に人が何人か座っていて、その人数を数える場合を考えよう。
一人、二人、三人、四人、・・・十五人!とひとりひとり指差しで数えていって、1,2,3・・・と15までいちいち数える方法がある。
しかし、例えば3人掛けの机に3人ずつ座っていて、その机が5つあったらどうか?
3×5=15と簡単な計算でさっと15人!と計算するのではないだろうか?
数学を日常で使わない場合は、必ず1,2,3・・・と数えることをするイメージだ。
数学を日常で使う場合は、常に何か数学的な法則を探して、簡単に物事を把握する目で物事を見るので、先の例では3×5=15の法則をぱっと見つけてささっと人数を数えるイメージだ。

筆者は数学者ではなく、物理学者に近い。
物理学者になりたくてなれなかった、落ちこぼれ物理学者だ。
しかし、そんな筆者でさえ、日常であらゆることを考える上で物理学を基礎にして考えることができる。
物理学を使う上で数学は非常に役に立つ道具となる。
心理学を考えるときも、医学薬学を考えるときも、金融経済を考えるときも、政治学や哲学を考えるときも、人間関係を見るときなど、ありとあらゆるときに物理学的な視点を基礎に置いている。

それはとても便利で役に立つ。
いろんなものの見方ができるし、基礎的なものの見方ができるので、いい加減な情報に左右されない。
当然、ワクチンに効果があるなんて言う話にも騙されない。

残念ながら、筆者の周りにいる理系出身者でも基本的な数学や物理学の考え方が身に付いていない。
多くの者にとって、数学や物理学は授業の中だけ、研究室の中だけで、日常生活に活かすことのできている者はほとんどいない。
だが、数学や物理学は日常生活に役立つ、とても素晴らしい知恵なのである。

そのような物理学者の物事の見方、考え方について、今後、「物理数学シリーズ」として紹介していきたいと思う。
これまでの筆者の記事をお読みいただいた方にならご理解いただけると思うが、当然に専門的で難しい話はせず、大胆に簡略化をしてイメージで理解できるように説明する予定だ。
なので、とてもまじめな物理学者や数学者の方には多くの批判を受けると思うが、その批判は敢えて無視して大胆に簡略化をして説明していくので、是非、数学や物理が苦手な人にこそ、楽しみにしていただきたい。

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