NATOの実態:トランプやプーチンがNATOを縮小/解体すべきと言い続けるわけ

2024年のアメリカ大統領選挙に向けてドナルド・トランプの活動がさらに活発になるにつれて、日米の大手メディアが躍起になってトランプ叩きをしている。
何が何でもトランプを叩きたい日米の大手メディアは、トランプの発言の一部を切り取ってめちゃくちゃな解釈をして「トランプが戦争を煽っているぞ!トランプが世界の安全を脅かすぞ!」と報じている。


そもそも、NATOとは何か。
NATOとは東西冷戦時代に世界中に共産主義勢力を軍事拡大しようとするソ連(ソビエト連邦、現ロシア)に対抗する資本主義国である西側諸国で連合した軍事同盟のことだ。
確かに東西冷戦時代におけるソ連は見せかけだけの軍事拡大路線を公言していたため、NATOという軍事同盟は重要であった。
だが、東西冷戦が終結した1990年台前半にはNATOは存在意義を失ったにもかかわらず、NATOという組織は残り続けた。

ソ連が崩壊し、旧ソビエト連邦の加盟国は共産主義国ではなくなった。
つまり、ソ連の崩壊によってNATOの当初の目的である「共産主義国による軍事侵略/軍事拡大を防ぐ」という目的がなくなったのであり、NATOは何のために結束しているのか、わからなくなった。
その後、アメリカは「イラクのサダム・フセインが核兵器や生物化学兵器を開発している!」というデマをでっちあげ、イラクを叩くためにNATOを使うという反則技を使った。
その後もNATOは「アメリカの軍産複合体の戦争ビジネスを続けるため」に利用され続けた。
この構図を批判している者は多く、その主な権力者がロシアのプーチン大統領であり、アメリカのドナルド・トランプだ。

NATO加盟国はNATO内で決められた軍事費を各国が拠出して軍事力を維持するという決まりがあるのだが、そもそも軍事費を毎年約束通りに拠出しているのがアメリカぐらいだった。
NATOがソ連やロシアからの脅威から守るという意味であるなら、本来真剣にならねばならないのは欧州各国であるはずなのに、その欧州各国のほとんどは「NATOなんてどうでも良い」という態度を続けた。
それは当然である、ヨーロッパ各国は「ソ連の脅威がなくなったのに、巨額の軍事費をNATOの拠出し続けるほどの余裕はない」というのが本音であり、公言は出来ないものの、「NATOを維持することでアメリカの戦争ビジネスに協力するのはまっぴらごめんだ」と思っているからだ。
だが、アメリカ以外のNATO加盟国の発言権は弱く、「もうやめようよ」と言った瞬間、平和を乱す者として世界中から批難にあうことは目に見えているために、誰も「NATOを解体しよう」とは言えないのである。

トランプは2016年にアメリカ大統領に就任する前から、「NATOは存在意義がないから、縮小すべきである。本来なら解体すべきだ。」と公言している。
NATOを維持して得をするのは、世界の支配者たちを中心とする軍産複合体だけであり、NATOが標的を見つけて軍事作戦が行われれば、現地の一般人は命の危険にさらされ、NATOの無意味な軍事活動に加担した軍人の命が危険にさらされるだけだ。
つまり、殆どの人を不幸にするのがNATOの存在なのだ。

露プーチン大統領もロシアの大統領就任当初より、NATOの解体を訴えているし、「NATOを維持・継続するのであればロシアも加盟させてほしい」と主張している。
ソ連が解体してロシアとなってからは、ロシアも他の欧米諸国と同じように資本主義国となり、欧米諸国と同じように世界の平和維持を目的としている。
それゆえ、「ロシアも世界の平和に向けて協力したい」と考えるのは当然であり、実際にロシアはそのように主張したが、ロシアのNATO加盟はアメリカなどによって断られることになる。
さらにロシアは「対ロシアのために結成されたNATOは存在する意味がないから解体してくれ」と主張したが、これも却下されている。
ロシアとしてはたまったものではないのは当然だ。
ロシアは欧米諸国と戦争する気などないのに、NATOという「皆で協力してロシアと戦おう!」という軍事同盟が存在し続けられるのは不愉快であり、ロシアの平和と安定に対して脅威以外のなにものでもないからだ。


NATOというのは以上のような存在意義を完全に失った団体なのである。
ドナルド・トランプは現在もNATOの存在を批判しており、「そもそもNATOは解体すべきだ。多くのNATO加盟国は約束通りの軍事費を負担していないのだし、そんな国の国防の為に金を拠出し、軍隊を派遣しなければならないのだ。そんな国の為に防衛する意味などない。」などと発言しているが、そう発現するのも当然であり、トランプは何も間違ったことを言っていない。

トランプは「NATOの軍事費を約束通り払わないなら、ロシアに攻めてもらうように促すかもしれないぞ~」とも発言したのだが、これは明らかに冗談で発言したのであり、その真意は「自国を守るだけの軍事費さえも出さないくせに、LGBTのためや気候変動のためには無駄遣いをしておいて、軍事的脅威が発生したら『守ってください』という態度は許されない」という意味だ。
このトランプの発言を日米の大手メディアが「トランプがロシアをそそのかして世界を混沌化しようとしている!」と報道しているのである。

NATOの現状とトランプの発言の意図を無理やり捻じ曲げることで、日米の欧米メディアは「トランプは十分な軍事費を負担しないNATO加盟国は防衛しないと危険なことを言ってる!トランプを排除しろ!!!」と騒いでいるのである。


NATOの実態だけでなく、世の中のあらゆる実態を知らなければ、こうやって大手メディアに騙され続けることになるのである。


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