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ピンチョン『ブリーディング・エッジ』 製本して、読んで、装画を描く|⓪前段


『ブリーディング・エッジ』とはアメリカの大御所作家トマス・ピンチョンが2013に発表した小説です。未邦訳ですが、来年にもピンチョン全集を出している新潮社から出版されると情報が出ました。

そんな未邦訳作品を「製本して、読んで、装画を描く」に至る経緯を備忘録的に書き記して行こうと思います。

ちなみにこれは仕事とかではなく、完全に趣味の話です。

本(装画無し)はこんなに風になります。

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トマス・ピンチョンとは?

まだ3作品しか読んでない私に紹介できるとは思いませんが、世間的には難解で分厚いで知られていると思います。

トマス・ピンチョン(Thomas Pynchon 1937年5月8日-)
現代アメリカを代表する作家で、度々ノーベル賞候補にあげられるような巨匠です。
有名な『重力の虹(1973)』は日本語訳で、ハードカバー、前後巻合わせて1500ページくらいあります。この『重力の虹』、内容もはちゃめちゃに難しく、工学・化学・心理学・オカルト・神話・映画・ドラッグなどなど様々な知識が複雑に織り込まれ、かつ、膨大な実在する固有名詞、例えば食品の銘柄や映画俳優の名前(しかも作品時間の第二次世界対戦時の!!)が当たり前のように出てきます。さらに名前ありのキャラで400人くらいいるらしいです。私は挫折しながら3年かかって読み通しました。理解はしてません。

まあこんな感じで知識も異常に分厚い作家なのです。

『ブリーディング・エッジ』

そんなピンチョンが80才手前で発表したのが『ブリーディング・エッジ』という作品。
舞台はニューヨーク、2001年(つまりテロの起きた年)の一年間を描く物語。金融不正調査をしている主人公マクシーン・ターナウがひょんなことから(便利な言葉ね)ディープウェブを行ったり来たりで、ニューヨーク地下を蠢く闇に触れていく、インターネット社会を題材にした探偵”風味”な小説です。
……私の技量ではこんなくらいにしか紹介できないのが残念。もっと複雑な作品です。因みにタイトルのBleeding Edgeは出血性のある先端、つまりリスクを伴った先端技術という意味です。

未邦訳なのに、どこで訳を手に入れたんだ!コラ!

私が全部訳しました。……というのはジョークで、
柳楽馨さま(@lzpqvxbfjq17)が私的に訳されたデータをいただいて製本に使わせていただきました。柳楽様のTwitterで配布なされておりますので、気になった方は是非。

同著者の『競売ナンバー49の叫び(1966)』を読み衝撃を受け、ピンチョン熱が上がっていた頃、柳楽様のこと、『ブリーディング・エッジ』のことを知り、
「ピンチョンの作品を個人的に訳すってどういうこっちゃ!」
「あれだけ知識と固有名詞を総動員する分厚い作家の本を訳すということは、それ相応の感度、調査が必要なはず、なんてことだ!読んでみたい」
ということで勢いでデータをいただきました。

そうして製本して、読んで、装画を描く
長い戦いが始まったのです。

さて、めちゃくちゃ長くなりそうなので記事を3つに分けます。
お楽しみに〜

①製本する

②読む

③挿画を描く


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