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『シン・ウルトラマン』観た

特撮好きでも、ウルトラマン好きでも、庵野秀明好きでもない人間の感想です。「わかっちゃねぇーな」と思ったオタクはそう言ってくれると嬉しいです。取り留めもなくかいていきます。

ネタバレ多少あり。








『シン・ゴジラ』は学生の時に友人に連れられて観た。オタクのファンムービーを見せられるのかなーと思ってたら、そんなこともなく普通に面白かった。これまで庵野秀明の映像をあまりみてこなかったのが良かったのかも。エヴァのパロディとか気にせずに観て楽しめた映画だった。

「ウルトラマン」については近くに好きな友人がいるので色々教えてもらうことがある程度。自分が子供の時にはほとんど見た記憶がなく、小学生の時に友達の家のソフビで遊んでたくらいか。
成田亨のデザインはすこぶるかっこいいと思っているたち。おもちゃコーナーで先の友人と、これは「成田亨デザインの怪獣かどうかゲーム」をしたこともある。あとは「ティガ」の実相寺回であのアングルは見ている。

と、まあウルトラマンにはこれくらいの距離感なので、今回も『シン・ゴジラ』同様、あまりパロディには反応できないだろうと思いながらの鑑賞。


端的な感想は「なんかカラッとしてて面白かった」です。


『シン・ゴジラ』の方は明確に対原発の話になるので政治色がじめっとしていた印象があるけど、こちらは災害の象徴として「禍威獣」は出てくるものの、変に思想が前面化せずに明るい乾いた印象を受けた。
ウルトラマンの戦い方とかシュールな場面もあって時折ふっと笑える感じ。
政治的な読み込みはできそうな感はあるけど、おそらくそれをするとバラバラ崩れそうな感じの全体感。

ウルトラマンのデザインのかっこよさは存分に伝わってくるし、怪獣たちも魅力的に映った。ので、もっと怪獣とウルトラマンを見たかったというのが正直なところ。ということは特撮としては成功してるんじゃないかな(わかっちゃねぇーなー)。3Dがしょぼいとかまあ仕方ないけど。

面白い言っても、映画としては微妙っちゃ微妙か。TVの2時間スペシャルでお茶の間で見ながら、あはは、とたまに笑うくらいの作品感かと。

レイアウトは面白いけど少しウザったい感じはある。誤魔化しのために矢継ぎ早で画面を変えてるようにすら感じる。もうちょっと落ち着いて。
長澤まさみへの昭和セクハラは確かに感じた。世間に何か訴えるというまでには至らず、単に恥ずかしい稚拙な演出ぐらいにしか写らなかった。早くこのシーン終わってくれ〜。って感じ。
自分で尻叩くくらいは別にいいと思うけど、おそらく個人の大事なルーティンワークとして描くことができてないから、セクハラセクハラ言われるんだと思います。それにセクハラされたのは斎藤工もだよね。

ドラマはとってつけたような感じ。というか歯抜けな感じで、ストーリーものとしては評価できないかな。美味しいのはやはりウルトラマンと敵のプロレス。

是も非もないのだけど、超科学で解決って結構デウスエクスマキナ的だなと思った。僕は詳しくないから分からないけど、もしかしたらリアリティのある解決なのかもれない。
あとは、役者さんがあまりにもセリフの言葉に慣れてないのが気になる、けど逆にそれが好き。噛むギリギリ手前で喋ってる感じ。lainが「プロトコル」を「プォトコル」って言っちゃうのと同じ可愛さ。

なのでライトに気張らず観るのがちょうどいい映画かと思いました。確かに『シン・ゴジラ』っぽいものを期待すると肩透かしかも知れぬ。


この映画を見て、"特撮の可能性"みたいなものは感じられたのでそこは収穫。「不可解なもの」を明るく描くのには打ってつけの場じゃないかなと思った。(ここで言ってる特撮は技術としてじゃなくジャンルとしての特撮。わかっちゃねーなー)。
ただ、残念なことに昭和のおじさんオタクたちが作っている内はその"可能性"は"可能性"のままで死に絶えてしまうのかなとも思う。特撮を生き延びさせたいのなら若い監督に取らせるのが一番ですよ。庵野さんでも樋口さんでも監修に徹して世代下の人に特撮を解釈させて作らせたら良いものできるんじゃないですかね。というか絶対なりますよ。
それこそ成田亨デザインじゃないダッセー怪獣をメインモチーフに持ってくるとか(わかっちゃねーなー)。それこそ新しい特撮企画を作らせるとか。

やっぱりクリエイターというのは同世代のクリエイターに強く影響受けるものだと思います。庵野さんたちだってそうやって切磋琢磨して自分たちの世界を勝ち取ってきたんだと思うし。おっさんが作ってるうちは若い奴は反応しませんよ。

ウルトラマンが人類という他者と共存することで生存の道を開拓したように、世代じゃない、わかっちゃねー他者と共同制作することが、特撮の生き延びる道なんじゃないかな。


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