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ピンチョン『ブリーディング・エッジ』 製本して、読んで、装画を描く|①製本する

前段はこちら


いよいよ製本します。

私は本は紙で読むのが好きです。
特に読み進んだ距離がアナログに理解できることころが好きです。
それに製本も学生時代に何度かやって好きだったので、これを機にこの分厚い本を製本してみよう!ということで意気揚々と準備をはじめました。

■下準備

adobe InDesign で文字組をします。
行数や文字の大きさ(Q数)、使うフォントを選びます。
いただいたデータがwordだったせいか?うまく表示されない文字を調べてフォントを調整します。

スクリーンショット 2020-12-30 1.55.31

ノンブル(ページ番号)や柱(左上の章番号)などは自動で入力できるように設定します。

フォントは以下
本文:貂明朝テキスト
英文:Minion Pro
章番号:Jeanne Moderno OT
ノンブル:Marion


■面つけする

両面印刷するようにページの位置を整えます。
大きい紙に数ページを印刷して、折りたたみ端を切って束を作るスタンダードな方法をとりました。今回1PのサイズはA5にし、A3の紙に面裏合わせて8P分を一枚に印刷します。

スクリーンショット 2020-12-30 2.02.47

番号がページ数です。
左右の4ブロックづつが表裏で印刷されるように設定。

■印刷する

ガーガーガーガーガー
本文は明るくなりすぎないように、グレーの紙に印刷してみました。
紙が少し硬くてめくりづらかったのが今回の一つの失敗。

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(多分これ)


■折る

印刷した紙をひたすら折ります。
だいたい本文が730P、1枚に8Pなので730/8≒91(枚)をひたすら折ります。因みに私は折り紙が趣味なので紙を折るのは一切苦ではありません。指は痛くなります。

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■縫う

この折りたたんだ束をまとめていきます。
こうやって糸で製本するのを糸かがり綴じと言います。
手間はかかりますが平らに開くことができるので、分厚い本には最適です。
よくメモ帳など、開いたところに縦に糸が入っているものがありますが、ああいうのが糸かがりの本です。

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今回ちょっと遊びで青くきらめく錦糸を使ってみました。

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(写真、全然青くないっすね、、、)


■見返しをつける

見返しとは本文とカバーをつなぐ重要な紙。
大抵の本はカバーを開くとペラっと一枚紙があると思いますがそれです。
今回は遊びで赤いトレーシングペーパーを使いました。にじむ血液のイメージ。タイトルがうっすら透けて見えます。

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ハードカバーをつける

・表紙
ボール紙にシルバーの紙を貼ります。
・背
今回、普通の製本にしたくなかったので、背にプラスチックの板を使いました。背は見返しと同じ赤のトレペで一度覆っています。
(『重力の虹』のせいでピンチョン的技術はプラスチックのイメージが強かったので)

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これを二つ合わせてカバーを作ります。
いわゆるハードカバーの本を上製本と言います。

ここで背を固定するかしないかが本の開きに重要です。
今回ような固定しない物をホロウ・バック(Hollow Back)と言います。
固定しない分、強度が低いです。

スクリーンショット 2020-12-30 2.21.47


今回このカバーはかなり特殊です。読んでる途中にプラスチックの背が割れてしまったのがまた残念。ただ腐る本というのもいいものです。

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■スピン(しおり)

今回ここも遊び(遊んでばっか)
普通、平織りの紐を使いますけど、青いプラスチックの紐を使いました。
オカダヤで買った謎の素材。赤との調和が良い。

スクリーンショット 2020-12-30 2.25.39

(写真、全然青くないっすね、、、)


■ジャケットを作る

本を保護するもの
日本ではカバーと言う言い方が普通ですが、英語だとブック・ジャケットと言います。カバーは表紙のことらしいです。

また遊びで、ハンズで買ったブラスチックの革(塩ビシート的なやつ)をプラスチックの糸(テグス)で縫ったものです。

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こんな感じでやっとこさ完成。
結局仕事をしながらで2-3ヶ月かかりました。

(なんかハードディスクみたいじゃないっすか?)

さあ読みます。


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