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掲載短歌まとめ

雑誌や本に掲載していただいたりラジオで紹介して頂いた自作短歌をまとめていきます。

木になった私に触れてその指で人間として息を吸いたし

春陽堂書店・東直子著『短歌の時間』題「木」

灼熱のコンクリートに毛が生えて象の行進ランプと踊る

2021年9月25 日 文芸選評 東直子選 題「象」

たそがれに中央線が向かってくティッシュのゴミはひろえなかった

2022年7月10日 東京歌壇 東直子選

恐竜の背骨のような廃線できょうだいだったときは知らない

2022年10月30日 東京歌壇 東直子選

雨粒が川面にとけてペンギンに会いにゆくのを見送っている

2022年11月26日 文芸選評 梅内美華子選 
題「送」

こどもだと思われたくて信じてたサンタクロースが家に来ること

NHK短歌2023年2月号 江戸雪選テーマ
「プレゼント(クリスマス)」佳作

初雪も明日には黒くなってゆく残されているパフェにスプーンを

短歌研究2023年2月号 コントde短歌
 かが屋「パフェ」特選

ピストルの音でぼくらは走り出す 花火は今も怖いのですか

短歌研究2023年2月号 コントde短歌
空気階段「関健 〜夏祭り大乱舞編〜」特選


ゆうれいのゆれる吊り革すずしげな折り畳み式人間車両

2023年1月22日 東京歌壇 東直子選

洗いもの裏返しだよ
(そのまんま着てまた脱げばほら元通り)

公募ガイドあなたとよむ短歌 
vol.35 テーマ詠「家事」佳作

言葉にも屈折率があるようでまた会いたいは好きじゃなかった

NHK短歌2023年3月号 佐々木定綱選
題「折」佳作

花束にされないですむ部屋にいて野草みたいに前髪結ぶ 

2023年3月13日 東京歌壇 東直子選

ひとりだと食べ方汚くなっちゃうし、ありがとうって言うときないな

2023年4月9日 東京歌壇 東直子選

苦情処理電話のあとのため息で遥かに飛ばすたんぽぽのたね

2023年5月7日 東京歌壇 東直子選

寂しさの雨雲と住む母さんのおしゃべりにただ相づちを打つ

2023年5月14日NHK短歌 山崎聡子選
題「親に、子に思うこと」入選三席

「ん」が二つゆれてるような君の目がぼくを見つけて「あ」の型になる

NHK短歌2023年6月号 岡野大嗣選
テーマ「待ち合わせ」佳作

上あごの海苔は途端に海の顔、このまま増えてゆくかもしれぬ

2023年5月28日 東京歌壇 東直子選特選二席

あくびするとき限りなく猫になるあなたの下の八重歯を愛す

NHK短歌2023年7月号 岡野大嗣選
テーマ「あくび」佳作

寒い日は弱るからね、とタオル巻き朝の電車に精液も乗る

短歌研究2023年7月号
第66回短歌研究新人賞 予選通過作

今日採った卵子と同じ六個入り卵パックを落としてしまう

短歌研究2023年7月号
第66回短歌研究新人賞 予選通過作

ぱぱんぱと黒板消しの蝶の国 白い鱗粉吸ったらだめよ 

2023年6月18日 東京歌壇 東直子選

この傘はジャンプ式よと言われれば開いたときに跳びたいこころ 

NHK短歌2023年8月号 川野里子選
題「傘」佳作

遮光された寝室 洗濯機のノイズ 胎児のころは無音を知らず

2023年7月30日 東京歌壇 東直子選  

歯磨き粉のチューブみたいに搾られる私も電車を降りたいひとり

2023年8月6日 東京歌壇 東直子選

歯ぶらしでお風呂のかびをこするとき舌の裏から濁った唾液

2023年9 月10日 東京歌壇 東直子選

かわいいと思えなくて、という人の子の履いてきた新しい靴

2023年9 月10日NHK短歌 山崎聡子選
題「子育てをめぐって」入選

駅までの詰まった列で交ざりたい前からひびく感想戦に

NHK短歌2023年 10月号
テーマ「ライブ」佳作

バイトには直せなかったコピー機に制服脱いだ店長がゆく

NHK短歌2023年 11月号テーマ「店員」佳作

お二人は兄弟ですか?割り箸でメンマをつまむ再会のとき

NHK短歌2023年 11月号テーマ「?/疑問符」佳作

踏切の赤がちかちか射す顔で猫って苺食べないのと言う

2023年11月11日 文芸選評 山田航選 
テーマ「忘れられない人」

目を細め眺めるほどの春の日にきみの眼鏡の車窓を見てた

NHK短歌2023年 12月号 テーマ「車窓」佳作

満月のドアノブぐんと手をかけて夜空の裏の色を知りたい

2023年11月20日 読売歌壇 俵万智特選一席

病名を小石の軽さで悲しめば母親もそうだったのなんて

公募ガイドあなたとよむ短歌 
vol.45 テーマ詠「健康」佳作

できるだけ高く飾りをつけたがる子らをツリーの星は見守る

2023年12月17日NHK短歌 
吉川宏志選 テーマ「冬の星」入選

眼裏のような秋空 枯れた葉は小鳥のように墜落をして

2023年12月24日 東京歌壇 東直子選

ティラミスを地層のように掘りながら私の好きな私はここだ

NHK短歌2024年2月号 題「ケーキ」佳作

厳かにまわせ夫の戻るのを義母と待つ間のコーヒーミルは

NHK短歌2024年2月号 テーマ「パートナーのこと」佳作

ピンポンが鳴ればかならずエプロンをはずし出ていた母の聖域 

NHK短歌2024年2月号 テーマ「着る/脱ぐ」佳作

下り坂、ライトをつけて、自転車で どうも私が流れ星です

2024年1月21日 東京歌壇 東直子選

コンクリートのビルが欠片になってゆく こどもがほしい、ほしい、と思う

2024年1月28日 東京歌壇 東直子選

ゆうれいとしか遊ばない妹に友の居場所を聞かすエレベーター

2024年2月18日 東京歌壇 東直子選特選一席

掃除中だれも見てない隅っこでデッキブラシにまたがってみた

NHK短歌2024年3月号 テーマ「あこがれ」佳作

本日もゴジラの来ないこの街にいろとりどりの魚の切り身

2024年3月17日 東京歌壇 東直子選

がんばれ、と吹かれこころの平熱がちがう生き物なので、と思う

第25回 NHK全国短歌大会
題「平」 大森静佳選 佳作 

眠い日のゴミ捨て場にはクラゲたちああ海まではすごく遠いな

2024年3月31日 東京歌壇 東直子選

ほとほととアイスが落ちる愛おしさ地球という名の遊具に乗って

2024年4月7日 東京歌壇 東直子選

今日だって仕事に向かう新しい大陸みたいな雲とならんで

NHK短歌2024年5 月号 テーマ「組織」佳作

裏側の世界にきっとなくなった右のピアスをつけた私が

NHK短歌 6月号 テーマ「アクセサリー」佳作

好きだった友達のこと人づてに 琥珀になりきれなかった蕾

2024年6月2日 東京歌壇 東直子選

筋斗雲みたいなねぐせ抱きしめて包まれなおす日曜の朝

2024年6月9日 東京歌壇 東直子選

できるだけたくさん詰めてにぎる米きょうも絶対負けないように

2024年6月16日 東京歌壇 東直子選


○2024年6月16日更新

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