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【読書感想】『救出 3.11気仙沼 公民館に取り残された446人』

グーテンターク!みなさんこんにちは。フランクフルトのYokoです。

今日は『救出 3.11気仙沼 公民館に取り残された446人』を再読しました。

これは水没した公民館屋上の446人が絶対絶命の危機の中、ついに全員救出されるまでの物語です。

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水没し火の海になった公民館に取り残された446人の1人の女性がロンドンにいる家族に向けて送ったメール。そこからツイッターを経由して猪瀬さんにリツイートされ、東京消防庁から直接ヘリが飛び、無事全員救助されるという奇跡の物語。

猪瀬さんは救出劇が「偶然のなかの必然」として、タイトルを『脱出』とした方がよかったなあと複数の媒体でおっしゃっています。

 「結局、みんながそれぞれの持ち場でやれることを精いっぱいやっていく、ということなんだ」という猪瀬さんの言葉にも、作品の中では猪瀬さんご自身の役割より、みなさんの努力と工夫に対する敬意に焦点をあてたい作家としての目が感じられました。

それでもやはり私はタイトルは救出でよかったと思います。ただ頑張るのではなく、不確かな状況、いや極限の状態で、それぞれが冷静に判断し、自分だけでなく周りを想い、決断し、行動した、そのプロセスは救出と表現されてよかったのではと思うのでした。

私自身は、2011年の3月11日、あのとき私はすでにドイツにいました。

思い出したのは阪神大震災、当時大学1回生で大阪の実家で激しい揺れを体験しましたがら東日本大震災の揺れはさらに大きかったのですよね。

縦揺れの他に東京の高層階は船酔いになるような嫌な横揺れもあったとききます。本震余震で怖かったでしょうね…。

さらに日本と世界が緊張したのが福島の原発。福島原発の爆発するあの映像は私もフランクフルトでみました。それが現実とは信じられない光景です。

福島第一原子力発電所の冷却作業にドイツ製という特殊な放水車が使われて祈るようにみたことを覚えています。

メディアは悲惨な映像をを繰り返し流すため、メンタルに悪影響を与えないように怖さを伝えるだけの映像を見るのは最小限にとどめていました。海外では何もできない無力感のままそういう映像をみてメンタルが打ちのめされる人も出ていたからです。今、自分が鬱になることは出来ないと、意識しました。

代わりにツイートをよく確認して、信頼できる情報を逐次母に伝え、メールでやりとりしていました。

残念ながらこちらでもデマを本気で信じる人がいて、放射能にヨード、だから昆布だと家族に昆布を買うよう勧めた人がいます。あなたもと電話で私に真剣に勧める人がいて普段冷静な人もこんなに高揚して昆布と言い出したと悲しくなったことを覚えています。

嬉しかったのは会社に来てくれていた高齢のお掃除のおばちゃんのこと。夜帰る時、こっそり私に話しかけてくれて、有志で集めていたドイツの赤十字への募金箱を指差し、私もいれてよいか、少ないけれどと真剣に言ってくれたのです。もちろん!私たちと一緒に寄付してもらえたら嬉しいですと私がいうとは手持ちがないからと、その日は帰られました。数日して人気がなくなってからなぜか私が呼び出され、今寄付していい?とはにかみながら聞いてくれて二人でこそこそ(笑)募金箱の前へ。さすがにジロジロは見られなかったので、どうぞとあさってを見ながらお伝えすると、おばちゃんのエプロンからカサカサっと音がして紙幣でいれてくれたのです。おばちゃんが一生懸命に労働してくれた貴重なお金。日本を心から心配してくれるのがわかり涙が出るほど嬉しかったのでした。

他にも日本は大丈夫か、あなたの家族や友人は無事か、ドイツに避難させるのかと近所の人が真剣に聞いてくれたのを思い出します。

「結局、みんながそれぞれの持ち場でやれることを精いっぱいやっていく、ということなんだ」

猪瀬さんのこのメッセージをかみしめて、今を精一杯生きたいと思います。そしてもしかなうなら、いざというときに誰かのかすかなSOSのシグナルを感じ取ることのできる感受性と、何をすべきかの判断力、行動力を持っていられますように。


それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

Bis dann! Tschüss! ビスダン、チュース!(ではまた〜)😊

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