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黒板のないアメリカの学校

2018年の8月から2019年7月までの1年間、アメリカの公立高校で1年間勤務した経験で最も驚いたことの一つに教育現場におけるテクノロジーの普及があります。各教員が自分の教室を持てるアメリカでは1人の教員に複数のコンピューターが充てがわれプロジェクターにホワイトボードやスクリーンのある部屋が一般的で、中にはスマートボードと言われる電子黒板が導入されている学校もあります。

日本の学校のシンボル的な存在である「黒板」がない。

これが私の最初の感想でした。色んなアメリカ人の先生方に聞いてみると、黒板とチョークを使っている学校はもう20〜30年ほど前になくなったそうです。ちなみに、娘の通う公立小学校でも黒板はありませんでした。「日本ではほとんどの公立高校でチョークと黒板が健在である」と伝えると「Really!?」と本気でよく驚かれました。「昔、私が小さかった時には黒板消しやチョークもあったなぁ」なんて言う先生や「テレビで見たことある」と言う人もいるほど、黒板とチョークを使用した授業はすでに姿を消し、言い換えるなら「黒板とチョークでしかできない授業」がすでに過去の遺産となっていました。

テクノロジーの使用と言っても、その範囲は授業中にパワーポイントを使用したり、動画を見せたりするだけではありません。詳しくはまた少しずつ書いて行きたいと思っていますが、授業ではエドテック(EdTech)と呼ばれる多種多様な教育ツールを利用したり、予習復習管理、授業連絡、成績管理、保護者連絡などテクノロジーは多くの場面で生かされており、学校業務の効率化や授業の多様化を実現しています。

特に今はコロナウィルスの影響で、教育現場におけるインターネットの活用は世界中でさらに高まっています。アメリカで娘が通っていた小学校では、今年度の学校は6月まで休校になったそうですが、オンラインで授業ができるからこそできる決断です。お隣の韓国でも小中高がオンライン授業になったと言う記事が出ていました。世界の多くの国でオンラインでの学びへと大きく移行しています。しかし、

日本の公立学校でそれができるところはほとんどないでしょう。「学力の確保」「学習の機会を作った方が望ましい」と言う理由で感染拡大の危険を冒しながらも登校させることを選択する市町村が多くあります。しかし、登校させることを前提とした学校教育は今後、変わらざるを得ないでしょう。

今まで当たり前のように思っていた黒板やチョークを使った学校が日本で見られるのもあと少しかも知れません。


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