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日々読み #51



10/16 晴れ

引越しの後の筋肉痛は特になかったが、気力的なダメージは案外きてたようで疲れが残っている。
新しい家からの出勤は少しだけどきどきした。
慣れない道や駅はとても新鮮だった。
道や行き方が変わるだけでこんなにも、気分が変わるとはと驚きながら歩いた。
前の道のりも嫌いじゃなかったが、今の道のりは人の気配が色濃くておもしろい。

まだまだ未開拓なお店や公園、道があって気になる。

10/17 晴れ

今日は定期券を買い直すためにみどりの窓口に行った。
僕がついた時12人待ちだった。
窓口の人は次々と人々の要望を聞き、それに適した対応をして捌いていく。
あまりにも澱みなく対応している姿を見ていると、心地よかった。カウンター内のものは全て把握しているようで体の一部になっているかのようだった。
僕は自分はできないことをしている人が好きだ。そしてその人が繰り返してきた無駄のない、美しい動作を見るのが好きだ。
綺麗な文字を書く人、絵を描く手、澱みなく流れる動作、あげればキリがない。人が繰り返しの、行動の中で習得してきた技術から時間を感じるから好きなのだろうか。

今日の緑の窓口での一件はまさにそれだった。
あの感覚はなんなのだろう。もっと深く考えてみたい。
繰り返すことの魅力みたいなものはある気がしている。
手練れって言葉があるけど、そういうことなのかもしれない。決して急いでないのに、早くて正確。穏やかなのに凄みがあるような。


10/18 晴れ

毎日写真を撮って、現像して一枚スレッズにあげるということをして3ヶ月が経った。誰に言われたわけでもないけど自分でやらなきゃいけないことを決めて、やってきた。やる前と比べてカメラの癖や調節のあれこれがわかってきた。1番わかりやすく変化したのは写真の出来だ。
前より撮れるようになってきた気がする。

気になることやまだまだだなあと思うことはあげるたびに思うけれど、少しは進んでいる気がして嬉しい。


10/19 晴れ

最近寝具を整えた。朝晩と寒くなってきたから毛布を追加した。
朝方に寒くて起きることがあったが、それがなくなってぐっすり眠れるようになった。


話は変わるが、同じ話を繰り返し話すAさんという人がいる。
Aさんは独自で編み出した同じ献立を摂取している。栄養面やエネルギー面からみても全く問題ない、というよりも「健康的な食事」に真面目すぎるほどバランスがとれた決まった献立を摂り続けている。
教科書的な献立だからこそ問題が起きようがないのだけれど、不安になってしまうようで訪問すると、必ず自分の食事内容を語り始め、「やっぱり足りないよね?問題ない?そうかなあ、足りない気がするんだけど、、、」と決まって僕に確認してくる。

どんな会話の入りでも必ずその話をするから、なるべくその話にならないように工夫してみたが、どんな話を振っても結局その話は繰り返され何度も同じ話が再生される。何十回と決まった話を繰り返すAさんに何度同じを話すのだろうとその話の途中にうんざりしてしまうことがあった。
うんざりしていたし、もはや困っていた。

でも最近、僕自身が妻に同じ話を聞いてもらってすっきりしていることに気づいた。
ああ、自分も同じ話をしているじゃないか、自分では抱えきれないこととか、話をして少しだけ荷下ろしができる感覚が僕にもあったじゃないか、何も進展がないと思っていたのは僕だけだったのかと思った。

それまでは同じ話を繰り返す困った人だと思っていたけれど、その気づきから気持ちがわかるあの人みたいに立ち位置ががらりと変わっていく気がした。
またひとつ学んだ。

人には同じ話をして、ゆっくり聞いてもらって安心したい時だってあるよね。という気づきの話。


10/20 晴れ

妻が優しく見送ってくれて、久しぶりに友人と飲みに行った。夜の21時から飲み始めるというかなり遅めなスタートだったけれど、お互い30手前らしく終始落ち着いた会だった。

これまでのこと、子供のこと、これからのこと、どうしていきたいかそんな話をひとつずつ話した。
わかるわかるという話が心地よく続いて、とても楽しかった。
終電もあったから話の途中で終わりになってしまって、話し足りないなあと思ったけれど、それもまたいいよなあと思った。

珍しく飲みに行ったからか、帰ってきてからもあの人はこういうことを言ってたなあ、もしかしてこういう経験からこう言ってたのかなあと、何度も咀嚼するようにあれこれ誤読できないかなあとかいろいろ思い出した。

なんだか飲んでいる最中だけでなくて、こういう思い出している時間も楽しくなったのは歳を重ねたからなのか、それともいい友人だからなのかな。
どちらもだといいなあと思って、布団に入る。


10/21 晴れ

今日はご近所さんのところに行って日曜大工をした。
と言ってもキッチンの作業テーブル用天板を作るだけだった。

のはずだったのだけれど、元々決められたサイズのところに合わせて作らなきゃならなくて、長さや金具をつけたりする手間もあってなかなか難しかった。
ご近所さんはほぼプロみたいな人だったから色々なことを教えてくれた。
簡単そうに見えることでもやってみると、予想もしていなかった苦労が現れたりして、案外発見がある。
いずれにも共通するのは段取りと準備が何よりも大切だということ。

色々なことに挑戦するっていうのはそういうことを仕事以外で学ぶためにあるのかなあなんておもった。
責任は全て自分にあって、究極責任なんてない自分の日常でどれだけやれるか、それが今後の自分を左右するんじゃなかろうかと眠たい目で考えている。


10/22 晴れ

今日の夜は明日の朝食べるパンを手ごねで作った。
今回はライ麦粉を混ぜて作ってみた。色や香りが強力粉とは違って、なんだかワクワクする。
捏ねている時が力もいるし、粉の分量の塩梅は大丈夫かなとか長いこと捏ねる必要があるから1番大変なんだけど、その最中にふと考えごとが深まることがあるから好きだ。
草むしりとか散歩もそうだけど何かに没頭している傍らにふぅーっといい考えみたいなものが舞い込んでくる気がして、どれも好きだ。

今日は「人は絶対的な安心、繋がりがあるからこそ、孤独でいられる」よなということ。
僕は1人で何か没頭することや没頭できること、没頭できる時間が好きだ。
でもそれは没頭できる環境にいないとできない。何者にも危害や邪魔をされず、ここにいていいんだよという場所があって、僕を安心させてくれる存在や繋がりがあるからこそ恐れずに1人になれる。
1人になれる環境や状況があって初めて、僕は没頭することができる。
1人が好きなやつもそうじゃないやつもみんな、誰かがいないとダメなのだ。
すごく当たり前な話だけれど、今日はそのことに割と真面目に感動した。

そんなことを考えていたら、これまでそんなことを感じさせないように育ててきてくれた周りの存在に感謝しかないなあと思った。僕は周りにいる人全員のおかげでこうして生きていれる。

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