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日々読み #6

12/5 曇りのち雨

今日はとても寒かった。私の気分では晩秋だったのだけれど、どうやら冬は確実に近づいているようで暦通り12月らしい寒さだった。
妻の名前には「冬に実る希望」という由来があって、秋のお別れと冬の到来の間のような時期に生まれた彼女にとってぴったりな名前だ。
妻の誕生日まではまだまだ晩秋という感じだったのに、
妻の誕生日を機に季節がガラリと変わっていくような、季節が移ろう間のぎりぎりの点のような気がした。そんなことを考えながら、電車の大幅な遅延によって予想外の寒さに晒されてながらも今日という日にも愛おしさを覚える。


12/6 霧雨のち晴れ

2人で暮らすようになって、感じるのは妻という他者の存在だ。当たり前といえば当たり前なんだけど、これまで僕だけで完結していた生活に妻との生活が始まることで新たな潮流が生まれているのを感じる。
人は赤の他人から生涯のパートナーとしてつながり、家族になる。それぞれの暮らし方があって、ふたりが一緒になるとき、調整は必ず必要になってくるのは当然で、それも込みで結婚したいと思った。
2人の心地よい暮らし方を目指そうとしてきたし、目指している。それでも今まで意識していなかったところで、ゴツンとぶつかる。

家族になったとしても、人はとどのつまり、他人同士だから調整が必要な場面が出てくる。どうしてこんなことができないのか、どうしてこんなこともいわれなきゃいけないのと思ってしまう時がくる。人間だからこそロジックは抜きに、意地を張りたくなる時もある。でもそんな時どちらが正しいとか間違っているとかじゃないんだなとつくづく思う。結果的に2人がよくなっていければいいんだと思う。だからこそぶつかった時には「結果的に良くなる気がする」感を大切にしていきたい。だって2人の生活なのだから。これも妻とのやりとりの中で気づけたこと。
どちらが正しいとか、効率的とかじゃなくて、良くなる方を。2人で選んでいこう。いつもわからず屋でごめんね。


12/7  晴れ

今日は出勤と同時に事務所に緊急の連絡。独居で高齢の方が自宅で転んで、頭から出血しているとのことで出勤後すぐ車を飛ばす。幸い大事には至らなかったが、受診は必要そうな様子。家族は離れて暮らしており、手は借りれない。それでも日頃から仲の良いご近所さんがいて、連絡すると数分もしないうちに、息を切らしながら駆けつけてくれた。状況を話すとご近所さんがタクシーを呼んで付き添って受診まで、連れていくと言ってくれた。
本人がこれまで丁寧に作り上げてきたご近所さんとの付き合いが、家族や僕らサービスと同じか、それ以上のセーフティネットとして機能する。僕らは制度を利用したフォーマルなつながりだけれど、ご近所さんとはインフォーマルなつながり。どちらの良さもあって、どちらにも限界がある。
どのつながりが欠けてもいけないのだけれど、本来はこういう地域の横のつながりが一番強い。
病院にいたらわからない地域の持つ力を生で見ることができた。地域にきた甲斐があったと思わせてくれる一日だった。


12/8  晴れ

今日は朝から夕方まで晴れていて、いい日だった。しかもただずっと晴れていただけでなくて、初冬の優しくて艶っぽい光がそこここを包んでいた。光を受けて反射する葉や、紅葉樹、川の水面、ガードレール、訪問したお宅の窓から見える庭木、全てがきらきらと美しかった。そこかしこに初冬の光を纏い、煌めく世界があった。カメラを構えて撮る。カメラを通さずに見れば、なんてことない日常もここまで気づくことができる。スマホではなく、わざわざ一眼レフをもちだして。カメラを使って撮ることは写真は幸福度を上げてくれる方法の一つかもしれない。


12/9 晴れ

今日も気持ちのいい天気だった。
珍しくせっかくの休みだったけれど、妻は仕事だったからどこにも行かずに自宅に籠っていた。最近撮り溜めていた写真たちを見返してみたり、少し光の加減を調整してみたりとしていたら一日が終わった。
自分の撮った写真の中でも案外いいじゃんと思った写真が増えてきたのは嬉しい限りだが、やはり写真家と言われている人たちが撮ったモノと比べるとまだまだなのが明らか。
撮ることは「世界を見つけること」と言われており、写真は自分の眼差しそのもの。
まだまだ僕の眼差しは荒削り。写真を撮り続けることで私の周りにあるあらゆるものに対する眼差しを少しずつ育てていきたい。


12/10 晴れ

今日のお昼はスパイスカレーを作って食べた。使用したスパイスはターメリック、チリパウダー、コリアンダー、クミン、クローブ、ベイリーフ、カルダモンで作った。初めてだったから色々見ながら作った。それでも一つずつ確実にやっていくことで美味しいカレーができた。普段ならルーを使って作ることが多いけれど、今日は手間をかけて作ってみた。そしたらスパイスからカレーを作れたという経験が得られたし、なんだか楽しかった。
都内で一人暮らししていた頃は楽しさをお金で交換するような休みの過ごし方だったけれど、今では日常を自分の遊び場として使うような過ごし方ができるようになった。お金を使って楽しむことは楽しいけれど、どこか受け身だけれど、生活の中で遊びを見つけることは能動的。どちらの楽しさもあるけれど受け身の楽しさはもう飽きた。これからも能動的な遊びを見つけて、楽しんでいきたいな。
午後は久しぶりに図書館に行った。ふらりふらりと本のタイトルを見て、借りたい本を選ぶ。とても好きな時間だ。そして気づくのは選書した内容の変化だ。昔は実用的な本ばかり読んでいたけれど、最近は小説や詩、写真集など趣のあるものに変わっていることに気づく。選書も普段の暮らしぶりや遊び方同様、変わっていく。この先の自分はどんな本を選び、読んでいるのだろう。


12/11 晴れ

今日は少し頑張って普段の掃除に加えて、家の窓の掃除をした。最初はやりたくない気持ちがどちらかというと強かった。それでも黄砂のような細かい土埃が窓にまとわりついているのを見過ごして、生活はしたくない。えいやと心に決めて、窓掃除を始める。最初は気持ちは乗らなかったけれどどうすれば綺麗になるだろうかと考えて、窓を攻略していくのはとてもたのしかった。終盤では自分の中で窓掃除の暫定的な正解みたいなものも見つけたりして、1人で満足していた。
掃除をして綺麗になった窓に差し込む光はほんとうに美しくて、気持ちが良かった。
めんどくさがりのくせになんだかんだきちんとしているほうが好きな自分が少しだけ好きになった。
きちんと生活すると自分が少しだけ好きになれたりする効果もあるのかもしれない。

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