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【創作大賞2024】第7章_「体調が回復するころに」_ミステリー小説部門

『セックスしたらコロナになりました。』


第7章 体調が回復するころに



 ゴールデンウィークが明けて子供が学校へ通いはじめ、私の熱も下がった頃に、父から「反省しなさい」というメールが届きました。
 
 「今回のこと、周りの人に迷惑を掛けたことを反省しなさい。離婚してから、仕事だってぜんぜん続かないし、すぐに仕事を変えるし、お金もないようで彼に頼っているようで、とてもがっかりしました。一度反省しなさい」

 
 【父のこと】
 
母や姉に対してはどこか諦めていたところがありましたが、父だけは冷静で平等な人だと思っていました。私はとても悲しかったのです。離婚をしてから必死で仕事をして子供を育てているのに、父は私のことを仕事がつづかない娘だと思っていた、それがわかってしまったからです。それから間もなくして感情が落ち着くと、「この人もダメだ。結局のところ母や姉と同じなのだ……」と思いました。

 私はここで謝ってはいけないし、彼の言うなりになって反省してはいけないと直感しました。
 コロナになったことと、仕事がつづかないことは何も関係ないのに、あたかも同じことのように相手を責める文脈を見たとき、まるでテレビだなと思いました。なにかネガティブな事件を起こしたときに、まったく関係のない他の事実を取り上げて、やはりこの人はダメな人だと騒いで攻め立てるのはとても卑怯だと思いました。私はこういうズルイ大人を絶対に信用しないと心に誓いました。

 父からのコトバにとても傷ついていたし、体調が悪いのに対応するのは面倒くさいなと思いましたが、父のことは好きだったし日頃から感謝していたので、できるだけ冷静に対処することにしました。

「お父さん、私のことをもう少し信頼してくれませんか」と返しました。
「ごめんね」と返ってきました。

 やはり父は冷静な大人だと思いましたが、冷静な父でもコロナ禍ではここまでスポイルされるのだなと怖くもなりました。

 それから父とはなんとなくわだかまりが解け、母と姉からの連絡は無視しましたが、父とだけは通常の連絡を取り合うようになりました。
 

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