kotoba
言葉を馴(な)れ馴れしくつかうことが、言葉に親しむということなのではありません
(長田弘)
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言葉は伝えたいことを伝えるのではなく、語ろうにもどうしてもそこに残ってしまうものを探りだし、象(かたど)るものだと詩人は言う。「うまく語れない、言葉がとどかない、たがいにわかりあえない」ところから出発し、自分の心の中に見つけた問題を最後まで「切り捨てない」ことが大切で、そのことが「言葉との付きあい方の深さを決める」のだと。『読書からはじまる』から。
引用
2023年09月29日 朝刊 1総合 001ページ , 00228文字折々のことば:2865 鷲田清一
世間知らずが度を超えてきたから、なんとか体裁を整えようと気まぐれに朝日新聞クロスサーチを読んでいる。ふと見つけた記事の引用。「言葉を馴れ馴れしく」という言い回しがなんとも秀悦。私にとって言葉は伝わらないが正常で、私の物理的にも精神的にも伝えられない部分を少しずつ象って、伝わるようにだからって本質から逸れないように変形させていく。手段、媒体としての道具である言葉をペラペラと使いこなしている気になるなんて馬鹿みたいな。毎日ぐるぐると様々なことが交差していくこの脳みその思想空間から一つ一つを丁寧に象作れますように。
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