ジェイラボワークショップ第64回『語=言+吾 』【情報科学部】[20230918-1001]部長総括#JLWS

ジェイラボという秘密結社で情報科学部の部長をやっているけろたんです。
2週間に渡って情報科学部の発表を行いました。この記事では総括として、WSの企画意図の説明とそれがどの程度達成されたかの振り返りを行います。

WSでどのような発表、議論が行われたかを閲覧するためのログはこちら(副部長のTsuboさんがまとめてくださいました。)
https://note.com/frasche/n/n16b2e8ffd303

ジェイラボ内部では、テキスト上でワークショップ的なものを再現するという形式で2~3ヶ月に一度各部持ち回りの発表が行われています。過去ログとして公開されているものを見ても分かる通り、各部がそれぞれの活動に関連した発表を行っています。例を挙げると情報科学部では、プログラミングの入門的な内容や、社会の情報化など情報科学に関係する話題を扱っていました。
今回の情報科学部ワークショップでは、先立ってジェイラボ内部のコミュニケーションのあり方を議論する機会がありました。これを踏まえて、部長としては、これまでと趣向を変えて情報科学という縛りから離れて、部員個人にフォーカスをあてる内容にすることを考えました。ただし、漠然としたお題を投げて部員におまかせで自分語りをしてもらう、というスタイルがうまくいかなさそうであるということは、これまでの発表マネジメントの経験から感じていました。
そのため、短い・他愛もない質問と、真面目に語ろうと思えば語れるような質問を混合して部員のみなさんに回答してもらうスタイルにすることを決めました。
発表形式の指定としては、質問に関するひとことレベルの短い回答を考えてもらい、膨らませそうなら膨らませて発表してもらう、ということを事前のミーティングで伝えていました。

「Q&Aをフックにした自分語り」スタイルで発表を行うにあたって、以下の達成目標を定めました。
内容面:
1. 部員のプロフィールがわかるような情報を増やす
形式面:
2. スケジュールを守って投稿することに慣れる
3. 会話往復を通して内容を深めるスタイルに慣れる

以下、それぞれの達成目標についてその意図の説明と振り返りです。

1について。
数百人規模のコミュニティになるとそれぞれ相手がどのような人物か把握してコミュニケーションをとることは難しくなり、コミュニケーションの質が低下します。X(旧Twitter)などでの「議論」と呼ばれるものの大半を見れば明らかです。ジェイラボは、所長の思想に共感したあつまりとしてある程度の認識の一致がありますが、会話をする相手がどのような性格か、好みか、立場か、などなどの前提知識が共有されることでさらにコミュニケーションをとりやすい空間になるのではないかと考えています。Discord上では雑談、意見を発表する場所は用意されていますが、チャットツールであるという都合上、メッセージが流れていきます。情報を蓄積するには向かないので、ログという形で個人についてのまとまった情報が固定化するワークショップがよいのではないかと考えました。結果としては、この試みはいい感じに成功したのではないかと思います。情報科学部部員、そして部外から回答してくださった方々の考え方や雑多な話がかなりまとまった分量たまりましたし、リアルタイムで参加できなかったメンバーや、発表内容に変更がある場合は今後のフォローでも追加していくことができます。それぞれの回答から発展したメンバー同士のやりとりに発展することが少なかったのは残念でしたが、そのような雰囲気をつくるために事前にコメントや回答のハードルを下げまくってもらうような説明が部長の趣旨説明の段階で必要だったというのが反省点です。

2について。
これまで情報科学部では部長のマネジメント力の低さもあり発表の日程・内容管理がずさんになっていました。事前準備として発表期間に入る前に投稿内容を作成するつもりでスケジュールを組んだこともあったのですが、どうしてもあなあになってしまいました。オンライン・非同期での発表であるためリアル活動の都合が優先されるのはしょうがないとはいえ、あらかじめ予定されていることなのできちっとやりたいなぁと考えていました。そんなところで、個々人の文章投稿自体に対するの慣れと、執筆お題として設定しているもの難易度に乖離があるのではないかと思い至りました。すなわち、内容的に難しいお題なので発表が難しく、そのため発表が予定通りにいかない。これまで自分が考えたことがなかったことや知らなかったことについて書く、というのは本質的に困難なことです。2週間の間、日程を崩さずに発表できる内容というのが、自分たちが現時点で準備できる内容でありそれが自分たちの執筆力なのだと思います。ということで、Q&A形式にすることで執筆することのハードルを口頭での質問に答える程度にまで下げ、その分内容がゆるふわになるというトレードオフを許容しました。やってみると、自分自身1日数問のQ&Aをとおしてプチ自分語りを文章にして予定通りに投稿するという経験を積む機会になりました。とにかく書く、という練習になりましたし、日程を守るために書かないことを捨てる潔さがみについた気がします。これまでは、はじめからある程度の分量を書こうと思うと論点が盛りだくさんになり、かえって一つ一つを深く検討することができないまま、納得の行かない文章なので公開できない、公開できないのでフィードバックも達成感もなく筆も進まない、締切が近づいてから気合が入ってとりかかる、という悪循環に陥りがちでした。どれぐらいの文章をどれぐらいの労力をかければ書くことができる、という感覚をもっておくと、コントロール感を持ったまま執筆作業に取り組めるので精神衛生にもよいと思います。部員のみなさんには、部内のミーティングで話していたよりもさらに掘り下げた回答を発表していただきました。自分はもっと書けるかも、という感覚が反映されていたものだとしたら、今回の発表が自分の執筆力を把握する機会として機能していた証になっているのではないかと思います。

3について。
2とも関連するのですが、はじめから大量の文章を書いたとしても、読み手が本当に興味があって深く知りたいことはその一部だけかもしれまえせん。自分が書きたいことと相手が知りたいことのバランスが重要なのは言うまでもないですが、ひとりでまとまった文章を書こうとすると、執筆者の脳内読者のダメ出しに答えようとして文章が肥大してしまい、結果的に読み手を置いてけぼりにした執筆者のための文章になりがちです。読み手が興味をもっていることは読み手に聞くのが手っ取り早いので、早い段階で読み手からのリアクションが発生するという観点で、Q&A形式はうまく機能すると予想していました。蓋を開けてみると、成功と言えるのではないでしょうか。部外の参加者とのやりとりを通して、質問から興味深い議論に発展しました。Q&Aの回答に議論のきっかけとしての側面を求めていることは、執筆ハードルを下げるために部内で事前に明示しなかったこともあり、部員メンバー間でのやりとりが発展するということは少なめでしたが、ワークショップ全体ではうまくいったと思います。これ以上同様の発展事例を増やすには、コミュニケーションの流量自体を大きくする必要があると思いますがそれはまた別の工夫が必要そうです。

まとめ:
自分自身とても書くことの練習になりました。それ以上に、情報科学部のワークショップとしてマネジメント面に意識的に重きをおいた内容を実行したはじめてのワークショップでした。ワークショップ準備のマネジメントにおいて、テーマを担当者にとって程よい負荷に切り出すことが部長には求められます。これまでのテーマ本位のワークショップ準備では、自分たちの地力を積み上げ的に理解することなく執筆をおまかせ/担当していました。楽にできることからスタートして徐々に負荷を上げていくと、できなくなったところが現時点での実力だとわかるので、このやりかたは汎用性がありそうです。
次回の内容は未定ですが、形式面、内容面でよりパワーアップしたワークショップを実施できればよいなと考えています。

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