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夢と希望が、いつまでもその手にあるように

きゅっと握った赤ちゃんの手には、何があるかご存知だろうか。

赤ちゃんが眠っている時などにその小さな手を取り、指をそっと開いていく。
そうすると、

高確率でホコリの塊が錬成されている。

汗やよだれでしっとりして柔らかな赤ちゃんの肌。
ぷくぷくした手のひらの皺を埋めるように、灰色のホコリの塊があるのだ。

衣類や寝具の糸屑が汗で固まるのだろう。いくら掃除しても清潔にしても、赤ちゃんはホコリを握りしめている。

上の子が赤ちゃんだった頃、あまりにホコリを握りしめているので、このホコリの塊を「夢と希望」と命名した。

「○○ちゃん、今日も夢と希望をいっぱい握りしめてるわー」とか言いながら、私はホコリをつまみ取っていた。
そんな冗談がサラッと楽しめるくらい、赤ちゃんは夢と希望にあふれた存在だ。


そして現在

さて2022年7月。
夏の参院選が終わった。

最近は選挙のたびに結果や投票率の低さにがっかりしているが、今回は疫病と戦争に例の事件もあってめちゃくちゃだ。(大正か!)
この先どうなっちゃうんだろうと、いくらでも不安になれる。


ふいに、先の「夢と希望」のことを思い出した。
上の子はいま中学生で、かつて夢と希望を握りしめていた手はすでに私の手より大きい。
どのような仕事に就くかは分からないけれど、将来にだんだんリアリティが出てきた。(学費とか受験とか……!)

この国はいまや斜陽だ。
少子高齢化で若い世代の負担ばかり増え、まるで比例するかのように真夏の気温も上がる一方。
私たちが生きてきたのとは違う世界を、子供たちはこれから生きていかないといけない。

いま、うちの子や同世代の仲間たちの手に、夢と希望はどのくらいあるのだろう。
もしかしたらそれは、私たちが小中学生の頃より少ないかもしれない。
そんな風に思ってしまうのは大人の悲観だろうか。

衝撃的なニュースで日本中が凍りついた日に、付き合いの長い友人が出産した。
私にとってすごく嬉しくて、救いに思えるしらせだった。
(このご時勢かついい年齢での初産だから、言えないところで不安やトラブルもたくさんあったと思うんだ。とにかくよく乗り切った、おめでとう!!!)
まだこの世界には、夢と希望を手にした人が送りこまれているのだ。


彼らに何を残せるかは分からないけれど、彼らが夢と希望を持ち続けられるような社会にするのは大人の役目なんだよな。
悲観ぶってるどころではなく、やれるだけのことはしないとなあと結構本気で思っている。

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