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ハリセン廃止とパチスロから考える規制の危うさについて

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1. はじめに


テレビでの表現方法は、しばしば「自主規制」によって少しずつ狭められていきました。90年代のテレビだと許されていたものが、今のテレビでは放送できないものになってたりしますよね。

今回この問題を考えるきっかけとなったのが、「ハリセン」をテレビで使うことが出来なくなったというツイート。

これ、実際に放送でハリセンを使用することに規制がかかったようで……。まあ、暴力として捉えられる部分はあるかもね。そして今日の日本だとそれが「いじめ」ととられる危険性がある。

表現のアップデートはある意味では歓迎されるべきだとは思いますし、自主規制という壁があるからイノベーションが発生しやすくなる部分はあるだろう。イノベーションのないものも面白くない。だとしても、だ。果たしてそれは本当に歓迎すべきものなのでしょうか。今回のnoteでは表現規制ではないが似たような事例を用いてその危険性について論じます。

2. パチスロ規制の歴史?(2002年位から現在まで)

表現の自主規制の話をするんじゃねーの?と思われた方、正解。ぶっちゃけて言うと、「とんかつとDJは実は同じなのか」的なこじつけですので、リラックスして読んでください。なお、分かりやすくする目的で、一部、説明を端折っている部分がありますので予めご了承くださいませ。

ここでいちばん大事なことを先に申し上げておきます。それは

「パチスロは常に出玉率、機械割という観点から見ると、規制しか行われていない」

ということです。

パチスロの歴史っていうのは基本的にブレイクスルーと規制のいたちごっこで出来ています。パチスロ黎明期、0号機時代〜3号機時代はパチスロ機を作る基本的なルールが策定されたと考えていただければと思います。

最初はパチスロ機(正式には「回胴式遊技機」)そのものの定義がない状況で、カジノのスロットマシンを参考にしてパチスロが誕生しました。そこから遊技機の作り方のルールが業界団体と公安委員会によって策定されていきます。その過程で、一旦3号機の頃に同じような機械しか作れないというところまでルールが制限されました。そこで裏モノと呼ばれる波の荒い機種が登場しました。要はお店やメーカーによる台の不正改造です。それじゃいけないと、4号機で台の作り方が再定義されることとなりました。

・4号機時代

パチスロのごく一般的な構造のものとしては「ボーナスが搭載されており、そのボーナスによってコインを増やしていくもの」が挙げられます。そういうものではなく、現在のパチスロでも残っているものだと、普段揃えることが出来ない役の揃え方を教えててくれることで、コインを獲得するもの(アシストタイム=ATといいます)が登場したり、再遊技機能(リプレイ)の確率を変える(リプレイタイム=RT)もの、その2つを兼ね備えたもの(ART)などが発明されました。ここで、レギュレーションの隙間を突いて、パチスロのゲーム性のバリエーションが広がります。これは、先述した0〜3号機時代の波の荒い機種の再現が目的でした。

転機となったのが、4.1号機。2002年頃に、いわゆる爆裂AT機と呼ばれるものが登場しました。ざっくりいうと、数十万円負ける可能性もあれば、一発で負債をチャラにすることができるようなポテンシャルを備えた機械が登場しています。当時は万枚(メダル10,000枚、1枚20円だとすると20万円分)という言葉が発明されるくらいに、ハイリスク・ハイリターンな機械が跋扈していました。消費者金融の審査も今より緩く、ギャンブルによる破産なども多く発生し、社会問題にもなっておりました。それを看過できなかったのは当時の警察。各都道府県の公安委員会は、いわゆる爆裂マシンの中でも特に突出した3機種(サラリーマン金太郎、アラジンA、ミリオンゴッド)の検定を取り消しました。その上で、遊技機を作る上でのレギュレーションが見直されて短時間での出玉の増減が規制されることとなります。

・5号機


4号機から5号機への移行期間では、ボーナスとRTくらいでしかゲーム性を作ることができないと当初は思われていました(ちなみに5号機の1発目は新世紀エヴァンゲリオン)。しかし、ある特定の場所を狙って遊技することでRTの終了を回避して機械割を上げることができるものが登場したり(リングにかけろ1、スパイダーマン2G等)、入賞役を複雑化させることで押し順によるATやARTが復活したりもしました(交響詩篇エウレカセブン等)。さらに型式試験を突破するためだけのために「ゼロボーナス」というものを搭載することで力技で試験を突破し、それにより実質的な台のスペックを上げるという裏技のようなことも行われています(ミリオンゴッド神々の凱旋等)。ここでも、機械の性能を向上させていった部分の反動で、5.5号機→5.9号機→6号機と規則が変わり、そして機械割の制限が更にきつくなってゆきます。

・パチスロ機の規制とは

ユーザーが何を求めてるか、言ってしまえば「お金」なんですよね。波の荒い機械のほうが、ハイリスクではあるがハイリターンでもあります。たくさんコインを吸い込むけれど一発でたくさんコインを吐き出す、「荒い」機械はパチンコ屋側にとっても粗利の稼ぎやすさという面から重宝されています。いろんな屁理屈で遊技とされてはいますが実質はギャンブルです。言ってしまえば、その「波」というものにいかんともしがたいリミッターをかけるのが、ずっと継続して行われているパチスロの規制なんです。パチスロの登場から今まで、機械割という観点では規制しか行われてません。あらゆるところで抜け道を見つけてくるのを塞ぎ続けてるといえばいいでしょうか。ゲーム性を広げる意味での規制緩和はあれど、実質的な機械割の規制緩和は今の今まで行われていないというのが現状です。

ちなみに、冒頭で取り上げた、いわゆるノーマルタイプと呼ばれる、ボーナスのみでコインを増やす機械は度重なる規制で絶滅の危機に瀕しています。現状、営業できちんと利益を生み出せるノーマルタイプの機械は、ほぼありません。現状で設置されているジャグラーシリーズやアクロスのAプロジェクトシリーズなども例外ではなく、お店を賑やかすために設置される機械と断言していいくらいには、現状の出玉規制がきつすぎるんです。

3. 規制の行き着く先は

ここで最初のハリセンの話に戻ります。結局のところ、私が一番申し上げたいのはシンプル。

「規制なんていいもんじゃあねぇぞ?」

確かに、規制によって発明されるものはあるかもしれない。しかし、規制が元で生まれたものは、別に規制がなくても生まれる可能性があるものです。それ以上に自主規制という面がもたらす弊害、デメリットの方が強い、という論説もある。

テレビの自主規制は、ある意味、消費者の認識がどんどんアップデートされていった結果とも言えます。しかし、本当にそれでいいのか、と。やりすぎると言葉狩りになりはしないか、と考えます。おそらく、規制はどんどんきつくなってゆく。緩むことはないんじゃないかなと。

先日まで3週連続で放送された「金曜ロードショー」での80年代90年代のジブリアニメでも、現代の価値観に合わない部分や日本独自の文化が多く指摘されるような部分がありましたが、それも当時の表現なんだよ、って認めることも大事なのかなとは思います。

長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。よろしければnoteとTwitterのフォローをお願い致します。

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