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『無駄』は本当に『無駄』なのか

1.なぜ多くの生き物が共存できているのか

 地球上の生き物の種数は2011年の研究時点で約870万種(※1)いるとされています。
餌や生息場所は限られているのに、ずいぶんと多いと思いませんか?
なぜ競争に強い種だけ生き残り、競争に弱い種は淘汰される、といった現象が起きず、こんなにも多い種が共存できているのでしょうか?
 実は、生命維持や子孫を残すことには関係のない「無駄」なことが発達したから、ということらしいのです。
 今回は、このことについての研究↓↓↓を簡単に掘り下げてみようと思います。

自然界の「ムダの進化」が生物多様性を支える(プレスリリースPDFリンク)

2.生き物が発達させてきた「無駄」なこととは?

 なぜ「無駄」なことが発達すると生き物同士での競争が減り、共存できるようになるのでしょうか?
  まず、ここで言う「無駄」なこととは何を指すのか、に着目してみようと思います。主なもので3つの無駄な行為が行われています。

無駄① メスにモテるためにオスがおしゃれをする
 
メスにモテるために、綺麗な模様になったり、ダンスや鳴き声を披露したりする生き物がいます。
生きていくのに必要ではない部分を発達させることで、「生きる以外にこんなこともできちゃう余裕のあるオス」をアピールするためです。
  
無駄② 社会性を持つ生き物の群れの中で裏切り者が現れる
 アリやハチは、群れをつくって生活をし、群れの中でもそれぞれの役割が分担されている社会性を持つ生き物です。
その群れの中で、役割を放棄し仕事をしないものや邪魔をするものなどが一定数出てきます。

無駄③ 繁殖の際にメスがオスを産みやすくなる
 基本的に子どもを産むことができるのはメスだけなので、もし種を繁栄させたいなら、メスを増やすのが手っ取り早い方法なのですが、他の種との競争に強くなると、オスを産むことが増え、オスが増えれば種の中でオス同士が争うこととなり、結果的に他の種と共生できるようになります。
 
 これらの無駄な行為は、自分たちの種の中で競争する機会を作り出すことによって、他の種との競争を避け、生態系の微妙なバランスを維持できるようにしています。
誰が指図した訳でもないのに、自然界のルールは本当によくできていると思います。

3.まとめ

 私たち人間社会でも、一方では無駄だと思えるものも、違う側面から見れば誰かの役に立っていたり、良好な人間関係を保つための微妙なバランスをとっていたりすることもあると思います。
そう考えると、結局無駄なことなんて滅多にないのでは?と私なんかは考えてしまいます。
 今まで無駄だと思ってやってこなかったことも、何かに行き詰った時に挑戦してみると、案外状況が好転する...なんてこともあるかもしれませんね。

4.参考にした文献

※1 地球上の生き物の総種数を調べた研究(PLOS BIOLOGYサイトリンク)

今回も読んでいただきありがとうございました。
ご意見・ご感想お待ちしております。

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