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「母」という人生のラスボス。

歳を重ねてよかったと思うことは様々あるが、そのひとつが、物事を俯瞰して見れるようになったことだ。
特に変わったのが、親との関係。

先日、母親の誕生日だった。
すごく素直な気持ちで、「私をこの世界に送り出してくれてありがとう」「1日でも長生きして欲しい」と伝えることが出来た。

といっても、メールでだけどね!

私にとって母は、ずっとずっとラスボス(ラストに登場するボス)だった。
10代の時に重度の拒食症になり、その原因が親との関係にあるということを知ってから、母子関係は生涯かけて向き合うライフワークになった。

摂食行為が治まり、結婚し自分が親になっても、まるでお試しかのように定期的に母子関係に向き合わざるを得ない出来事が起きた。
主にそれはパートナーシップという形で表面化し、その度私は、夫婦の問題だと思っていたことが実は親子関係が課題だったと突き付けられ、「こんなにやってもまだ終わらないのか」と、うんざりした。

この世の誰より、むき出しの感情をぶつけ、本音で向き合ってきた相手は、母だと言い切れる。
それはそれは泥臭く、みっともない黒歴史。

でもおかげで、今では誰より互いを分かり合えた。
私にとって世界でたった一人しかいない人と、こんなにも本気で向き合い、長い年月をかけて強い絆を結んできたことを、誇りに思う。

「ああ、私たちの関係は完全に昇華したな」

そう思った瞬間がある。
昨年私が離婚をした時だ。
これまでもこういう大きな節目には、辛辣なことを言われることが多かったので、覚悟をしていた。
でも、母が言ってくれた言葉は、想像もしていなかった言葉だった。

「あなたの人生なんだから、あなたの好きなように生きなさい」

正直に、正直に言うと、このたった一言が、私を自由にしてくれた。
もし今回の離婚で、世界中の人が私のことを批判したとしても、母のこのたった一言だけで、生きていけると思った。

それくらい母の言葉って、影響力があるよね。
私はそれを10代の頃から自覚していたからこそ、人の親になることが怖くもあった。

尊敬する精神科医、高橋和巳先生の著書『子どもは親を救うために「心の病」になる』という本に、下記のような件がある。

人はこの世界に生まれて、大切な親に認めてもらうために頑張る。
その最初の頑張りが、そのまま人生の最後まで続く頑張りである。
多くの人々にとって(9割以上の人々にとって)、これは真実である。

高橋和巳著『子どもは親を救うために「心の病」になる』


最初読んだ時は衝撃だったけど、今は本当にその通りだなと思ってる。

「私には親になる資格なんてない」と、母になることを拒否していたのに、うっすら「子どもを持つのもいいかも」と思い始めた時も、一念発起して派遣社員から起業した時も、きっかけには母の言葉があった。

「親」という枠を越えて、一人の人として見る事が出来るようになったのは、間違いなく年の功。

母の人生も、そう長い時間が残されているわけでもないんだから、今は彼女こそ、私たち家族や周りのことを気にせず、自分の好きなように生きて欲しいと心から願っている。

これでほんとにラスボスクリアかな。
そんな風に思った誕生日でしたん。

小さい頃の私と弟。色々あったけど、ずっとずっと愛されてた。

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